133 / 773
ワタシハ
積雪②
しおりを挟む
校門から見えるグラウンドは真っ白だった。
「うわぁぁぁぁ!」
「キィャーーー!」
「ハハハッ!」
こんなに寒いのに、陽キャ共は自分たちだけの空間を作ってやがる。まったく、愉快な奴らだ。
「あ~あ、あんな空間には入りたくないな。」
「きいもそうなのか。じゃあ、上行っとこう。」
「俺と楓は遊んでるわ。なんかあったら呼んでくれ。」
2人の荷物を受け取って教室へ上がる。中は、陽キャがいない分、静かだった。
「まさか、ここまでとはな。」
「カッコ書きを言ってくれ。」
ここでこのセリフをぶっ込んでくる桜には尊敬するわ。
「さてと、奏の席は…」
俺は自分の2つ隣の奏の席に荷物を置いた。
席替えをしたのはちょうど1週間前。これまで3回席替えをしてきたが、近くにはいつものメンバーが全員揃っていた。しかし、今回はきいと海南さんが1番前という超神引きをして、桜が3列目の窓側、1番後ろの席で俺と熊野さんと奏が横並びになっている。
「熊野さん、1時間目何やったっけ?」
「数Ⅰ。」
「寝るな、こりゃあ。」
ロッカーから教科書とノートを取り出して、窓の外を眺める。うちの教室からはグラウンドが見えるので、珍しいものに群がるアリ達を見ることができる。もちろん、人もいるが。
「あっ、ヘッスラしてる。」
アリ達の中の1人が全身を真っ白にしながら立ち上がる。絶対風邪ひくな。
「あぁ、遊びたかったのにな。」
「しょうがねぇだろ。陰の居場所を奪うのはいつだって陽の当たる奴らだ。」
「そうやね。行き帰りだけで我慢するか。」
俺ときいは窓の外を眺めるだけ。グラウンドから聞こえてくる笑い声を恨みながら。
楽しい楽しい生物の時間が終わって、終礼が始まる。というか、6時間目の間に終礼をしたので、チャイムと同時に、クラスの大半は教室の外へ飛び出した。
「まったく、元気な奴らだな。」
「電車が静かになるまで残ってようか。」
「そうだな。」
クラブに行く奏と海南さん、カレンに呼ばれた熊野さんを見送って、3人で教室内に残る。中は自習しているやつと、帰りたくないアピールをしている陽キャが残っている。見事なコントラストだ。
「私って昔はこんな風に見えてたのかな?」
「少なくとも俺はそんな感じに見えてたぞ。」
「久志、怒るよ。」
ポコポコと桜が俺の胸を叩いてくる。
「桜、ゴメンて。」
「今日の晩ご飯は作ってよ。」
「はいよ。」
喋っていたら、時間は早く過ぎていき、たぶん電車が4~5本行った頃に俺たちは教室を出た。
「はぁ、さすがに残ってないか。」
「昼間は降っていなかったからな。」
アスファルトを踏みしめて駅へと歩く。おそらく今年はもう雪は降らないだろう。来年は楽しめるかな。
「うわぁぁぁぁ!」
「キィャーーー!」
「ハハハッ!」
こんなに寒いのに、陽キャ共は自分たちだけの空間を作ってやがる。まったく、愉快な奴らだ。
「あ~あ、あんな空間には入りたくないな。」
「きいもそうなのか。じゃあ、上行っとこう。」
「俺と楓は遊んでるわ。なんかあったら呼んでくれ。」
2人の荷物を受け取って教室へ上がる。中は、陽キャがいない分、静かだった。
「まさか、ここまでとはな。」
「カッコ書きを言ってくれ。」
ここでこのセリフをぶっ込んでくる桜には尊敬するわ。
「さてと、奏の席は…」
俺は自分の2つ隣の奏の席に荷物を置いた。
席替えをしたのはちょうど1週間前。これまで3回席替えをしてきたが、近くにはいつものメンバーが全員揃っていた。しかし、今回はきいと海南さんが1番前という超神引きをして、桜が3列目の窓側、1番後ろの席で俺と熊野さんと奏が横並びになっている。
「熊野さん、1時間目何やったっけ?」
「数Ⅰ。」
「寝るな、こりゃあ。」
ロッカーから教科書とノートを取り出して、窓の外を眺める。うちの教室からはグラウンドが見えるので、珍しいものに群がるアリ達を見ることができる。もちろん、人もいるが。
「あっ、ヘッスラしてる。」
アリ達の中の1人が全身を真っ白にしながら立ち上がる。絶対風邪ひくな。
「あぁ、遊びたかったのにな。」
「しょうがねぇだろ。陰の居場所を奪うのはいつだって陽の当たる奴らだ。」
「そうやね。行き帰りだけで我慢するか。」
俺ときいは窓の外を眺めるだけ。グラウンドから聞こえてくる笑い声を恨みながら。
楽しい楽しい生物の時間が終わって、終礼が始まる。というか、6時間目の間に終礼をしたので、チャイムと同時に、クラスの大半は教室の外へ飛び出した。
「まったく、元気な奴らだな。」
「電車が静かになるまで残ってようか。」
「そうだな。」
クラブに行く奏と海南さん、カレンに呼ばれた熊野さんを見送って、3人で教室内に残る。中は自習しているやつと、帰りたくないアピールをしている陽キャが残っている。見事なコントラストだ。
「私って昔はこんな風に見えてたのかな?」
「少なくとも俺はそんな感じに見えてたぞ。」
「久志、怒るよ。」
ポコポコと桜が俺の胸を叩いてくる。
「桜、ゴメンて。」
「今日の晩ご飯は作ってよ。」
「はいよ。」
喋っていたら、時間は早く過ぎていき、たぶん電車が4~5本行った頃に俺たちは教室を出た。
「はぁ、さすがに残ってないか。」
「昼間は降っていなかったからな。」
アスファルトを踏みしめて駅へと歩く。おそらく今年はもう雪は降らないだろう。来年は楽しめるかな。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。
ながしょー
青春
ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。
このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。

学校一のモテ男がドS美少女に包囲されているらしい
無地
青春
容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群。あらゆるモテ要素を凝縮した男、朝日空(あさひそら)。彼が道を歩けば、女子は黄色い声援を浴びせ、下駄箱にはいつも大量のラブレター。放課後は彼に告白する女子の行列が出来る……そんな最強モテライフを送っていた空はある日、孤高の美少女、心和瑞月(こよりみづき)に屋上へ呼び出される。いつも通り適当に振ろうと屋上へ向かう空だったが……?!
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。


プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる