171 / 732
ウソツキ
イチマイ
しおりを挟む
「お前ら、忘れ物はないな?」
「ちゃんと見たよ~。」
「じゃあ行くぞ。」
管理棟のおばちゃんに軽く挨拶してから歩き始める。来た道と同じ道。それでも全く違う表情をしている。
「この景色はいつ見ても壮観やわ。」
「確かに、この角度とか。」
奏っちは車がいないことをいいことに、道の真ん中に立つ。そしてカシャリ。
「奏ってこういう時はセンスあるよね。あとでグループで送って。」
「もちろん。」
奏っちが歩道に戻ってくる。楓に預けていた荷物を取って、また歩き始める。
途中、さっきの私たちと同じように車道の真ん中で写真を撮っている親子に出会った。どうやら、自撮りしようとしているようだ。前のみんなはそんなことも気にせず喋っている。私の出番か。
「あの~、写真撮りましょうか?」
「あっ、お願いします。」
少しは笑顔を作れていただろうか。私はスマホを受け取って、一度横持ちでピントを合わせてみた。何かが違うような気がして、縦持ちに変える。こっちだ。
「じゃあいきまーす!はいチーズ!」
―カシャッ
「ありがとうございます。あの、もし良かったら、撮りましょうか?」
父親は、後ろで待っているみんなを指さす。私は目で「どうする?」と訊く。私的にはどっちでもいい。
「撮ろ!」
「だね。」
「そういや、今日撮ってねぇもんな。」
「まったく、しょうがないな。」
「……」
みんな荷物を置いてぞろぞろ歩いてくる。
「ポーズどうする?」
「Q、ギャルピやってみて。」
「うわっ、似合わねぇ!」
「どうする?」
「そのまんま『KYUKA』とかでどう?」
「きい入れなくなるし。」
「ん~、きいはテキトーにやれ!」
「え~!」
―カシャッ
『えっ?』
「すみません、でもめっちゃ楽しそうだったんで。」
私たちはスマホを受け取って、さっきの写真を見る。そこにはみんな楽しそうに笑っている瞬間が入っていた。
「いいな。」
「うん、これが私たちって感じするし。」
「せやな。」
「音羽、後で送ってね。」
「うん。」
私はスマホをポケットにしまって撮ってくれた親子の方を見る。
『ありがとうございます!』
「いえいえ、こちらこそ撮ってもらったんで。じゃあ、お気をつけて。」
私たちは別れて、駅までの道を歩く。
―ブルル
ポケットの中の私のスマホが震える。私はすぐにRINEをつけた。
Karen 『コリーダコロシアム!』
『写真』
カレンはコロッセオの写真を送ってきた。向こうの友達と一緒に写っている。楽しそうなのにどこか寂しそうに見えた。
私はさっき撮った写真を送って「次はこっちにも入ってね」と送る。
「音羽、ニヤついてるけど、いい事あった?」
「へっ?そんなことないけど、どしたの?桜。」
「ん~?ならいいけど。」
頬が熱くなってるのはきっと今日が暑いからだ。
「ちゃんと見たよ~。」
「じゃあ行くぞ。」
管理棟のおばちゃんに軽く挨拶してから歩き始める。来た道と同じ道。それでも全く違う表情をしている。
「この景色はいつ見ても壮観やわ。」
「確かに、この角度とか。」
奏っちは車がいないことをいいことに、道の真ん中に立つ。そしてカシャリ。
「奏ってこういう時はセンスあるよね。あとでグループで送って。」
「もちろん。」
奏っちが歩道に戻ってくる。楓に預けていた荷物を取って、また歩き始める。
途中、さっきの私たちと同じように車道の真ん中で写真を撮っている親子に出会った。どうやら、自撮りしようとしているようだ。前のみんなはそんなことも気にせず喋っている。私の出番か。
「あの~、写真撮りましょうか?」
「あっ、お願いします。」
少しは笑顔を作れていただろうか。私はスマホを受け取って、一度横持ちでピントを合わせてみた。何かが違うような気がして、縦持ちに変える。こっちだ。
「じゃあいきまーす!はいチーズ!」
―カシャッ
「ありがとうございます。あの、もし良かったら、撮りましょうか?」
父親は、後ろで待っているみんなを指さす。私は目で「どうする?」と訊く。私的にはどっちでもいい。
「撮ろ!」
「だね。」
「そういや、今日撮ってねぇもんな。」
「まったく、しょうがないな。」
「……」
みんな荷物を置いてぞろぞろ歩いてくる。
「ポーズどうする?」
「Q、ギャルピやってみて。」
「うわっ、似合わねぇ!」
「どうする?」
「そのまんま『KYUKA』とかでどう?」
「きい入れなくなるし。」
「ん~、きいはテキトーにやれ!」
「え~!」
―カシャッ
『えっ?』
「すみません、でもめっちゃ楽しそうだったんで。」
私たちはスマホを受け取って、さっきの写真を見る。そこにはみんな楽しそうに笑っている瞬間が入っていた。
「いいな。」
「うん、これが私たちって感じするし。」
「せやな。」
「音羽、後で送ってね。」
「うん。」
私はスマホをポケットにしまって撮ってくれた親子の方を見る。
『ありがとうございます!』
「いえいえ、こちらこそ撮ってもらったんで。じゃあ、お気をつけて。」
私たちは別れて、駅までの道を歩く。
―ブルル
ポケットの中の私のスマホが震える。私はすぐにRINEをつけた。
Karen 『コリーダコロシアム!』
『写真』
カレンはコロッセオの写真を送ってきた。向こうの友達と一緒に写っている。楽しそうなのにどこか寂しそうに見えた。
私はさっき撮った写真を送って「次はこっちにも入ってね」と送る。
「音羽、ニヤついてるけど、いい事あった?」
「へっ?そんなことないけど、どしたの?桜。」
「ん~?ならいいけど。」
頬が熱くなってるのはきっと今日が暑いからだ。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
家政婦さんは同級生のメイド女子高生
coche
青春
祖母から習った家事で主婦力抜群の女子高生、彩香(さいか)。高校入学と同時に小説家の家で家政婦のアルバイトを始めた。実はその家は・・・彩香たちの成長を描く青春ラブコメです。
俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる