陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

文字の大きさ
上 下
151 / 773
ワタシハ

期末③

しおりを挟む
「ぞ~なむ~や~か~れ~んた~いけ~♪こ~そがきたならいぜんけい♪」
「きい、それなんの歌だ?」
「中学の先生が、係り結びの覚え方教えてくれたんだ!」
「へぇ。んで、意味は分かってるの?」
「分かってるわけないやん。ひい君は、私を何だと思ってるの?」

ひい君は少し悩む。ふふん、そんなに言葉にしにくいような事なのかな?

「アホ。控えめに言ってあんぽんたん。」
「しゃーきゅーりゃー(さーくーらー)!びぃぐんがびじべでぐる(ひい君がいじめてくる)!」
「それは私も同じかな?」
「ちぇっ。桜もか。」
「ちぇっ、って何だ?」
「桜に分かるかなぁ?」

いつも3人で帰ってるけど、私の中の悪魔はいつもこう言っている。「こんなやつ、蹴落としてしまえ」と。私の本心かもしれない。でも、私はそんなことできる娘じゃないから。

「それはそうと、きい。テストは大丈夫なんだな?」
「うん!追認は回避出来てると思う。」

この発言をしている時点でアホと言われても私は文句を言えない。これでも、結構頑張ってる。だって…

「どうかしたか?」
「ううん、何にも。」

今ここで気づいていないのはひい君だけだけど。

「じゃあ、また明日ね。」
「おう、明日な。」
「きい、頑張って!」

玄関のドアを閉めて、ふぅと息をつく。明日か…明日が実際、1番ヤバいねんもんな。言語文化はまだしも、化学基礎が…。いや、そんなこと思ってる暇はない。全力を尽くす。それ以上でもそれ以下でもない。

 まずは言語文化の内容を頭に叩き込む。敬語とか何言ってるかは分からないけど、なんとなく雰囲気で『尊敬』と『謙譲』は分かるかな?単語はもう覚えてるし、ふわぁ。眠い。時間は4時過ぎ。5時前まで仮眠取ろっかな。

 横のベッドにごろんと寝転び、スマホのアラームを合わせる。そして私は浅い眠りについた。




―ピロン

 スマホの着信音がして目が覚める。思ったより寝ていたな。時間は…6時前。6時前!?完全に寝すぎてる!通知は、ひい君か。えっと…

『鞄の中』

ん?どういうことだろうか。

 とりあえず漁ってみる。今日の教科の問題とか、教材とか、こんなの支給されてたっけ?いや、ひい君の自前だな。

「ありがとう」
『気にすんな(*´罒`*)』

 当日、1時間目の言語文化はいけた。多分平均はあるかな?あとは問題の化学基礎だけ。折角ひい君に問題集貸してもらったし、少なくとも欠点は免れないと。

 チャイムが鳴って、私は問題用紙を表に向けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしてもモテない俺に天使が降りてきた件について

塀流 通留
青春
ラブコメな青春に憧れる高校生――茂手太陽(もて たいよう)。 好きな女の子と過ごす楽しい青春を送るため、彼はひたすら努力を繰り返したのだが――モテなかった。 それはもうモテなかった。 何をどうやってもモテなかった。 呪われてるんじゃないかというくらいモテなかった。 そんな青春負け組説濃厚な彼の元に、ボクッ娘美少女天使が現れて―― モテない高校生とボクッ娘天使が送る青春ラブコメ……に見せかけた何か!? 最後の最後のどんでん返しであなたは知るだろう。 これはラブコメじゃない!――と <追記> 本作品は私がデビュー前に書いた新人賞投稿策を改訂したものです。

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~

蒼田
青春
 人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。  目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。  しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。  事故から助けることで始まる活発少女との関係。  愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。  愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。  故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。 *本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!

佐々木雄太
青春
四月—— 新たに高校生になった有村敦也。 二つ隣町の高校に通う事になったのだが、 そこでは、予想外の出来事が起こった。 本来、いるはずのない同じ歳の三人の姉が、同じ教室にいた。 長女・唯【ゆい】 次女・里菜【りな】 三女・咲弥【さや】 この三人の姉に甘やかされる敦也にとって、 高校デビューするはずだった、初日。 敦也の高校三年間は、地獄の運命へと導かれるのであった。 カクヨム・小説家になろうでも好評連載中!

サンスポット【完結】

中畑 道
青春
校内一静で暗い場所に部室を構える竹ヶ鼻商店街歴史文化研究部。入学以来詳しい理由を聞かされることなく下校時刻まで部室で過ごすことを義務付けられた唯一の部員入間川息吹は、日課の筋トレ後ただ静かに時間が過ぎるのを待つ生活を一年以上続けていた。 そんな誰も寄り付かない部室を訪れた女生徒北条志摩子。彼女との出会いが切っ掛けで入間川は気付かされる。   この部の意義、自分が居る理由、そして、何をすべきかを。    ※この物語は、全四章で構成されています。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。 そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。 凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。 「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」 「気にしない気にしない」 「いや、気にするに決まってるだろ」 ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様) 表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。 小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

処理中です...