上 下
51 / 725
サマバケ

DAY14①

しおりを挟む
「ウェーイ!プールだぁ!」

朝っぱらからきいの元気な声が木霊する。

「はぁ、プールだぁ。」
「そんなこともあるって。明日からのプールが楽しくなるかもよ。」
「そういうもんか?」

奏は…まぁしょうがないか。ひとまずお疲れ様。

 今日は近くの遊園地のプールに来たで…おま!有名なところだから人は多い。園長を探してみたけれど、まぁいるわけないか。客層は子供連れが結構多め。こういう人達は下のプールに集まっている。

「着替えたら、上集合ね。」
「後でな~!」

一旦解散して更衣室へ。手早く着替えて戻ってきた。女子たちはまだ来ていないみたいだ。

「奏、先行っとくか。」
「そうだな。はぁ、何で15日も連続でプールに入らないといけないんだ。」
「水泳部の宿命だ。諦めな。」

話しながら歩いていると、プールにたどり着いた。こっちは高台にあるプール。人こそいるものの、見晴らしはとてもいい。リゾートのプールとは言えないが。

 とりあえず水に膝下を入れる。冷たい感触がふくらはぎにまとわりついて、気持ちいい。

「あぁ、これこれ。毎日味わっている感触。遊びのプールだからって変わるもんじゃねぇんだな。」
「そっちは仕事だろ。」
「そうだけどよ。やってみたら分かるわ。毎日水に触れていると、どうなるか。プールにすら喜びを感じない。」
「可哀想に。」

そう言って水の中に入り、1度潜る。浮き上がってみると、身震いしそうになるほど涼しかった。

「冷たくて気持ちいいぞ、入ってみろ。」
「おう、あぁ、確かに。いつものプールよりは冷たくて気持ちいいな。」

奏は肩まで浸かって一息つく。風呂場のおっさんか!お前は!

「おうおう、お二人さん、先楽しんじゃってんのぉ。」
「おう、やっと来たか。」

ここで女子たちと合流。水着はイメージ通り。桜は白のビキニで、きいはワンピースっぽいやつ。海南さんはレモン色のビキニ、熊野さんはラッシュガードを着ているので、中身は分からないが、全員満点だ。

「さてここで問題です。ここに来るまでに全員合わせて何回ナンパされたでしょうか?」
「知らんけど、まぁ4回。音羽ときいが1回ずつで、桜が2回かな?」
「おい、奏、私は?」
「ナンパされてないだろ?間違ってるか?」
「にゃろーーー!」

奏は海南さんに足で踏んずけられて、沈められている。バタバタと手足をもがいて足を払い除けて、顔を上げた。

「殺す気か?」
「すまんすまん。んで正解は、なんと10回でしたー!音羽と私ときいが2回ずつ、桜が4回です!パフパフ~!てことで、私が言わんとしてることわかるよね。ナンパ避けよろしくね!」
「「えぇ....」」
「おら男子たち!今も桜に熱い視線を送っている輩がいるかもしれんぞ。頑張れ頑張れ!」

バシャ

気づけば奏が海南さんに水をかけていた。悪い顔をしている。

「にゃろーーー!」

バシャンと大きな水飛沫を上げてプールに飛び込んだ海南さんは、奏の口めがけて水をかけ続ける。俺たちはそれを横目に見ながら借りた浮き輪でぷかぷか浮いていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~

蒼田
青春
 人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。  目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。  しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。  事故から助けることで始まる活発少女との関係。  愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。  愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。  故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。 *本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。 将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。 サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。 そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。 サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

坊主頭の絆:学校を変えた一歩【シリーズ】

S.H.L
青春
高校生のあかりとユイは、学校を襲う謎の病に立ち向かうため、伝説に基づく古い儀式に従い、坊主頭になる決断をします。この一見小さな行動は、学校全体に大きな影響を与え、生徒や教職員の間で新しい絆と理解を生み出します。 物語は、あかりとユイが学校の秘密を解き明かし、新しい伝統を築く過程を追いながら、彼女たちの内面の成長と変革の旅を描きます。彼女たちの行動は、生徒たちにインスピレーションを与え、更には教師にも影響を及ぼし、伝統的な教育コミュニティに新たな風を吹き込みます。

処理中です...