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ムカシハ
最強の闘い⑤
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昔はこんなに他の誰かを見ようとは思わなかった。
「作詞家くん、かっこいい?」
「ゆーちゃん、何言ってんの!?そんなこと思ってるわけないやん!」
確かに、他の男子より数パーセントだけはかっこよく見えるけど、そんな一際目立ってとかちゃうし!
「あっ、また当てた。」
さっきからずっと一進一退の攻防が続いている。予選のときは久志の独壇場だったが、今はそれに慣れたのか、そうはいっていない。ずっと調子が良かったあの曲がるボールも捕られるようになってきたし、なんというか、普通になった感じだ。
それにしても、何で久志のことが自然と視界に入るようになったのだろう。気づけば追っちゃってるというか、なんというか…
「…………」
今はいいや。試合見とこ。
〇〇〇〇〇
「ッチッ」
また捕られた。さっきから決まんねぇ。試合ももうすぐ後半やのに、そこまで差が開いてねぇ。
「焦んな。もうすぐあれが入ってくる。」
「分かってる。」
審判の手にソフトバレーボールが握られたのが見える。
「あれさえ入ってくりゃあ。」
少しずつ削られていく仲間たちを見ながら、俺はそう呟いた。
〇〇〇〇〇
何とか攻略できた。
「ハァハァ」
それにしても、この試合は疲れるな。体力がみるみる減っていく感じがする。
「また減った。」
もう何人目かも分からない。内野から外野に出ていく奴らを見るのは。
審判がソフトバレーボールを投げこもうとする。
「ソフトバレーボール投入!」
放送部のアナウンスが聞こえてきて、ボールが俺たちの方に飛んできた。
〇〇〇〇〇
相手から飛んできたソフトバレーボールは力なく落ちてくる。それを俺はしっかりとホールドし、助走距離をとった。
何かやってくるなという目をする奏。当たり前だろと目を合して返す。試合は盛り上がっているはずなのに、何故かここだけ音がないみたいだった。
ボールを握る。今まで2試合、あの無回転ボールは見てきただろう。でも残念だな。キレが違ぇんだわ。
俺が投げたボールは、少し上の方に飛ぶ。そして、奏の手前で、何かに吸い込まれるように落ちていく。ほんの0.5秒の間の出来事だ。1度でも瞬きしたら、もうついていけない。そして、追い討ちをかけるように右に曲がる。奏はその動きについていけず、ボールを零した。
「ウォォォォォォォォ!」
「なんやあれ!」
「やってた他2人と全く違ぇ!」
外野が盛り上がっている。それでも、俺は奏から目を離さない。
奏が外野に出る。そして、ソフトバレーボールを持った。
「作詞家くん、かっこいい?」
「ゆーちゃん、何言ってんの!?そんなこと思ってるわけないやん!」
確かに、他の男子より数パーセントだけはかっこよく見えるけど、そんな一際目立ってとかちゃうし!
「あっ、また当てた。」
さっきからずっと一進一退の攻防が続いている。予選のときは久志の独壇場だったが、今はそれに慣れたのか、そうはいっていない。ずっと調子が良かったあの曲がるボールも捕られるようになってきたし、なんというか、普通になった感じだ。
それにしても、何で久志のことが自然と視界に入るようになったのだろう。気づけば追っちゃってるというか、なんというか…
「…………」
今はいいや。試合見とこ。
〇〇〇〇〇
「ッチッ」
また捕られた。さっきから決まんねぇ。試合ももうすぐ後半やのに、そこまで差が開いてねぇ。
「焦んな。もうすぐあれが入ってくる。」
「分かってる。」
審判の手にソフトバレーボールが握られたのが見える。
「あれさえ入ってくりゃあ。」
少しずつ削られていく仲間たちを見ながら、俺はそう呟いた。
〇〇〇〇〇
何とか攻略できた。
「ハァハァ」
それにしても、この試合は疲れるな。体力がみるみる減っていく感じがする。
「また減った。」
もう何人目かも分からない。内野から外野に出ていく奴らを見るのは。
審判がソフトバレーボールを投げこもうとする。
「ソフトバレーボール投入!」
放送部のアナウンスが聞こえてきて、ボールが俺たちの方に飛んできた。
〇〇〇〇〇
相手から飛んできたソフトバレーボールは力なく落ちてくる。それを俺はしっかりとホールドし、助走距離をとった。
何かやってくるなという目をする奏。当たり前だろと目を合して返す。試合は盛り上がっているはずなのに、何故かここだけ音がないみたいだった。
ボールを握る。今まで2試合、あの無回転ボールは見てきただろう。でも残念だな。キレが違ぇんだわ。
俺が投げたボールは、少し上の方に飛ぶ。そして、奏の手前で、何かに吸い込まれるように落ちていく。ほんの0.5秒の間の出来事だ。1度でも瞬きしたら、もうついていけない。そして、追い討ちをかけるように右に曲がる。奏はその動きについていけず、ボールを零した。
「ウォォォォォォォォ!」
「なんやあれ!」
「やってた他2人と全く違ぇ!」
外野が盛り上がっている。それでも、俺は奏から目を離さない。
奏が外野に出る。そして、ソフトバレーボールを持った。
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