陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

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ムカシハ

初回授業again③

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 次の日、クラスでは音楽の課題の話題でもちきりだった。

「やばい、作詞から何したらいいか分からん。」
「前回と一緒で、別に出来んくてもいい課題やけど、やったら平常点爆上がりやしな。」

そういえば、俺も桜も音楽の評価は『5』だったな。この評価が貰えたのも、俺たちが2曲とも仕上げたからだろう。それなら、今年は俺と船戸さん、そして戸津井さんが『5』を取れそうだ。

「そういえば、去年のC組に作詞できるヤツおらんかったっけ?」

教壇前で駄弁っている陽キャ男子がそんなことを言った。その火の粉は俺ではなく、船戸さんに降り注ぐ。

「ねぇねぇ、花胡ちゃんって去年C組やったやんな?誰やったか覚えてる?」
「もしかして花胡ちゃんとか?教えて!」
「え、えっと…」

船戸さんが俺の方に目をやる。俺は全力で首を横に振った。が、そのとき、

「作詞家く~ん!桜が、一緒に食堂で食べよやって!」

船戸さんも戸津井さんも「あちゃー」って顔をしている。

「柚さん、ごめん。今、この瞬間に行けなくなった。」
「そっか~、じゃあね作詞家くん!」

俺の昼休みがぁぁぁぁぁ

 そして昼休み。

「気を付け、礼!」
『おーしゃす!』

去年と同じような光景だ。噂を聞きつけてか、他クラスからもちらほら。去年はコミュニティがそれほど形成されていなかったからまだ少なかったが、今年はもう1年経っている。それぞれの交友関係から情報が流れたのだろう。

「って言っても、去年と同じやからなぁ。」

俺は教卓をポンポン叩いて、ベースとなるリズムを作る。

「これに言葉を当てはめるだけ。って言っても、そこが難しいんだけどな。結局、決まった文字数で自分の言いたいことを書くのはムズいねん。やから厨二的な歌詞とか、尾崎みたいに字余りとかになんねんけど。尾崎はそれでちゃんと曲になるってのがすごいよな。やから、」

俺は黒板に文章を書き始めた。

『このクラスは変人が多くて、いつも新しい。だから、仲良く1年間やっていけたらって思う。』

「こんな文章があるとするやろ。次はこれを歌詞っぽくしていくねん。」

『このクラスには変人が多くてさ
 いつも新しいことばっかで
 僕はこんな空気が好きだから
 ずっと続けたいと思う』

「テキトーに作ったけど、こんな感じかな。もちろん作りにくいけど、言いたいことを先に作文みたいに書き上げて、それを元に作る的な方法もある。」

とりあえず反応を見る。シンとしているが、理系のある程度勉強が好きなクラスなだけあって、まともに聞いているやつが多い。

「こんなんでみんな書けそう?」
『………』

ほとんどが机に向かったまま、何かを書いている。何人かはたまに机を叩きながら。作詞している。俺がそう理解するまで、そう時間はかからなかった。

 特別授業(?)は流れ的に終わりになり、俺はH組に顔を出す。桜と熊野さんと柚さんは固まって弁当を食べていた。

「来たぞ~」
「あっ、作詞家くん!終わったんだ!」
「お疲れ、久志。」
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