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ハジメテ
そして文化祭は始まった④
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「それでは、コルク弾を装填してから、レバーを引いて、撃ってください。じゃあ、ご自分のいいタイミングで。」
仕事内容は撃ち方を説明して、不正がないように見るだけ。ではない。
例えばこういうお客さんが来た時。
「おー可愛いね!何歳?」
「5!」
元気よく答える少女に思わず笑みがこぼれる。幼稚園くらいの少女は1番攻撃力が高い。正直、今のも危なかった。
「じゃあやり方は…」
「分かる!ここにこれを入れて、このレバーを引く、でしょ?」
「そうそう、あってる!じゃあやってみよう!」
「うん!」
少女はコルク弾を差し込んで、レバーに手をかける。
「ふん!ふん!ふんんんん!」
「お兄ちゃんがやろうか?」
「ん!」
銃を差し出してきたので、レバーを引いてあげる。準備完了。
「どれにする?」
「下の右のやつ!」
「じゃあ、よーく狙ってね。」
集中した顔で狙いを定め、撃つ。が、弾は少し上にズレて、当たらなかった。
「惜しいね~。次はちょっと下の方を狙おうか。」
「うん!」
少女はまた弾を差し込み、レバーを引こうとする。やっぱり引ききれない。
「どうする?やってあげようか?」
「おねがーい!」
「はいはい。」
そのあとも2発目、3発目、4発目と的を外し、5発目。
「レバー自分でできた!」
「おお!よかったね!」
些細なことで喜んで褒めてもらえるのは小さい子の特権だろう。だって、喜ぶ姿が可愛いんだから。少女はさっきまでと同じ的を狙って撃つ。まっすぐ進んだ弾は的の少し上の方に当たり、倒れた。
「やった~!」
「おめでとう!」
俺が拍手をすると後ろに並んでいた3年生も拍手し、教室が拍手に包まれた。その中で飛び跳ねて喜ぶ少女を見ていると、もう守ってあげたい気持ちになった。
「またね!」
少女が教室を出るとき、そう呼びかけられたので手を振って返す。この先会うことがないのがほぼ確実だろう。それでも、また会えたらいいなと思った。
昼が過ぎ、少し空腹を覚え始めたころ。
「これにて、文化祭2日目を終了します。皆様ありがとうございました。」
放送が流れて、祭りは終了した。記念撮影と片付けを済ませ、帰路に着く。横には桜ときい。
「2人ともお疲れ様。」
「Qこそめっちゃ頑張ってたやん。」
「ひい君があの女の子の接客している時、めっちゃニコニコやったで。」
「マジかよ。」
俺は両手で、自分の頬をこねくり回す。何も変わったことは無い。
「いやぁ、大盛況だったね。」
「休憩する間もなかった。」
「普段運動していないから足が重い。」
ロータリーを抜けて、駅へ。風が少し涼しくて気持ちいい。俺たちは反対側のホームに集まる、名前も知らない生徒を眺めながら、ベンチに座った。
「自然すぎて気づいてなかったけど、桜、関西弁上手くなってね!?」
「私も思った!」
「そりゃあ、常日頃ベッタベタの関西弁に囲まれてるし。」
「なんかディスられてる気がするんだが。」
「気のせいだよ。」
何気ない会話が、夕焼けの空に消えていく。
「来年は一緒に回ろうね。」
「そうだな。6人で回れたらいいな。」
来年の文化祭が楽しみだなんて、初めて思った。
仕事内容は撃ち方を説明して、不正がないように見るだけ。ではない。
例えばこういうお客さんが来た時。
「おー可愛いね!何歳?」
「5!」
元気よく答える少女に思わず笑みがこぼれる。幼稚園くらいの少女は1番攻撃力が高い。正直、今のも危なかった。
「じゃあやり方は…」
「分かる!ここにこれを入れて、このレバーを引く、でしょ?」
「そうそう、あってる!じゃあやってみよう!」
「うん!」
少女はコルク弾を差し込んで、レバーに手をかける。
「ふん!ふん!ふんんんん!」
「お兄ちゃんがやろうか?」
「ん!」
銃を差し出してきたので、レバーを引いてあげる。準備完了。
「どれにする?」
「下の右のやつ!」
「じゃあ、よーく狙ってね。」
集中した顔で狙いを定め、撃つ。が、弾は少し上にズレて、当たらなかった。
「惜しいね~。次はちょっと下の方を狙おうか。」
「うん!」
少女はまた弾を差し込み、レバーを引こうとする。やっぱり引ききれない。
「どうする?やってあげようか?」
「おねがーい!」
「はいはい。」
そのあとも2発目、3発目、4発目と的を外し、5発目。
「レバー自分でできた!」
「おお!よかったね!」
些細なことで喜んで褒めてもらえるのは小さい子の特権だろう。だって、喜ぶ姿が可愛いんだから。少女はさっきまでと同じ的を狙って撃つ。まっすぐ進んだ弾は的の少し上の方に当たり、倒れた。
「やった~!」
「おめでとう!」
俺が拍手をすると後ろに並んでいた3年生も拍手し、教室が拍手に包まれた。その中で飛び跳ねて喜ぶ少女を見ていると、もう守ってあげたい気持ちになった。
「またね!」
少女が教室を出るとき、そう呼びかけられたので手を振って返す。この先会うことがないのがほぼ確実だろう。それでも、また会えたらいいなと思った。
昼が過ぎ、少し空腹を覚え始めたころ。
「これにて、文化祭2日目を終了します。皆様ありがとうございました。」
放送が流れて、祭りは終了した。記念撮影と片付けを済ませ、帰路に着く。横には桜ときい。
「2人ともお疲れ様。」
「Qこそめっちゃ頑張ってたやん。」
「ひい君があの女の子の接客している時、めっちゃニコニコやったで。」
「マジかよ。」
俺は両手で、自分の頬をこねくり回す。何も変わったことは無い。
「いやぁ、大盛況だったね。」
「休憩する間もなかった。」
「普段運動していないから足が重い。」
ロータリーを抜けて、駅へ。風が少し涼しくて気持ちいい。俺たちは反対側のホームに集まる、名前も知らない生徒を眺めながら、ベンチに座った。
「自然すぎて気づいてなかったけど、桜、関西弁上手くなってね!?」
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「そりゃあ、常日頃ベッタベタの関西弁に囲まれてるし。」
「なんかディスられてる気がするんだが。」
「気のせいだよ。」
何気ない会話が、夕焼けの空に消えていく。
「来年は一緒に回ろうね。」
「そうだな。6人で回れたらいいな。」
来年の文化祭が楽しみだなんて、初めて思った。
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