23 / 773
ハジマリ
俺たちは球技大会②
しおりを挟む
その後も順調に勝っていき、学年での順位は1位で午後からの順位決定戦に入っていった。1位2位決定戦は、さっきギリギリで勝ったA組との1戦。試合前は妙な緊張感に包まれる。
「やっべ、次だよな。」
「ああ次だ。」
「コート入りたくないわ~。」
目の前では3位4位決定戦が佳境を迎えていた。F組とG組がどちらも1歩も譲らず、コート内は3人ずつで同点になっている。女子はイーブンで終わったから、この試合の結果だけで全てが決まる。
「オーラァイ!」
「取れる取れる!」
「惜しいぃぃ!」
両チーム女子の熱い声援を受けて120%の力を振り絞る。F組の1人の体勢が崩れ、そこをG組が狙う。横に転がりながら避けるも、次のボールには反応出来ず、そのまま当たってしまった。コート内に転がったボールを取り、投げる。が、その頑張りも虚しく、ボールが宙に浮いている間に、試合終了のホイッスルが鳴った。
「礼。」
「あっした~!」
試合終了間際までもつれ込んだ試合はG組の勝利で終わった。両チーム、拍手で相手を称え合い、待機場所に戻って行った。俺たちはコートに入っていった。さっきまでとは比べ物にならないほどの闘志を燃やして。
「礼。」
「しゃぁぁす!」
挨拶が終わったあと男子が待機場所に戻ろうとする。すると後ろから楓の声がした。
「おい男子!円陣組むぞ!」
振り返れば楓が仁王立ちしている。男子はぞろぞろとコートに入り、円になる。
「負けやしねぇよな!」
『ウオォォォ!』
楓の声に応える。円陣の中は汗と体温でムシっとしている。
「勝つぞ!」
『ウオォォォ!』
「"C" is the …」
『Champion!!!』
右足を強く踏み込み、ゴムチップが飛び散る。全員でハイタッチして男子は待機場所に戻った。
太陽は何も言うことなくサンサンと照りつけるだけ。今、ほぼ真上にある太陽は俺たちのことをどう見ているのだろうか。腕は日焼けと、かいた汗で少しヒリヒリする。だが、この痛みが気持ちいい。女子が始まるまでの時間で俺は男子たちを集めた。
「あっちは多分あの坊主頭が1番強い。」
「そうだな。」
「だからアイツは最後まで残すぞ。」
『ほう。はぁあああ?』
ほかの男子の叫び声がグラウンド中に響く。
「最後に全員で叩く。気持ちいいだろ。」
『ウオォォォ!』
男子たちの士気は上がった。あとは頼んだぞ。楓。
「やっべ、次だよな。」
「ああ次だ。」
「コート入りたくないわ~。」
目の前では3位4位決定戦が佳境を迎えていた。F組とG組がどちらも1歩も譲らず、コート内は3人ずつで同点になっている。女子はイーブンで終わったから、この試合の結果だけで全てが決まる。
「オーラァイ!」
「取れる取れる!」
「惜しいぃぃ!」
両チーム女子の熱い声援を受けて120%の力を振り絞る。F組の1人の体勢が崩れ、そこをG組が狙う。横に転がりながら避けるも、次のボールには反応出来ず、そのまま当たってしまった。コート内に転がったボールを取り、投げる。が、その頑張りも虚しく、ボールが宙に浮いている間に、試合終了のホイッスルが鳴った。
「礼。」
「あっした~!」
試合終了間際までもつれ込んだ試合はG組の勝利で終わった。両チーム、拍手で相手を称え合い、待機場所に戻って行った。俺たちはコートに入っていった。さっきまでとは比べ物にならないほどの闘志を燃やして。
「礼。」
「しゃぁぁす!」
挨拶が終わったあと男子が待機場所に戻ろうとする。すると後ろから楓の声がした。
「おい男子!円陣組むぞ!」
振り返れば楓が仁王立ちしている。男子はぞろぞろとコートに入り、円になる。
「負けやしねぇよな!」
『ウオォォォ!』
楓の声に応える。円陣の中は汗と体温でムシっとしている。
「勝つぞ!」
『ウオォォォ!』
「"C" is the …」
『Champion!!!』
右足を強く踏み込み、ゴムチップが飛び散る。全員でハイタッチして男子は待機場所に戻った。
太陽は何も言うことなくサンサンと照りつけるだけ。今、ほぼ真上にある太陽は俺たちのことをどう見ているのだろうか。腕は日焼けと、かいた汗で少しヒリヒリする。だが、この痛みが気持ちいい。女子が始まるまでの時間で俺は男子たちを集めた。
「あっちは多分あの坊主頭が1番強い。」
「そうだな。」
「だからアイツは最後まで残すぞ。」
『ほう。はぁあああ?』
ほかの男子の叫び声がグラウンド中に響く。
「最後に全員で叩く。気持ちいいだろ。」
『ウオォォォ!』
男子たちの士気は上がった。あとは頼んだぞ。楓。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
僕とやっちゃん
山中聡士
青春
高校2年生の浅野タケシは、クラスで浮いた存在。彼がひそかに思いを寄せるのは、クラスの誰もが憧れるキョウちゃんこと、坂本京香だ。
ある日、タケシは同じくクラスで浮いた存在の内田靖子、通称やっちゃんに「キョウちゃんのこと、好きなんでしょ?」と声をかけられる。
読書好きのタケシとやっちゃんは、たちまち意気投合。
やっちゃんとの出会いをきっかけに、タケシの日常は変わり始める。
これは、ちょっと変わった高校生たちの、ちょっと変わった青春物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?
久野真一
青春
2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。
同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。
社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、
実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。
それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。
「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。
僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。
亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。
あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。
そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。
そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。
夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。
とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。
これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。
そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる