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ウソツキ

ヒカリヘ①

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「め~ぐみ~!」

前に乗っているカレンがジェットコースターが落下する度に叫んでいる。楓と2人でみんなと合流してから30分。俺たちはレッド〇〇ルコンに乗っている。

「こいつまじで叫びやがった!」
「恥ずかしくねぇんかよ!」

横のQは絶叫系が苦手と言っていたが、カレンがあまりにもアホやってるから楽しそうだ。前の方にいる女子たちは落ちる度に「ギャーーー!」と叫びながら笑っている。

 このレッド〇〇ルコンは1列に2人ずつ乗れる。そして俺たちの人数は7人。必然的に1人余ることになって、ジャン負けでカレンになった。そして「1番後ろで1人は悲しい!」からって俺たちが最後列でカレンはその1列前に座った。そして、

「めぐみぃぃぃぃ!」

めぐみというのはカレンの架空の彼女らしい。知らんけど。2人でひ〇パーに来たけど、まぁまぁいきなり振られた設定だ。こいつなら本当に有り得そうだから怖い。

「めぐみぃぃぃぃ!」

最後の落下ポイントが終わると、ひ〇パー名物『急に止まるジェットコースター』。ギィィと急ブレーキをかけながら止まって、また動き出した。

「「おかえりなさーい!」」

係員に挨拶されて、俺たちはジェットコースターを降りた。

「あ~楽しかった!」
「楓、叫びすぎて疲れてない?」
「桜こそずっと叫んどったやん。」
「ねぇ、後ろから笑い声しか聞こえなかったのは私だけなんかな?」
「きい、奇遇やね。私もそれしか聞こえなかった。」

きいと音羽にだけ俺たちの笑い声は聞こえてたらしい。ずっと笑ってたもんな。

「Q、な。」
「せやな。あれは最高やった。」
「2人ともどしたん?」
「詳しくはカレンまで。」

次の待ち時間の時に食べる用の餃子を買って、列に並ぶ。次乗るのはバ〇シュ。いわゆる急流すべりだ。ほぼ濡れないが。これである程度濡れに行って、冷蔵庫で冷やす。これが今からのプラン。

 15分ほど待ったときだろうか、辺りが暗くなってきて、イルミネーションが点灯し始めた。

「次はイルミネーションだな。」

Qがそう呟く。ここはだいぶ上の方なので、近くにはトンネルがある。そこが1番綺麗な写真を取れるだろう。

 バ〇シュは4人乗り。男女に別れて、俺たちは来た木のボートに乗り込んだ。

「カレン、めぐみは?」
「他の男釣ってた。」
「やなくて、叫ぶか。」

カレンは1つ息をついて、

「俺の想いはもう届かないから。」

俺たちは静かに滑り落ちた。
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