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ワタシハ

積雪①

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 朝、ぼーっとした頭でリビングのカーテンを開ける。今日は桜も早めに起きたみたいで珍しく杏がいない朝だった。

「久志、カーテン開けんの?寒なるやん。」
「窓に結露ついてるやろ。これ乾かさなカビなるから。」

窓から光が差し込み、目の前の道が見えるようになる。外の世界は真っ白だった。

「雪だ。」
「雪だなぁ。」

もうひとつの窓のカーテンも開ける。

「雪だなぁ。」
「雪だね。」

欠伸をしながら洗面所に向かおうとする。が、やっと情報の処理が出来て、気づいた。

「雪だわ。」
「うん、そうそう。雪積もってる。」
「えっ、雪?」
「雪だ!」

桜がリビングではしゃいでいる。その音で起きたのか、杏が降りてきた。

「おはよう、2人とも朝からどうしたの?」
「杏、外見てみろ。」
「外?あっ、雪だ!」

杏は窓に頬をくっつけて、外を眺める。定期的に窓が白くなって、また消えていくのを見ていると、外の寒さが伺えるな。

 朝ご飯を食べて家を出る。この前は道の端っこにうっすら積もっているだけだったが、今日は道の真ん中でも数ミリは積もっている。歩く度にローファーの底がシャリシャリ音を鳴らして、ときどき滑りそうになりながら、きいとの待ち合わせ場所まで歩く。

「おっはよ~!今日はちゃんと雪積もったね!」
「おう、そうだな、きい。」

喋る度に白い息が空に消えていく。雪が降っているから、肌を突き刺すような寒さではないが、体の芯から冷えてくるような寒さ。

「いやぁ~、今日朝起きたときびっくりしたな。だってめちゃくちゃ真っ白やもん。」
「うちでも杏が窓に張り付いてた。」
「何それ、めっちゃ可愛いんやけど。」
「残念ながら、動画は録っておりません。」
「チクショー。」

気づけばもう改札前。奏と海南さんがイチャコラしている。

「朝出てきていきなり雪玉当てるとか、マジでありえへんから。」
「ごめんて。ハハハ。」

やっぱりこの2人のやり取りを見ていると、やっぱり和むな。

「2人とも、イチャコラしてるのはいいけど、周りを砂糖で殴殺するなよ。」
「「そんなのしてないし!」」

やっぱ仲良いじゃねぇか。

 来た電車に乗って、香里園まで。車窓から見える景色も真っ白で、グラウンドに雪が積もっている期待はできるな。

 香里園で降りると、うちの学校の生徒が何グループかいた。

「雪積もってるかな?」
「積もってるやろ。」

「学校ついたら遊ばん?」
「いいなそれ!」

結局、みんな考えることは同じようだ。そして俺たちは雪道へと足を踏み出した。
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