陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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ワタシハ

初夢

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『アンタのせいよ―』

またこの夢だ。初夢くらいいいのを見せてよ。せっかくいい1年にしようと思ってるのにさ。何でこういう時に限って…

 私は昔から基本的になんでも出来る方だった。運動系はもちろん、勉強もほぼ全教科満点だった。

 私には仲のいい友達が2人いた。冴那と陽菜。2人とも家が近くて、よく3人で遊んでいた。いい感じの関係だったと思う。それでも、友情というものは案外容易く綻んでしまうものだ。

 冴那には好きな人がいた。冴那の幼馴染の男の子。冴那は、幼稚園の頃から彼のことが好きらしく、小6の運動会後に告白した。その次の日から、冴那の態度は変わってしまった。

「アンタのせいよ。アンタのせいだから、気安く話しかけないでくれる?」

最初は何のことか分からなかった。別に冴那に何かした訳でもないし、恨まれる覚えもない。そして、私にはある噂が上がった。色目を使って男たちを誘惑してると。もちろん、そんな覚えはない。私は全てを察してしまった。冴那がフラれたのは、その男の子が私のことが好きだからだと。もちろん確証は無い。それでも、そうとしか考えられない。噂は校内を駆け巡り、私は全員から白い目で見られる存在になった。教室で聞こえてくるのは私の悪口ばかり。最初の頃は耐えられていたが、2学期が終わる頃には耐えきれなくなり、学校を休むようになった。

 中学校からは別々のところに行くようになったので、疎遠状態のまま。連絡も取ってないし、顔を合わせることもない。

 ただ、あの顔だけが忘れられない。憎悪に満ちた笑みが。


 少し身体が熱く感じて目を覚ます。寝間着が少し冷たいから、相当汗をかいたのだろう。まさか、初夢が冴那のことだなんて思わなかった。今日はみんなと初詣に行く日なんだ。私だけこんなテンションじゃいけないな。

「おはよう。」
「おはよう…大丈夫か?」
「何で?」
「顔、赤いから。」

嘘、まだ顔赤かったの?熱が引くまで少しじっとしてたんだけどな。

「ちょっと暑かっただけだから。」
「今日、‐1℃だぞ。身体大丈夫か?風邪引いてないか?」
「大丈夫だって。」

冷たい水を飲んで、もう少し身体を冷やす。新年から本当に最悪だ。集合は8時に蹉跎神社だからもうすぐ出た方がいいな。

「行くよ!久志、杏ちゃん!」
「お、おう。」

久志は少し心配な顔をして返事した。
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