陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

ムカシハ

居眠り

　私の隣の席の由良君は授業中よく寝てる。それは今日も。

「Zzz…」

今はコミュ英の授業中。と言っても、前半の15分くらいは前回の復習が中心だから、聞いても聞かなくてもあまり変わらない。由良君は堂々と机に頭を埋めていて、先生が1度こっちを向けばすぐに気づかれそうだ。

　でも、由良君はそれが何故か無い。前に聞いたことがあるのは、存在に気づかれにくいって話だけ。これは寝てる間にもなっているらしく、安心して寝れるんだとか。知らんけど。

　授業は次の範囲になり、単語の確認がはじまった。家で調べてきたので私はやることが無い。

　ふと、チラリと由良君のノートを見る。私はこのとき「あぁ、そうか」と思ってしまった。由良君は、もう全部解いていた。発展問題も練習問題も。だからこそ、「なんかできる」って印象になっていたのかもしれない。

「えっと、次を…由良。」
「えっと…寄付する。」
「次を…船戸。」
「寄付金。」

1、2秒前まで寝ていたのにスラスラ答えられる。これが由良君の凄さであり、このクラスに来れた所以なんだろう。気づけば、また隣で寝息を立てている。ここまで「寝てます」感がある寝方を授業中にできるのが、存在感のなさを裏付けるところだ。私も少し眠くなってきたから、少し寝ておこう。

　結局その授業は、由良君は50分間ずっと寝ていたし、私も途中5分ほど寝た。授業終わりのチャイムに起こされて、挨拶する。そしてもう一度座って、私と由良君はまた眠りに就いた。