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ワタシハ

白兎③

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「桜!桜!」
「ん?あっ!何だっけ?」
「ホントどうしたんだ?」
「何もないよ。ただぼーっとしてただけ。」

今日のコミュ英で寝てから、また桜が変になった。さっきからずっと上の空だし、呼びかけにもほぼ反応しない。

「何かあったのか?」
「えと、ん~、あの。まぁいいや。私の問題だから気にしないで。」
「…分かった。でも、力になれることがあれば言えよ。」
「うん、ありがと。」

俺は晩ご飯を作り始めた。

〇〇〇〇〇

 ベットの中。1人で今日のことを思い出す。コミュ英の時間中に見た幼い頃の私が言おうとしていることが、未だに分からないでいた。『忘れて』なんて言われても、そう簡単に忘れられるものではない。深く根付いた記憶は、そう簡単に消えやしない。私はまた、夢の中へ飛び込んだ。




「いた。」
「――――――。」

幼い頃の私は地面に三角座りしていた。

「探したよ。」
「――――――――――。」

私はまた、幼い私の背中にもたれかかる。

「ねぇ、これから白兎ちゃんって呼ぶね。」
「なんで?」
「なんとなく。」
「そう。」

白兎ちゃんの声色が少し明るくなる。

「私ね、今すっごく楽しいんだ。信じたいと思える人に出会えたから。」
「そうみたいね。たしか、ヒサシだっけ?いい人そうでいいんじゃない?」
「あと、奏っちと楓、音羽、そしてきい。杏ちゃんも。みんな信じられる友達。」
「そう、私にはいない人たちだ。」

白兎ちゃんはまた俯く。

 私は孤独だった。ちょうど、このくらいの歳の頃に友達なんていなかった。引っ越してきてやっとだ。人と関わりたいと思えたのは。この子は独りで生きていこうとしている。当時の私も頑なだったから、その意志を曲げることはないだろう。だから、

「いつか、いつか巡り会えるから。」
「―――――――。」

私は立ち上がった。白兎ちゃんに呼び止められることも無く、そこを立ち去った。





 夢から覚める。時間は3時前。ぐっすり眠れていた感じはないけど、体はしっかり休まっている。これ以上寝れそうにもないので、起きることにした。

 いつもやっていないけど、勉強してみる。意外と冴えていたので、いつも詰まる問題も、難なく解けた。

 シャワーを浴びて、鏡に映る自分を見る。私はどうやって白兎ちゃんを助ければいいのだろう。私がこうなるためには、勇気を出す以外何もしてないからな。

 シャワーから上がっても誰もいなかったので、朝ご飯を作ってみる。今まで手抜きのものしか作ってことがなかったから、忙しいな。作り終えた頃に2人が降りてきた。

「おはよ!」

私は今できる1番の笑顔で2人を迎えた。
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