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ハジメテ

そして冬服になった

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 中間考査が終わり、少しずつ涼しくなってきた。移行期間なので、冬服に変えるタイミングは自由だが、寒がりの人以外は基本的に変えないので、11月頭の今日からの冬服期間に合わせて変える人が多い。

 いつもと違う長袖のカッターシャツに袖を通し、ネクタイを締める。いつもより窮屈な感触が肌を包み、少し大人になった気持ちになる。紺色のブレザーとリュックを持って、リビングに降りた。

「おはよ、バカ兄。」
「おはよ、杏も今日から冬服か?」
「まあね。このブレザーもちょっとちっちゃくなったかな?」

杏が両腕を上げると、小さな腕時計が見えた。

「今度の休み、伸ばしといたら?」
「そうする。」

 洗面所で寝癖を直す。少し髭も伸びてきたので、剃っておいた。リビングに戻ると、桜が降りてきていた。俺が終わるのを待っていたようで、「おはよう。」と言うと「おはよう。」とだけ返し、そのまま髪を整え始めた。俺と杏で朝食を作り、桜が来るのを待つ。

「ごめん、待たせた。」
「別にいいよ。早く食べよ!」
『いただきまーす!』

3人とも卵かけご飯を作って流し込む。

「うちの学校ってリボンとネクタイ選べたんだな。」
「そうそう、だから私はネクタイにしてる。なんかかっこいいしね。みんなはどうかな?」
「きい姉はリボンだと思う。」
「音羽と楓はネクタイかな?琴さんはリボンで、船戸さんと柚さんはネクタイだと思う。あぁ、杏は会ったことないか。文化祭で一緒に仕事したんだ。この3人で、右から柚さん、船戸さん、琴さん。」
「杏の予想は、右からリボン、ネクタイ、リボンかな?」
「柚音の予想だけ分かれたね。」

さて、俺たちの予想は当たっているのか。

 家を出て、まずはきいの家のインターホンを鳴らす。ドタドタと音がしてきいが出てきた。

「「よし当たり!」」
「何?何?」

びっくりしているきいに事情を説明すると、興味を示したようで、海南さんがネクタイ、熊野さんがリボンと予想した。そして光善寺の改札前へ。奏と海南さんはもう来ていて、2人で喋っている。ちなみに、海南さんはネクタイだった。

『よおぉぉぉぉし!』

俺たちの予想は的中。きょとんとしている2人に説明すると、熊野さんの予想は奏はネクタイ、海南さんはリボンと予想した。

 教室に入ると、射的メンバーはもう来ていた。琴さんはネクタイ、船戸さんはリボン、柚さんはネクタイで、的中率は3割か。あとは熊野さんを待つだけ。

「セーーーフ!ハァハァ。」

熊野さんが教室に駆け込んできた。つけているのは、ネクタイ。

『ッッッッッシャアァァァァァァ!』
「「チックショーーーーー!」」

何やってんだ?俺たち。
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