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ムカシハ
始業式②
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ここから先は戦場だ。俺はドアを開けた。
「………」
『………』
ここで挨拶を交わすのが普通の人だが、陰キャぼっちの俺にはハードルが高すぎる。空気モードに変えて座席を確認した。席は右から2列目の1番後ろ。出席番号順であることから、担任はシオちゃんじゃないことが確定してしまった。とりあえず、自分の席に座って寝たフリをする。ここまで全員が同じような行動をするなら、図鑑で
陰キャ 学名:shadow person
習性:教室に入ると寝たフリをする。
って項目があってもいい気がする。
こうして1年ぶりに趣味が人間観察になった。俺の耳はどこまで退化しているのやら。
「このクラスって、何気にレベル高いよな。」
「そうそう、可愛い系よりお姉さん系が多いところもアリ。たとえば…」
「「船戸さん」」
以上、教室の隅っこで喋っている男子の会話でした。本人たちは誰にも聞かれてないつもりでいるだろうが、地獄耳でごめんね。
次は女子たちといきたいところだが、えげつない会話だった場合、俺の心臓が持たないかもしれないので、教卓の方で固まっている男子にスイッチ。
「俺なら船戸一択だな。」
「マジか!?お前なら井坂に行くと思ってた。いつ行くんだ?」
「球技大会マジックを狙ってるけど、まずはそこで目をつけてもらわないと。」
「大丈夫!お前ならやれる!」
1度顔を上げて、そいつらの顔というより髪型を確認する。よく頑張っていた。
一瞬、教室の空気が張りつめる感じがした。船戸さんが入ってきたのだ。男子たちの視線は1人に吸い寄せられ、女子たちは船戸さんに元気に挨拶している。俺はすぐに寝たフリに戻った。
船戸さんは座席を確認したようで、だんだんと靴音が近づいてくる。隣の席で鞄を置く音がした。うちのクラスは『よ』が多いかわりに、『ま行』が少ない。よって『ゆ』と『ふ』は隣同士になることになった。
背中にバンと叩かれる感触がした。精一杯の演技をして、寝起きみたいな顔をして顔を上げる。
「んあ?」
「おはよう、由良君。寝たフリっての分かってるから、そんなことしても意味ないから。」
「んぐ。おはよう、船戸さん。」
船戸さんから感じるのは殺気か?周りの女子たちが近づいてこない。まぁ、船戸さんも根はこっちだからな。
「見た?月曜日6時間目。」
「見た。まさか。」
「そう、そのまさか。」
「…いいけどよ。俺は前には出る気ないからな。歌いたくないし。」
「いいよ。私がピアノで弾き語りするから、書いて。」
「りょーかい。」
右隣はいないから授業中は船戸さんと喋ることになる。2人してすぐに賢者モードに変わった。
「………」
『………』
ここで挨拶を交わすのが普通の人だが、陰キャぼっちの俺にはハードルが高すぎる。空気モードに変えて座席を確認した。席は右から2列目の1番後ろ。出席番号順であることから、担任はシオちゃんじゃないことが確定してしまった。とりあえず、自分の席に座って寝たフリをする。ここまで全員が同じような行動をするなら、図鑑で
陰キャ 学名:shadow person
習性:教室に入ると寝たフリをする。
って項目があってもいい気がする。
こうして1年ぶりに趣味が人間観察になった。俺の耳はどこまで退化しているのやら。
「このクラスって、何気にレベル高いよな。」
「そうそう、可愛い系よりお姉さん系が多いところもアリ。たとえば…」
「「船戸さん」」
以上、教室の隅っこで喋っている男子の会話でした。本人たちは誰にも聞かれてないつもりでいるだろうが、地獄耳でごめんね。
次は女子たちといきたいところだが、えげつない会話だった場合、俺の心臓が持たないかもしれないので、教卓の方で固まっている男子にスイッチ。
「俺なら船戸一択だな。」
「マジか!?お前なら井坂に行くと思ってた。いつ行くんだ?」
「球技大会マジックを狙ってるけど、まずはそこで目をつけてもらわないと。」
「大丈夫!お前ならやれる!」
1度顔を上げて、そいつらの顔というより髪型を確認する。よく頑張っていた。
一瞬、教室の空気が張りつめる感じがした。船戸さんが入ってきたのだ。男子たちの視線は1人に吸い寄せられ、女子たちは船戸さんに元気に挨拶している。俺はすぐに寝たフリに戻った。
船戸さんは座席を確認したようで、だんだんと靴音が近づいてくる。隣の席で鞄を置く音がした。うちのクラスは『よ』が多いかわりに、『ま行』が少ない。よって『ゆ』と『ふ』は隣同士になることになった。
背中にバンと叩かれる感触がした。精一杯の演技をして、寝起きみたいな顔をして顔を上げる。
「んあ?」
「おはよう、由良君。寝たフリっての分かってるから、そんなことしても意味ないから。」
「んぐ。おはよう、船戸さん。」
船戸さんから感じるのは殺気か?周りの女子たちが近づいてこない。まぁ、船戸さんも根はこっちだからな。
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「そう、そのまさか。」
「…いいけどよ。俺は前には出る気ないからな。歌いたくないし。」
「いいよ。私がピアノで弾き語りするから、書いて。」
「りょーかい。」
右隣はいないから授業中は船戸さんと喋ることになる。2人してすぐに賢者モードに変わった。
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