陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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イツモノ

水と疲れと③

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 いつの間にか寝てた。

「おはよ、奏。」
「楓、今何時?」
「10時半。1時間半くらい寝てたで。」

欠伸をして体を起こす。

「そうか、悪いな。もうそろそろ帰らなあかんのちゃう?」
「んーん。こっち泊まっていいやって。どうも、同窓会が3次会くらいまであるらしい。」
「やったら布団出さなあかんな。」
「昔みたいに一緒のベッドで寝ぇへん?」
「やめてくれ。母さんと遭遇したら気まずい。」
「ちぇーっ」

楓は不服そうに立ち上がって風呂の方に行く。軽快な電子音と共に水が流れる音が始まった。

「じゃあ、せめて一緒にお風呂入ろ!」
「アホか。」

 順番に風呂に入って11時過ぎ。楓は宿題を写し終えたようで、俺の漫画棚を漁っていた。

「これって奏が読まれたくないやつやんな?」
「それはな、大人コミックに近い青年コミックやからな。読むんならこの服飾系のやつにしたら?これ読みやすいし、ストーリー性も申し分ないからオススメやで。」
「りょーかい!奏はもう寝たら?明日も練習なんやし。」
「そうさしてもらうわ。楓はそっちで寝ろよ。こっちの布団入ってきたら蹴り倒すからな。」

そう言って、ベッドを指さす。一緒の布団に入ってこられたら…色々持たんかもしれん。やって、汗の匂いとかシャンプーの匂いとか…

「あのさ奏。」
「何じゃい?」
「そう思ってくれるのは嬉しいんやけど、表情だけで語るのはやめようか。」
「すんまへん。」
「安心して。布団入ったら奏が休まれへんのは分かってることやし、そういうことも含めてマネージャーやから。」
「あざます。」

俺はそう言って布団に寝転んだ。

〇〇〇〇〇

 さて、いつ寝ようか。奏も寝たしこのままやったらこの漫画は朝までコースやし。でも、明日は授業あるから寝なあかん。

 布団とベッドで視線を行き来させる。布団の方に近づいて奏の顔を覗き込んだ。

「そーくん起きてますかー?」
「…………」

つんつんしても起きる気配がないからだいぶ熟睡してるっぽい。でも、とりあえずベッドの方へ。

 奏の枕に頭を埋める。

「スーハースーハー…」

パタパタパタパタ。

「スーーーハーーースーーーハーーースーーーーーーーー…プハァ」

奏の匂いだ。こんなので幸せになれる私もおかしい…いや、おかしくは無いけど、すぐそこに本物がいるのにそっちに行けないのは私の甘いところやと思う。

「でも、しょうがないから。」

そう呟いて、奏のベッドの上から電気を消した。
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