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サマバケ
DAY8
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今日は学校ではなく、ラクタプドームに来ている。高校対抗、学校別のポイント制の大会だ。俺の出番は1日目の200mIM(個人メドレーの略)と2日目の100mFly(バタフライの略)だ。とりあえず今日の出番は昼前だから、アップは軽めにしておこう。
試合の時のアップは基本的に自由だ。男女別でコースが別れていたり、途中から飛び込み練習のためコースを空けないといけないが、それまでは自由。アップはメインプールとその横にあるアッププールでできて、その行き来は自由。どちらも人でいっぱいで泳げそうになくなるのは目に見えているけど。
まずはメインプールで長めの距離を落ち着いて泳ぐ。泳ぐのを許可されてからすぐのあまり人がいないときにしないと、遅れると全く泳げなくなる。まずは200mほどゆっくり泳ぐ。終わったときにはプールサイドには人がごった返していたので、俺は諦めてアッププールに向かった。
アッププールは人こそいるものの、元々25mずつしか泳ぐ気がないので、それで十分だ。肩と足を温めてから、全種目少しずつ泳ぐ。どれも調子はまあまあ。ベストこそ出るもののそこまでのタイムは期待出来なさそうだ。
飛び込み練習が解禁されたので、列に並ぶ。1本飛んで、ゴーグルのゴムの長さ調整をしてから2本目。ゴーグルはなんの問題もなくなって、俺はアップをやめた。
「加太、調子はどうだ?」
「イマイチですね。」
「何だそれ。でも今日は白野に勝つんだろ。」
「当たり前じゃないですか。」
顧問とそれだけ会話をして、観客席に戻る。試合まではあと2時間ほど。俺は試合を見ながら隣のピー也と話していた。
「カラオケは最終日でいいよな。」
「いいだろ。楓連れていくのは?」
「アウトだ。目の前に幼馴染を見ると俺は何をするか分からん。」
「ハハッ!ならやめとくわ。」
試合前1時間を切ったので俺はイヤホンを耳に突っ込み、音楽を聴き始める。聞いているのは昨日新しく作ったプレイリスト。夏にピッタリのサウンドがだいたい10曲で組んでいる。俺は集中力を高めていく。
試合前30分。試合用の水着を履き始める。更衣室は使わずにスタンド裏でするのが水泳部の当たり前だ。なぜなら、試合用の水着を履く時に使うザックという布があるため、別に更衣室まで移動する必要がないから。キツめのサイズを自分で選んでいるので履くのには時間がかかる。慣れれば10秒で履けるらしいが。
試合前15分。招集のアナウンスがあって、俺は召集所に向かう。召集所では、同じレースに出るメンバーが思い思いにストレッチしていて、誰も何も話さない。それぞれのレーン別に別れた椅子に座ってさらに集中力を高めていく。
試合前3分。前のレースが始まって、俺はジャージを脱ぐ。メッシュキャップを被り、ゴーグルをつける。その上からシリコンキャップを被り、準備完了。最後に肩を軽く伸ばして、自分のレーンの前に行った。
試合前1分。プールと審判に一礼をしてから、いつものルーティーン。肩甲骨を剥がして首をコキッと音を鳴らす。最後に親指で人差し指の関節を鳴らして、金木研の真似。これでスイッチオン。中学時代から何ら変わらぬルーティーン。周りの音が消えていく。
ホイッスルが鳴ってスタート台に上がる。ドーム中が静寂に包まれる。ピッという音に反応して飛び込む。若干反応には遅れたが、まずは得意なバタフライ…のはずなのに先頭から置いていかれるのが見える。しょうがない後半勝負だな。背泳ぎは本当に苦手。とりあえず泳ぎきって平泳ぎの息継ぎの時に見えた先頭は15メートルほど先。ここで焦っても遅くなるだけだから。しっかり一つ一つの動作を丁寧にして着実に距離を詰めていく。平泳ぎのターンの時に見れば10mほどまで差が詰まっていた。最後は得意なクロール。地獄のような練習を耐え抜いた体力をフルに使って先頭に追いつくように全力で泳ぐ。1人、2人と抜いていき、ラスト1人になった時にゴールした。タッチの差で2位だった。
白野には勝てたが、前半に課題があったレースだった。スタンドに戻ってからは応援。無声応援とは言われているが、自然と声が出ていて、試合が終わった時には声が枯れていた。
試合の時のアップは基本的に自由だ。男女別でコースが別れていたり、途中から飛び込み練習のためコースを空けないといけないが、それまでは自由。アップはメインプールとその横にあるアッププールでできて、その行き来は自由。どちらも人でいっぱいで泳げそうになくなるのは目に見えているけど。
まずはメインプールで長めの距離を落ち着いて泳ぐ。泳ぐのを許可されてからすぐのあまり人がいないときにしないと、遅れると全く泳げなくなる。まずは200mほどゆっくり泳ぐ。終わったときにはプールサイドには人がごった返していたので、俺は諦めてアッププールに向かった。
アッププールは人こそいるものの、元々25mずつしか泳ぐ気がないので、それで十分だ。肩と足を温めてから、全種目少しずつ泳ぐ。どれも調子はまあまあ。ベストこそ出るもののそこまでのタイムは期待出来なさそうだ。
飛び込み練習が解禁されたので、列に並ぶ。1本飛んで、ゴーグルのゴムの長さ調整をしてから2本目。ゴーグルはなんの問題もなくなって、俺はアップをやめた。
「加太、調子はどうだ?」
「イマイチですね。」
「何だそれ。でも今日は白野に勝つんだろ。」
「当たり前じゃないですか。」
顧問とそれだけ会話をして、観客席に戻る。試合まではあと2時間ほど。俺は試合を見ながら隣のピー也と話していた。
「カラオケは最終日でいいよな。」
「いいだろ。楓連れていくのは?」
「アウトだ。目の前に幼馴染を見ると俺は何をするか分からん。」
「ハハッ!ならやめとくわ。」
試合前1時間を切ったので俺はイヤホンを耳に突っ込み、音楽を聴き始める。聞いているのは昨日新しく作ったプレイリスト。夏にピッタリのサウンドがだいたい10曲で組んでいる。俺は集中力を高めていく。
試合前30分。試合用の水着を履き始める。更衣室は使わずにスタンド裏でするのが水泳部の当たり前だ。なぜなら、試合用の水着を履く時に使うザックという布があるため、別に更衣室まで移動する必要がないから。キツめのサイズを自分で選んでいるので履くのには時間がかかる。慣れれば10秒で履けるらしいが。
試合前15分。招集のアナウンスがあって、俺は召集所に向かう。召集所では、同じレースに出るメンバーが思い思いにストレッチしていて、誰も何も話さない。それぞれのレーン別に別れた椅子に座ってさらに集中力を高めていく。
試合前3分。前のレースが始まって、俺はジャージを脱ぐ。メッシュキャップを被り、ゴーグルをつける。その上からシリコンキャップを被り、準備完了。最後に肩を軽く伸ばして、自分のレーンの前に行った。
試合前1分。プールと審判に一礼をしてから、いつものルーティーン。肩甲骨を剥がして首をコキッと音を鳴らす。最後に親指で人差し指の関節を鳴らして、金木研の真似。これでスイッチオン。中学時代から何ら変わらぬルーティーン。周りの音が消えていく。
ホイッスルが鳴ってスタート台に上がる。ドーム中が静寂に包まれる。ピッという音に反応して飛び込む。若干反応には遅れたが、まずは得意なバタフライ…のはずなのに先頭から置いていかれるのが見える。しょうがない後半勝負だな。背泳ぎは本当に苦手。とりあえず泳ぎきって平泳ぎの息継ぎの時に見えた先頭は15メートルほど先。ここで焦っても遅くなるだけだから。しっかり一つ一つの動作を丁寧にして着実に距離を詰めていく。平泳ぎのターンの時に見れば10mほどまで差が詰まっていた。最後は得意なクロール。地獄のような練習を耐え抜いた体力をフルに使って先頭に追いつくように全力で泳ぐ。1人、2人と抜いていき、ラスト1人になった時にゴールした。タッチの差で2位だった。
白野には勝てたが、前半に課題があったレースだった。スタンドに戻ってからは応援。無声応援とは言われているが、自然と声が出ていて、試合が終わった時には声が枯れていた。
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