陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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ムカシハ

最強の闘い④

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「由良君!2人差!」
「そんなこと言われても、相手はあれだしな。」

俺は奏の方を見る。相変わらずだな。あの2人も。

「まぁ、最善は尽くす。」

整列するようにホイッスルが鳴らされる。

「んじゃ、勝ってくるわ。」
「うん、勝ってこい!」

船戸さんと拳を突き合わしてコートに足を踏み入れる。そして、奏の前に立った。

「さてと、今回は何をしてくれるのかな?」
「できることをするだけだ。俺は。」

ピーッとホイッスルが鳴って、お辞儀する。そして、

「オーーーシャス!」

テニスコートの真ん中に暑苦しい声が轟いた。

 まずは俺たちI組のボール。ハンドボールの感触を確かめる。相手コートは奏が「来い」と言わんばかりに前に出てきている。

「しょうがないな。」

何となくそんな気がしていた。

「お望み通りに。」

ピーッとホイッスルが鳴って、静かになる。ふぅーっと大きく息を吐いてから、投げる。

〇〇〇〇〇

 我ながらアホやと思う。予選で散々苦しめられたあのボールを待つなんて。でも、そうでもしないと、こっちの面子が立たねえんだわ。

「来たし。」

Qにもそれが伝わったのか、しっかり望み通りの変化をする。効果音をつけるなら『ギュン』とかそんな感じのボール。俺の左肩から右足まで落ちるボールが飛んできた。少し前に出る。本当に数cmのレベルだ。

 曲がり始める。さっきより近いか。いや、俺が近くなったからそう見えるだけ。狙いは右足の甲だったんだろう。でも、たぶん右足の太ももくらいに落ちてくる。それなら、捕れる。

 ポスッと俺の腕の中にボールは収まり、回転も止まる。

「ウオオオオォォォォォ!」

誰も止められなかったあのボールを止めたのは、最初に投げられた俺だった。

〇〇〇〇〇

奏の奴が分かりやがった。このポールの対処法を。

「ハハッ、楽しいなぁ。」

こんなに危険を感じたことは無い。このボールをこんなに早く攻略されるなんて。圧倒的センスの前には凡人は勝てねぇってか。

「そんな常識潰してやるよ。」
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