陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

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ハジマリ

俺たちは球技大会②

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 その後も順調に勝っていき、学年での順位は1位で午後からの順位決定戦に入っていった。1位2位決定戦は、さっきギリギリで勝ったA組との1戦。試合前は妙な緊張感に包まれる。

「やっべ、次だよな。」
「ああ次だ。」
「コート入りたくないわ~。」

目の前では3位4位決定戦が佳境を迎えていた。F組とG組がどちらも1歩も譲らず、コート内は3人ずつで同点になっている。女子はイーブンで終わったから、この試合の結果だけで全てが決まる。

「オーラァイ!」
「取れる取れる!」
「惜しいぃぃ!」

両チーム女子の熱い声援を受けて120%の力を振り絞る。F組の1人の体勢が崩れ、そこをG組が狙う。横に転がりながら避けるも、次のボールには反応出来ず、そのまま当たってしまった。コート内に転がったボールを取り、投げる。が、その頑張りも虚しく、ボールが宙に浮いている間に、試合終了のホイッスルが鳴った。

「礼。」
「あっした~!」

試合終了間際までもつれ込んだ試合はG組の勝利で終わった。両チーム、拍手で相手を称え合い、待機場所に戻って行った。俺たちはコートに入っていった。さっきまでとは比べ物にならないほどの闘志を燃やして。

「礼。」
「しゃぁぁす!」

挨拶が終わったあと男子が待機場所に戻ろうとする。すると後ろから楓の声がした。

「おい男子!円陣組むぞ!」

振り返れば楓が仁王立ちしている。男子はぞろぞろとコートに入り、円になる。

「負けやしねぇよな!」
『ウオォォォ!』

楓の声に応える。円陣の中は汗と体温でムシっとしている。

「勝つぞ!」
『ウオォォォ!』
「"C" is the …」
『Champion!!!』

右足を強く踏み込み、ゴムチップが飛び散る。全員でハイタッチして男子は待機場所に戻った。

 太陽は何も言うことなくサンサンと照りつけるだけ。今、ほぼ真上にある太陽は俺たちのことをどう見ているのだろうか。腕は日焼けと、かいた汗で少しヒリヒリする。だが、この痛みが気持ちいい。女子が始まるまでの時間で俺は男子たちを集めた。

「あっちは多分あの坊主頭が1番強い。」
「そうだな。」
「だからアイツは最後まで残すぞ。」
『ほう。はぁあああ?』

ほかの男子の叫び声がグラウンド中に響く。

「最後に全員で叩く。気持ちいいだろ。」
『ウオォォォ!』

男子たちの士気は上がった。あとは頼んだぞ。楓。
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