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ムカシハ
私の気まぐれ
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今日はなんか1人になりたい気分だから家を出てきた。置き手紙はこうだ。
『ぶらついてくる。
桜』
いつかの久志みたいやけど、こういうのも悪くない。
久志なら和歌山行ったり、京都行ったり、なかなか行けないところに行こうとするが、私の場合はそんなことはしない。
「ここ、前から目つけてたんよね。」
いつも使ってる香里園の駅。その近くにある商店街はいつもガヤガヤしていて、居心地がちょっと悪い。だから1本外れたところにあるこの店を選んだ。Cafeオシクラ。ひっそりと構えてる店舗で、中は人の気配がしない。私好みの店だ。
「いらっしゃいませ。」
「アイスコーヒー1つで。」
「店内ですか?」
「はい。」
「378円です。」
私は財布からピッタリの金額を出す。レシートを受け取って、店の奥の方に陣取った。
店内は暗くて、少し狭い。小さく聴こえるサウンドも、プライベート空間を邪魔しない程度で心地いい。どこからか聞こえてくる工事現場の音でさえ、店内の1つの音となっていた。
メニューは食べ物系のものはなく、全て飲み物だけ。タピオカミルクティーや、ティーラテ、台湾系のものが多い。そういう客層向けなんだろう。
少し時間が経って、コーヒーが来た。
「おまたせしました。」
「ありがとうございます。」
私の時間のスタートだ。最近見つけたWeb小説を開き、コーヒーを啜る。後味がしっかりしているけどくどくない。いや、後味がしっかりしているのにさっぱりしている。自分で何を言ってるのかも分からないな。
私はもう一度スマホに目を落とす。今が16話だから、100話くらいまで読んでから帰ろうか。ページをめくる音がないから、時間が止まったようにすら感じるこの空間。人が来る気配もせず、ただ作品の世界に浸っていくだけ。やはり、私はこの場所が好きみたいだ。
一区切りついた時にはもう15時を回っていた。
「ん~~~ぁ。帰るか。」
カップの中の氷もほぼ溶けていて、最後の方はそれを飲んでいたのかもしれない。最後の方は、どんな味がしたのかも覚えてないから。
結局、私が出るまで他のお客さんが来ることはなかった。
「美味しいけど、こんなベストプレイス、他の人には教えるのもったいないな。」
Cafeオシクラ。そのアイスコーヒーの味は、まだ口の中に残っていた。
『ぶらついてくる。
桜』
いつかの久志みたいやけど、こういうのも悪くない。
久志なら和歌山行ったり、京都行ったり、なかなか行けないところに行こうとするが、私の場合はそんなことはしない。
「ここ、前から目つけてたんよね。」
いつも使ってる香里園の駅。その近くにある商店街はいつもガヤガヤしていて、居心地がちょっと悪い。だから1本外れたところにあるこの店を選んだ。Cafeオシクラ。ひっそりと構えてる店舗で、中は人の気配がしない。私好みの店だ。
「いらっしゃいませ。」
「アイスコーヒー1つで。」
「店内ですか?」
「はい。」
「378円です。」
私は財布からピッタリの金額を出す。レシートを受け取って、店の奥の方に陣取った。
店内は暗くて、少し狭い。小さく聴こえるサウンドも、プライベート空間を邪魔しない程度で心地いい。どこからか聞こえてくる工事現場の音でさえ、店内の1つの音となっていた。
メニューは食べ物系のものはなく、全て飲み物だけ。タピオカミルクティーや、ティーラテ、台湾系のものが多い。そういう客層向けなんだろう。
少し時間が経って、コーヒーが来た。
「おまたせしました。」
「ありがとうございます。」
私の時間のスタートだ。最近見つけたWeb小説を開き、コーヒーを啜る。後味がしっかりしているけどくどくない。いや、後味がしっかりしているのにさっぱりしている。自分で何を言ってるのかも分からないな。
私はもう一度スマホに目を落とす。今が16話だから、100話くらいまで読んでから帰ろうか。ページをめくる音がないから、時間が止まったようにすら感じるこの空間。人が来る気配もせず、ただ作品の世界に浸っていくだけ。やはり、私はこの場所が好きみたいだ。
一区切りついた時にはもう15時を回っていた。
「ん~~~ぁ。帰るか。」
カップの中の氷もほぼ溶けていて、最後の方はそれを飲んでいたのかもしれない。最後の方は、どんな味がしたのかも覚えてないから。
結局、私が出るまで他のお客さんが来ることはなかった。
「美味しいけど、こんなベストプレイス、他の人には教えるのもったいないな。」
Cafeオシクラ。そのアイスコーヒーの味は、まだ口の中に残っていた。
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