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ワタシハ
白兎①
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『アンタのせいよ。』
またこの夢だ。今年になって何回見たか分からない。朝から気だるい時間を過ごさないといけないのは少し嫌だ。それでも、
「おはよう、桜。」
「おはようです、桜さん!」
この2人は元気に迎えてくれる。
「おはよ。」
うまく笑えているか分からないけれど、笑顔でそう返す。朝ご飯の用意はもう終わっていて、私の用意が終わったら食べられる状況。急いで髪を整えて、椅子に座った。
『いただきます。』
白ご飯に食べるラー油をかける。最近のマイブームはこれだ。
「桜はよく飽きないな。」
「そういう久志こそ、毎日お茶漬けで飽きないの?」
「いろんな味があるからな。それに比べてそっちは味、一つしかねぇじゃねぇか。」
「だから毎日量を変えてるんだよ。」
朝の会話はいつもこんな感じ。今日は珍しくテレビが点いていて、交通情報が流れていた。遅延している路線があるらしい。
『続いて、天気予報です。今日1月25日月曜日は、近畿圏の広範囲で雪となるでしょう。10年に1度の大雪となる可能性があります。交通機関の乱れにご注意ください。最高気温は―』
「雪は久しぶりだな前回は小1のときだっけ。雪合戦して遊んだなぁ。」
「私もそのときは、お母さんと河川敷で遊んでた。桜さんは?」
「静岡はあまり雪が降らないからちょっと楽しみ。」
食べ終わったら、私が洗い物をして3人一緒に外に出る。今日は電車が遅れるかもしれないからちょっと早めに。
「うわっ。もう降ってるし。」
「杏、こけんなよ。気をつけてな。」
「バカ兄たちこそ滑らないようにね。」
杏ちゃんはペダルに足を置いて、漕ぎ出して行った。
シャリッ、シャリッと音を鳴らして歩く。道路の脇の方なら雪が積もっているからちょっと楽しい。
「学校、積もってるかな?」
「ギリないだろ。明日とかならありえるかもな。」
「じゃあ、明日は雪合戦だ!」
待ち合わせ場所に着く。きいはもう来ていた。
「おはよ!久しぶりの雪だね。」
「なんだか懐かしいな。」
喋る度に吐き出す白い息は寒空に消えていく。私たちはたまに滑りそうになりながら、駅までの道を歩いた。
改札前で楓たちと合流して、ホームに降りる。
「線路真っ白!」
「こんなのなかなか見れねぇぞ!」
そこそこ人のいるホームで楓たちが騒ぐから少し恥ずかしい。電車が入ってきて、ほぼ満杯の状況の電車のドアギリギリに乗り込んだ。外を眺めていると、少しずつ変わっていく1面の銀世界が言葉にできないほど綺麗だ。香里園までの時間は一瞬で、すぐにドアが開く。押し出されるように外に出た私たちは、そのまま階段を登り、改札まで歩いた。
「やっぱ、外は寒いね。」
「桜!手繋ご!」
「ちょっ、きい!い、いいけど。」
私たちは学校に足を向けた。
またこの夢だ。今年になって何回見たか分からない。朝から気だるい時間を過ごさないといけないのは少し嫌だ。それでも、
「おはよう、桜。」
「おはようです、桜さん!」
この2人は元気に迎えてくれる。
「おはよ。」
うまく笑えているか分からないけれど、笑顔でそう返す。朝ご飯の用意はもう終わっていて、私の用意が終わったら食べられる状況。急いで髪を整えて、椅子に座った。
『いただきます。』
白ご飯に食べるラー油をかける。最近のマイブームはこれだ。
「桜はよく飽きないな。」
「そういう久志こそ、毎日お茶漬けで飽きないの?」
「いろんな味があるからな。それに比べてそっちは味、一つしかねぇじゃねぇか。」
「だから毎日量を変えてるんだよ。」
朝の会話はいつもこんな感じ。今日は珍しくテレビが点いていて、交通情報が流れていた。遅延している路線があるらしい。
『続いて、天気予報です。今日1月25日月曜日は、近畿圏の広範囲で雪となるでしょう。10年に1度の大雪となる可能性があります。交通機関の乱れにご注意ください。最高気温は―』
「雪は久しぶりだな前回は小1のときだっけ。雪合戦して遊んだなぁ。」
「私もそのときは、お母さんと河川敷で遊んでた。桜さんは?」
「静岡はあまり雪が降らないからちょっと楽しみ。」
食べ終わったら、私が洗い物をして3人一緒に外に出る。今日は電車が遅れるかもしれないからちょっと早めに。
「うわっ。もう降ってるし。」
「杏、こけんなよ。気をつけてな。」
「バカ兄たちこそ滑らないようにね。」
杏ちゃんはペダルに足を置いて、漕ぎ出して行った。
シャリッ、シャリッと音を鳴らして歩く。道路の脇の方なら雪が積もっているからちょっと楽しい。
「学校、積もってるかな?」
「ギリないだろ。明日とかならありえるかもな。」
「じゃあ、明日は雪合戦だ!」
待ち合わせ場所に着く。きいはもう来ていた。
「おはよ!久しぶりの雪だね。」
「なんだか懐かしいな。」
喋る度に吐き出す白い息は寒空に消えていく。私たちはたまに滑りそうになりながら、駅までの道を歩いた。
改札前で楓たちと合流して、ホームに降りる。
「線路真っ白!」
「こんなのなかなか見れねぇぞ!」
そこそこ人のいるホームで楓たちが騒ぐから少し恥ずかしい。電車が入ってきて、ほぼ満杯の状況の電車のドアギリギリに乗り込んだ。外を眺めていると、少しずつ変わっていく1面の銀世界が言葉にできないほど綺麗だ。香里園までの時間は一瞬で、すぐにドアが開く。押し出されるように外に出た私たちは、そのまま階段を登り、改札まで歩いた。
「やっぱ、外は寒いね。」
「桜!手繋ご!」
「ちょっ、きい!い、いいけど。」
私たちは学校に足を向けた。
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