ラック極振り転生者の異世界ライフ

匿名Xさん

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プロローグ

異世界へ

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「やっちゃったんだ……」
「えっと、マズかったですか?」
「いや、別に悪いとかそういうのは無いんだけどね? 結局は幸助君の人生なんだし、好きにすればいいんだけど……困ったなぁ」

 フェイトさんによると【運気】の項目が働く状況は少なく、仮に働く状況にあっても効果も薄いらしい。

 加えて【運気】のみが極端に高いという事例は皆無。

 フェイトさん曰く、このままファンタジアに転生したとして生きていけるのか分からない、とのこと。

「キミのステータスは精神力がちょっと高いだけで、他は至って平均的だからね。残り100pt弱でどうするか……」
「すみません」
「いやいや、責めてるわけじゃないんだけどね? これだと、向こうに転生しても生きていけるか心配だなぁ……ちょっとタブレットを貸してくれる?」

 フェイトさんは俺からタブレットを受け取ると、素早く画面を操作する。

「このスキルは……こっちのはあんまり使えそうにないし……あ、これなら良さそう! けど、ptが足りないか。まあ、サービスで付けちゃえ!」

 そして数分後、やりきったような顔で俺にタブレットを返してきた。

「これで何とかなる……かな?」
「ありがとうございます」
「いや、これはボクも説明の順番を間違えたのが悪かったしね。一応、ステータスの説明をしようか?」


【薄井幸助】
転生pt:0
レベル:1
職業:――
体力:100
精神力:150
持久力:50
筋力:30
技量:50
知力:100
信仰:100
運気:9999
スキル:【鑑定】【言語理解】【アイテムボックス】【経験値取得量up】【ラッキーパンチ】【フォーチュンダイス】【激運】

「【ラッキーパンチ】は能力差に関係なく攻撃を当てたりダメージを与えたりするスキル。【フォーチュンダイス】はサイコロの出目で、その後の行動に補正がかかるスキル。だけどこの二つは、そもそもの発生確率が低かったり、良い効果が出にくい、完全に運任せのスキルだね。最期に【激運】は運勢がよくなるスキルだよ」
「見事に運任せのスキル構成ですね」
「仕方ないよ。そもそもの話、10000ptあれば何にも不自由のないステータス構成ができるからね? それこそ常勝不敗の戦士にだって、軽々と大魔法を行使できる賢者にだってなれたよ?」

 そう聞くと、本当に勿体ないことをした気になってくる。

 俺も男だから、ヒーローとか騎士とか魔法使いとかのワードには憧れる。

「まあ、やっちゃったものはしょうがないね」
「はい……」
「ああ、でもでも! この編成ならギャンブルで一発当てて大儲けできたり……なんて?」

 フェイトさんが必死になって慰めてくれる。

 だけど、あの心躍るファンタジーな映像を見せられた俺としては、すっかり冒険をする気になっていただけにショックだった。

 そもそも、折角のファンタジーの世界でギャンブルは……ちょっと違う気がする。

「まあ、切り替えていこうよ!」
「はい」

 転生と言っても、俺が死ぬ直前の状態と変わりない状態で異世界ファンタジアに行くことになる。

 その理由は、生まれる頃からスタートするにはリスクやその他の問題があるためだ。

 流石に俺も、ママのおっぱい吸ってオムツを替えられるところからのスタートは勘弁願いたい。

 ただし、記憶を成長したら戻るようにすることも不可能ではないそうだ。

 ただ、その場合は文明レベルの低いファンタジアの世界だと、記憶が戻る前に病気や魔物などで死ぬリスクが高いとのこと。

「それじゃ、転生する場所を決めようか?」
「……転生する場所はランダムにできますか?」

 折角だから、生まれ変わった自分の運勢を信じてみたい。

 フェイトさんは【運気】は当てにならない可能性が高いって言っているけど、流石にカンストまで上げたのなら、何らかの変化はあるはずだ。

「いいのかい? 一応、転生先が溶岩の中~みたいなことにはならないようにするけど、本当にランダムだよ? 町から遠い森の中に飛ばされるかもしれないし……」
「大丈夫です。不幸だった俺が、これからは不幸じゃないってことを証明したいんです」
「そこまでいうなら転生先はランダムにするね!」

 フェイトさんが指を鳴らすと、俺の足元に光り輝く魔法陣が現れる。

「それじゃあ、転生させるよ!」
「フェイトさん、ありがとうございました」
「いいんだよ。ボクもキミが第二の人生をどうやって歩んでいくのか気になるしね! だから、あんまり早く死なないでね?」
「はい、頑張ります」
「よし! それじゃあボクからキミに送る最後のプレゼントだ!」

 フェイトさんが指を振る。

 そこから放たれた光が俺の胸にスッと吸い込まれていった。

「ボクからの祝福だよ! キミの未来に幸あれ!」

 その言葉を最後に、俺の意識は再び暗闇の中に沈んでいった――
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