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イツモノ

I組の昼休み

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 キーンコーンカーンコーンと陽気なチャイムが鳴る。4時間目の終わり。そして昼休みが始まる。が。

『…………』

誰も自分の机から離れようとしない。さっきの授業で出た宿題をやっているからだ。

「由良君、解けた?」
「あぁ、多分これかなって答えは出てる。てか、船戸さんは?」
「めっちゃ早く解けたからって、手洗いに行っとった。」
「マジか!?気づかんかったわ。」

そんなことを言いながらブリントを見せる。戸津井さんが分からないところは解説をしながら。休み時間が始まって10分ほどしてから、俺たちは弁当を開いた。

「今日はあっちちゃうん?」
「今日は呼ばれてないからな。こっちでええやろ。」

もちろん確認すらとってないから、本当は知らんけど。

「お弁当は2人で同じの作ってんの?」
「まあな。その方が時間の節約にもなるし。結局別クラやから、行った時くらいしかバレへんで。」

しかも、どうせいるのは柚さんと音羽やし。そこ二人なら別に当然みたいに、そのままスルーしてくれる。

 というか、さっきから視線が痛い。そりゃあそうか。理系の数少ない女子の2人を侍らしているんやもんな。みんなすまんの。

「卵焼きもーらい!」
「おい、勝手に奪うなや。」
「ニシシシシ。」

心の中でみんなに謝っていたら、いつの間にか戸津井さんに卵焼きを奪われた。戸津井さんと食べていたらだいたい奪われる。どうも美味いようだ。ありがたいけど、こうも毎回毎回奪われていると困る。

「いい加減さ、くるみもなんかあげたら。」
「私があげたら、私のやつがなくなるわ。」

そんな戸津井さんの昼ご飯は菓子パンだけ。さっきの卵焼きも手掴みで食べている。

「さすがに、そんな昼飯やったら貰おうと思えんわ。」
「やってさ、花胡!私が奪ってもいいんやって!」
「いや、そんなことは言ってへんけど。」

戸津井さんはあのでっかい半球形の菓子パンをパクリ。それ食べてたら太るでなんか言えへんけど。

「くるみ、後で運動しなよ。」
「なんで?」
「それ、砂糖まみれやから。」
「うい~。」

俺に代わって船戸さんがそう言ってくれる。ありがとうございます。
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