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ウソツキ
ヒカリヘ②
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バ〇シュを滑り落ちた頃にはもう日が沈み、イルミネーションが始まっていた。
「うわぁ…」
音楽に合わせて色が変化する木々が俺たちを照らしている。ベンチにはカップル達が陣取っていて、肩を寄せあって写真を撮っている。それを横目に冷蔵庫に向かう。
「嘘だろ…」
「ま、マジか…」
閉まっていた。
エ〇フはまだ行列ができていたので、とりあえず先に光のトンネルの方へ。観覧車から下を見渡すのもロマンチックだけど、光のトンネルを通り抜けるのも綺麗だって聞いた。
「あれかな?」
ぽつぽつとあるイルミネーションの中に、一際大きな光を見つける。
「あれだぁぁぁ!」
「おい、待て!楓!」
楓ちゃんと奏っちは真っ先に走り出す。音羽ちゃんと新宮くんもいつの間にかいなくなっていて、桜も先に行ってそうだ。横にいるのはひい君だけ。
「行く?」
「行くぞ。」
ひい君はいつもよりゆっくり歩き始めた。
トンネルの入り口の前まで来た。青い光に照らされたひい君はシルエットになって、1つの景色になっている。が、私にはどこから見てもひい君と分かる。水泳によって鍛え抜かれた体。アンバランスなほどに長い足。色がついていなくてもひい君だ。
―カシャッ
私は写真を撮って、ひい君に追いついた。
「何撮ってたんだ?」
「いやぁ、ひい君、画になるから。」
「自分で言うのもなんだが、そうではないぞ。」
「じゃあ、これを確認してみよ!」
さっき撮った写真を表示させて、ひい君に見せる。少し肩がぶつかった。ちょっと近すぎたかな?
「これ俺か?」
「そうだよ。」
「…いまいちわからん。」
「嘘つけぇ!」
青、ゴールドに変化するトンネルを歩いていく。周りにはカップルばっかり。私たちもそんな風に見られているのかな?隣のひい君の顔を覗き込む。別に気にしていなさそう。
「どうした?」
「んーん。何にも。ねぇ、今年、楽しかった?」
「?楽しいの定義をしてくれ。」
「はいはい、ぼっちムーブはいいから。で、楽しかった?」
ひい君はそこで立ち止まる。答えはすぐに返ってきた。
「少なくとも、今までで1番楽しかった。」
「それならよかった。私も楽しかった。ひい君とまたこうやって遊べて、話せて、一緒に学校行けて。私ね―」
私はそのあとの言葉を飲み込んだ。
「私ね、何?」
「なんにもない。忘れて。」
私たちはイルミネーションの出口を抜けた。夜でよかった。
「うわぁ…」
音楽に合わせて色が変化する木々が俺たちを照らしている。ベンチにはカップル達が陣取っていて、肩を寄せあって写真を撮っている。それを横目に冷蔵庫に向かう。
「嘘だろ…」
「ま、マジか…」
閉まっていた。
エ〇フはまだ行列ができていたので、とりあえず先に光のトンネルの方へ。観覧車から下を見渡すのもロマンチックだけど、光のトンネルを通り抜けるのも綺麗だって聞いた。
「あれかな?」
ぽつぽつとあるイルミネーションの中に、一際大きな光を見つける。
「あれだぁぁぁ!」
「おい、待て!楓!」
楓ちゃんと奏っちは真っ先に走り出す。音羽ちゃんと新宮くんもいつの間にかいなくなっていて、桜も先に行ってそうだ。横にいるのはひい君だけ。
「行く?」
「行くぞ。」
ひい君はいつもよりゆっくり歩き始めた。
トンネルの入り口の前まで来た。青い光に照らされたひい君はシルエットになって、1つの景色になっている。が、私にはどこから見てもひい君と分かる。水泳によって鍛え抜かれた体。アンバランスなほどに長い足。色がついていなくてもひい君だ。
―カシャッ
私は写真を撮って、ひい君に追いついた。
「何撮ってたんだ?」
「いやぁ、ひい君、画になるから。」
「自分で言うのもなんだが、そうではないぞ。」
「じゃあ、これを確認してみよ!」
さっき撮った写真を表示させて、ひい君に見せる。少し肩がぶつかった。ちょっと近すぎたかな?
「これ俺か?」
「そうだよ。」
「…いまいちわからん。」
「嘘つけぇ!」
青、ゴールドに変化するトンネルを歩いていく。周りにはカップルばっかり。私たちもそんな風に見られているのかな?隣のひい君の顔を覗き込む。別に気にしていなさそう。
「どうした?」
「んーん。何にも。ねぇ、今年、楽しかった?」
「?楽しいの定義をしてくれ。」
「はいはい、ぼっちムーブはいいから。で、楽しかった?」
ひい君はそこで立ち止まる。答えはすぐに返ってきた。
「少なくとも、今までで1番楽しかった。」
「それならよかった。私も楽しかった。ひい君とまたこうやって遊べて、話せて、一緒に学校行けて。私ね―」
私はそのあとの言葉を飲み込んだ。
「私ね、何?」
「なんにもない。忘れて。」
私たちはイルミネーションの出口を抜けた。夜でよかった。
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