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サマバケ
DAY2①
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家の前が何やら騒がしくなって目が覚めた。寝ぼけた頭で体をわずかに動かし、スマホを点けて時間を見る。もう10時。太陽はだいぶ上まで昇り、2階の俺の部屋の窓から燦々と照りつけている。
「きいが来たのか。早いな。まぁ、これぐらいに来るって言ってたしな。」
固まった体を動かし、洗面所へ向かう。顔を洗って歯を磨いて、再度、自分の部屋に戻る。動きやすいスウェットに着替えて、手櫛で寝癖を直す。ある程度ハネが無くなったら、リビングに戻る。もう、きいがいた。
「おはよ、ひい君。寝起きでしょ。まったく、友達が来るっていうのに、来るまで寝ているやつがどこにいんの?」
「幼馴染だからそれぐらい遠慮がいらないんだよ。たとえば、俺がきいの家に行くことがあってもよ、きい、寝てるだろ?」
「だろうね。多分。」
「そういうことよ。」
「なるへ。」
俺は朝飯がわりのパンをつまむ。横からきいの顔が伸びてきたので、餌付けしてやったら、きいは美味しそうにそれを頬張り、勉強道具を開く。桜は対面に座り、数学の問題集を開いた。
「2人とも、今日は数学か?」
「その予定だけど。他にやりたい教科あるの?」
「いや別に。」
俺は菓子パンを数個食べて、部屋に数学の問題集を取りに行く。口の中にはほのかに甘さが残っていたため、部屋に置いてあるガムを1つ口に放り込み、鼻から息を吸った。爽やかな空気が脳神経を刺激し、頭が勉強モードに切り替わる。戻れば、きいはもう、問題を解き始めていた。
「えらい変わりようだな。」
「人は日々成長するものです。」
「本当に?」
桜はきいの胸を見て聞き直す。するときいは顔を真っ赤にして、
「発達途中だし!」
と叫ぶ。桜の前では無駄な足掻きになってしまうのだが。
昨日よりはペースが落ちているとはいえ、2時間で10ページ近く進んだ。途中、教えながらやっていたのもあり、より理解が深まったのは言うまでもないだろう。昼飯は簡単に済ませたいとのことで、インスタントラーメンになった。俺がカレー、桜が塩、きいが味噌を選んで、それぞれ沸かした湯を入れる。3分経ったら完成だ。
「シェアしよ!」
きいのその一声で、俺たちはカップごと回しながら全部の味を食べる。最近出た塩、味噌味は初めてだったので、少し恐る恐る食べてみたが、意外と美味しかった。これからたまに食べるのもアリかもしれない。最後に戻ってきたカレー味のスープを飲み干し、俺たちはもう一度勉強を始めた。
「きいが来たのか。早いな。まぁ、これぐらいに来るって言ってたしな。」
固まった体を動かし、洗面所へ向かう。顔を洗って歯を磨いて、再度、自分の部屋に戻る。動きやすいスウェットに着替えて、手櫛で寝癖を直す。ある程度ハネが無くなったら、リビングに戻る。もう、きいがいた。
「おはよ、ひい君。寝起きでしょ。まったく、友達が来るっていうのに、来るまで寝ているやつがどこにいんの?」
「幼馴染だからそれぐらい遠慮がいらないんだよ。たとえば、俺がきいの家に行くことがあってもよ、きい、寝てるだろ?」
「だろうね。多分。」
「そういうことよ。」
「なるへ。」
俺は朝飯がわりのパンをつまむ。横からきいの顔が伸びてきたので、餌付けしてやったら、きいは美味しそうにそれを頬張り、勉強道具を開く。桜は対面に座り、数学の問題集を開いた。
「2人とも、今日は数学か?」
「その予定だけど。他にやりたい教科あるの?」
「いや別に。」
俺は菓子パンを数個食べて、部屋に数学の問題集を取りに行く。口の中にはほのかに甘さが残っていたため、部屋に置いてあるガムを1つ口に放り込み、鼻から息を吸った。爽やかな空気が脳神経を刺激し、頭が勉強モードに切り替わる。戻れば、きいはもう、問題を解き始めていた。
「えらい変わりようだな。」
「人は日々成長するものです。」
「本当に?」
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「発達途中だし!」
と叫ぶ。桜の前では無駄な足掻きになってしまうのだが。
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「シェアしよ!」
きいのその一声で、俺たちはカップごと回しながら全部の味を食べる。最近出た塩、味噌味は初めてだったので、少し恐る恐る食べてみたが、意外と美味しかった。これからたまに食べるのもアリかもしれない。最後に戻ってきたカレー味のスープを飲み干し、俺たちはもう一度勉強を始めた。
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