陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

文字の大きさ
上 下
35 / 773
サマバケ

DAY1②

しおりを挟む
 やり始めてかれこれ2時間。まったく会話がない。俺は数学をやってるから特に分からないところもなく、すらすらと進んでいる。それは桜も同じこと。マルチプレイヤーである桜も、分からないところなどない。むしろ分からない問題を持ってこいと言われた方が困るだろう。

「もうそろそろ休憩にしない?」
「そうだな、この問題終わったらな。」
「じゃあ私もこの問題終わったら。」

休憩前ラストの三元一次方程式を解き終わって、少し伸びをする。桜もまったく同じ問題をやっていたらしく。先に終わった俺のノートを見て唸っていた。

「最後、同じ問題だったから解くスピード勝負しようと思ったのに、負けた。理系ってなんかムカつく。」
「俺からしたら、古文すらすら訳せるお前の方がムカつくぞ。」
「あれは慣れよ慣れ。」
「計算も同じようなもんだ。」

俺はおもむろにスマホを開き、凝った首を鳴らす。ゲームの1つを開いて、『loading』と表示されているのを眺める。

「私も入るから待ってて。」
「おけ。」

桜も同じゲームを開き、リーグバトルの画面に移った。

「6で入れよ。10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0。」
「いけたかな?」
「まあ見たら分かるもんさ。」

今回のステージは本当に障害物の少ないほぼ直線の氷の平地ステージ。数秒後に今回のチーム分けが映し出される。

「あっ、同じチームだ。どうする?どこから攻める?」
「相手アタッカーだらけだから、前線行くわ。援護よろしく。」

俺が使うのは、アタッカーに攻撃したら攻撃力上昇と体力回復がついている優れもののうるちゃん。後ろから援護する桜が使うのは、ほぼ100%、動けなくする状態異常がつけれて、なおかつ体力回復できるペロス兄。あと、味方にはZや夢もいるので、攻守共に揃ったメンバーだ。相手は犬が2人、若ドフィが2人と俺のうるちゃんにとっては格好の標的になるキャラが表。『よろしく』スタンプを押して、試合が始まった。

 まず俺はC旗を取りに行く。普通に走っていると、正面から紅蓮が飛んできたので、それをジャス回。通常一発で相手の無駄回避を誘い出す。相手は範囲攻撃を仕掛けて来たので、それから逃げるように突撃スキルで移動して距離をとる。相手の1陣にたどり着き、若ドフィと対面した。すぐに糸を降らしてきたのでそれをまたジャス回。通常攻撃で攻撃力を上げつつ、相手がよろけたところにスキルをぶち込む。相手の特性のKO回避を使わせて、もうあとは無い状況に持ち込む。ほぼゼロ距離で構えていた俺に、相手は無駄回避を使い距離を取り、シールドを開いたが、俺はそれの内側に入り、最終的にはノーダメでKOした。すぐに相手1陣に入り、旗を抜く。あとはここで耐えるだけ。後ろでは緑シャンと桜のペロス兄が奮闘して、もうすぐ相手2陣も取りそうだった。

「そっち取れそう?」
「多分いける。そっち行こうか?」
「よろしく。流石に4対1はキツいわ。」
「おけ。」

俺は相手4人の攻撃をを上手く回避しながら、少しずつ削っていく。今の相手キャラには状態異常無効がついているキャラがいない。よって、桜のナメクジは全員に当たり、全員が動けなくなる。

「貰っていい?」
「ダメ。私の体力回復させて。」
「はいはい。早くメイデン開いて倒しちゃって。」

画面にはこちらの勝利までのカウントダウンが始まる。桜はちまちまと相手の体力を削っていき、ラスト3秒の時にまとめてKOした。

「ナイス~!」
「今の良かったな。」
「久志の攻めが成功してるの久しぶりに見た。」
「失礼な。」

リザルトを少し見てから、俺たちはまたスマホを置き、シャーペンを持った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~

蒼田
青春
 人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。  目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。  しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。  事故から助けることで始まる活発少女との関係。  愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。  愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。  故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。 *本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~

kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

俺たちの共同学園生活

雪風 セツナ
青春
初めて執筆した作品ですので至らない点が多々あると思いますがよろしくお願いします。 2XXX年、日本では婚姻率の低下による出生率の低下が問題視されていた。そこで政府は、大人による婚姻をしなくなっていく風潮から若者の意識を改革しようとした。そこて、日本本島から離れたところに東京都所有の人工島を作り上げ高校生たちに対して特別な制度を用いた高校生活をおくらせることにした。 しかしその高校は一般的な高校のルールに当てはまることなく数々の難題を生徒たちに仕向けてくる。時には友人と協力し、時には敵対して競い合う。 そんな高校に入学することにした新庄 蒼雪。 蒼雪、相棒・友人は待ち受ける多くの試験を乗り越え、無事に学園生活を送ることができるのか!?

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】ぽっちゃり好きの望まない青春

mazecco
青春
◆◆◆第6回ライト文芸大賞 奨励賞受賞作◆◆◆ 人ってさ、テンプレから外れた人を仕分けるのが好きだよね。 イケメンとか、金持ちとか、デブとか、なんとかかんとか。 そんなものに俺はもう振り回されたくないから、友だちなんかいらないって思ってる。 俺じゃなくて俺の顔と財布ばっかり見て喋るヤツらと話してると虚しくなってくるんだもん。 誰もほんとの俺のことなんか見てないんだから。 どうせみんな、俺がぽっちゃり好きの陰キャだって知ったら離れていくに決まってる。 そう思ってたのに…… どうしてみんな俺を放っておいてくれないんだよ! ※ラブコメ風ですがこの小説は友情物語です※

処理中です...