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サマバケ
DAY36①
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朝、少し早めに目が覚めてしまった。時間は5時前。起きている人も少ないから静かにしておこう。
お湯を沸かして朝の1杯。ステンレス製のコップに甘酒の乾燥したやつを入れて、湯を注ぐ。スプーンでかき混ぜて完成だ。
「みんな何時ぐらいに起きるかな?」
自分の椅子に座って呟く。気温は涼しいと感じるけど、温かいものを飲むと少し暑いと感じるほど。少しずつ見えてくる太陽を眺めながら1口。理想が叶った。
「おう、桜。起きてたのか。」
「久志こそ早いね。」
「枕が変わるとあんまり寝れなくてな。ふわぁぁ。」
「私もそんな感じ。あんまり寝れてないな。何か飲む?」
「チャイを頼む。」
私はスティックのチャイ・オレを箱から取り出して、ステンレスのコップに入れる。お湯を注いで、これもかき混ぜるだけで完成だ。
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。あぁ、染みるぅぅ!」
久志はフーフーしながら少しずつ飲んでいく。少なくとも、このチャイが無くなるまでは2人で話せるな。
「久志ってこういうの初めてだよね。楽しかった?」
「まぁな。知らねぇこともいっぱいだし、まだ人付き合いも手探りだけど、楽しいな。」
「そう。それならよかった。」
私の脳裏には1つの光景が浮かぶ。
『アンタといても何にも楽しくない。』
ダメだ、私。こんなに楽しいのに、この記憶を思い出しちゃ。私は変わったんだから。
「桜?」
「何にもないよ。ちょっと考え事してただけ。」
「それならよかった。」
顔を覗き込んできた久志にそうとだけ答えて、私は甘酒を飲む。少し恥ずかしい。
「桜って、弱いところ見せないよな。」
「そ、そうかな?」
「そうだな。別に素を見せてくれてもいいのに。」
「そ、そう。」
正直言って少し怖い。だって、私の素を見せたらみんな離れていくんだから。このメンバーとそんなので離れるのは絶対に嫌だから。そういう人たちじゃないってのは分かってるんだけど、どうしてもできない。
「もし、私の素がみんなが思っていたのと違うかったとして、離れていかないよね。」
「当たり前だろ。友達だから。」
「友達だもんね。」
そうか。友達か。本当にそう思ってくれてるんだったら嬉しいな。
「おはよ!」
「おはよう、きい。」
まずはきいが出てくる。続いて楓と音羽が出てきて、最後に奏っちが出てきた。
「Q、朝飯頼んだ。」
「しょうがねぇな。ホットサンド作るけど、何挟みたい?」
「Qに任せる。」
「私も。」
「私はハムと卵がいいかな。」
「私はチーズマシマシのハムで!よろしくね、ひい君。」
「俺はテキトーでいいわ。」
久志はバウルーにバターを塗って、パンをしく。具材を挟んで、焚き火の上に置いた。たまに焦げてないか確認しながら、きつね色になるまで焼き続ける。1回あたり、だいたい3分ずつぐらいだから、全員分焼くのにだいたい20分。焼けた分から食べてもらう。ちなみに大好評だった。
焚き火の火を鎮めながら、軽く片付けを始める。テントの中なら荷物を出して、ブルーシートに乗せていく。さっき楓のお母さんから連絡があったから、あと1時間ぐらいで迎えに来てくれるだろう。タープを畳んで、テントを解体し、残るはそれぞれの椅子だけ。消えていく火を椅子で囲んで眺めながら、楓のお母さんが来るのを待った。
火が消える。夏の終わりを暗示しているようで、少し哀しい。それでも、学校でまた会えるから、今はセンチな気分にはならないでおこう。
『この夏がずっと終わらなければいいのに』
なんて考えないでおこう。
お湯を沸かして朝の1杯。ステンレス製のコップに甘酒の乾燥したやつを入れて、湯を注ぐ。スプーンでかき混ぜて完成だ。
「みんな何時ぐらいに起きるかな?」
自分の椅子に座って呟く。気温は涼しいと感じるけど、温かいものを飲むと少し暑いと感じるほど。少しずつ見えてくる太陽を眺めながら1口。理想が叶った。
「おう、桜。起きてたのか。」
「久志こそ早いね。」
「枕が変わるとあんまり寝れなくてな。ふわぁぁ。」
「私もそんな感じ。あんまり寝れてないな。何か飲む?」
「チャイを頼む。」
私はスティックのチャイ・オレを箱から取り出して、ステンレスのコップに入れる。お湯を注いで、これもかき混ぜるだけで完成だ。
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。あぁ、染みるぅぅ!」
久志はフーフーしながら少しずつ飲んでいく。少なくとも、このチャイが無くなるまでは2人で話せるな。
「久志ってこういうの初めてだよね。楽しかった?」
「まぁな。知らねぇこともいっぱいだし、まだ人付き合いも手探りだけど、楽しいな。」
「そう。それならよかった。」
私の脳裏には1つの光景が浮かぶ。
『アンタといても何にも楽しくない。』
ダメだ、私。こんなに楽しいのに、この記憶を思い出しちゃ。私は変わったんだから。
「桜?」
「何にもないよ。ちょっと考え事してただけ。」
「それならよかった。」
顔を覗き込んできた久志にそうとだけ答えて、私は甘酒を飲む。少し恥ずかしい。
「桜って、弱いところ見せないよな。」
「そ、そうかな?」
「そうだな。別に素を見せてくれてもいいのに。」
「そ、そう。」
正直言って少し怖い。だって、私の素を見せたらみんな離れていくんだから。このメンバーとそんなので離れるのは絶対に嫌だから。そういう人たちじゃないってのは分かってるんだけど、どうしてもできない。
「もし、私の素がみんなが思っていたのと違うかったとして、離れていかないよね。」
「当たり前だろ。友達だから。」
「友達だもんね。」
そうか。友達か。本当にそう思ってくれてるんだったら嬉しいな。
「おはよ!」
「おはよう、きい。」
まずはきいが出てくる。続いて楓と音羽が出てきて、最後に奏っちが出てきた。
「Q、朝飯頼んだ。」
「しょうがねぇな。ホットサンド作るけど、何挟みたい?」
「Qに任せる。」
「私も。」
「私はハムと卵がいいかな。」
「私はチーズマシマシのハムで!よろしくね、ひい君。」
「俺はテキトーでいいわ。」
久志はバウルーにバターを塗って、パンをしく。具材を挟んで、焚き火の上に置いた。たまに焦げてないか確認しながら、きつね色になるまで焼き続ける。1回あたり、だいたい3分ずつぐらいだから、全員分焼くのにだいたい20分。焼けた分から食べてもらう。ちなみに大好評だった。
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火が消える。夏の終わりを暗示しているようで、少し哀しい。それでも、学校でまた会えるから、今はセンチな気分にはならないでおこう。
『この夏がずっと終わらなければいいのに』
なんて考えないでおこう。
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