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9.誰がためにただ在るか
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村田屋を出ると、修三は堪らず平次郎に問い正した。
喜助は仕事を終えて気が緩んだのか、一歩先をあちこち目を走らせながら歩いている。小声であれば、気づきもしないだろう。
「どうして喜助に説明をさせたのですか。あれでは俺の立場がありません」
「あの説明に、問題はあったか?」
「いえ……」
そう言われると問題はないと言わざるを得ない。使い方、商品の質、品の確認。何一つ問題はない。あの喜助の説明がである。
「なら構わんだろう」
平次郎はそう言って、喜助を見守るように歩いていく。
修三は平次郎が情に深いとは知っていたが、だからといって大事な判断をわざと見誤ることもないと思っていた。
だからこそ心がざわつくのだ。喜助を選んで説明させたということは、意味があって平次郎が選んだことなのだ。
「旦那様は、初めから俺ではなく喜助を小番頭にする気だったんですか」
自然と声が強くなり、喜助が振り向いた。
平次郎は少し困ったような顔をした。
「修三……」
平次郎が何か言う前に、喜助が割って入った。
「修三さん、あれはそういうことじゃ……」
「お前は黙っていろ。こんな決まった結果のために、俺はお前と勝負させられているのか?」
修三は喜助を睨んだ。自分に来て欲しいと頼んだのも、手助けが欲しいのではなく、自分が認められていると見せつけたかったのではないか?
だが、喜助はどこまでもそんなそぶりは見せなかった。
「勝負って、俺は修三さんと争う気は」
喜助の言葉を遮るように、通りに歓声が上がった。
通りに人が溢れ始めている。
「始まったかな。我らも見物しよう。滅多に見られるものではない」
平次郎が修三と喜助を連れて人混みの方へ向かう。
話が頓挫したが、平次郎はもう花魁道中の方が気にかかるようだった。
「村田屋の桜仙だ」
「相変わらず仙女のようだねえ」
通りの両脇に集まった人間は口々に桜仙を褒め称えていた。
そこそこの大店の中、遊女の頂点とも言うべき雲の上の花魁は、商人のような一般人が目にすることはほとんどなく、こうして花魁道中で見るばかりだ。
ざわめきと歓声が次第に大きくなると、綺羅びやかな着物の花魁が、たおやかにゆっくりと三本歯の高下駄を優雅に回しながら歩いていた。
初めて見る花魁の姿に、修三は見惚れた。
錦糸で仕立てられた浅葱色の美しい着物からのぞく細い首筋。男衆が差し掛けた赤い傘の影に紅を引いた凛とした面差しが見えた。
――これが村田屋の桜仙か。
両隣の可愛らしい禿たちが従っている。すべての感情を飲み込み、ただ無表情な薄い笑みだけ浮かべる桜仙は、この世のものとは思えなかった。
修三は思わずぼぅっとしたまま惚けていたが、前を通り過ぎる桜仙が、ほんの一瞬、自分の方へと流し目を見せた。
悲しげな光をそのわずかな時に感じ取ったが、修三は魂が抜き取られるようで我に返った。
花魁が通りすがりの一介の商人に情を見せるなど、どこの三文芝居だというのか。そんなことは現実にあるわけがない。
修三は花魁の眼差しに触れたことをなんとか偶然と片づけ、冷静さを取り戻そうとしていた。
ふと、喜助を見る。
喜助の表情は驚きと悲しさが混ざった表情で、ジッと桜仙を見つめていた。
次第に飲み込まれたのか、桜仙の足に合わせてついて行き始める。
「おい、喜助」
追いかけようとする修三の腕を平次郎が掴んで止めた。
「なぜですか。花魁を追いかけるなど、花代も出せない手代ですよ。春日屋のいい恥です」
「構わんよ」
修三が平次郎を見ると、平次郎は静かに首を横に振った。
一体なんだというのだ。
喜助が恥を晒すのは、店の信用にも関わるのではないのか。
止めるべきだった。
花魁は追うにはあまりに高嶺の花だ。
喜助は桜仙から目をそらさず追いかけ続けた。
「桜仙! 桜仙!」
何度喜助が呼んでも、桜仙は二度と喜助や修三を見なかった。
しつこく追いかける喜助の姿に、次第に集まった人間のざわめきの質が変わり始めていた。
もう限界だろう。そう思い、修三は喜助を追い、肩に手を置いた。
「もう、いい加減にしろ」
喜助は立ち止まり、一度だけかすれた悲鳴のように声を上げた。
「――姉ちゃん!」
桜仙の足が止まった。一度だけ目を閉じた桜仙の赤い目の隈取がくっきりと見えた。
ほんの一呼吸にしかならない時間のはずが、酷く長く感じられた。
目を開いた桜仙が喜助を見る。
喜助が何か言おうと口を開こうとする。
だが桜仙はかすかな微笑みだけで、喜助の口を塞いだ。
そして何を語るわけでもなく、小さく会釈し、何も言わずに歩きゆく。
修三は喜助がただ立ち尽くして桜仙を見送る姿を何も出来ずに見ていた。
喜助がなぜ、吉原の客にあれだけの苦手な努力を重ねてきたのか、修三はやっと理解した。
そしてどれだけ酷い言葉を喜助に浴びせたのかも。
人の波に押し出されるように桜仙の姿が小さくなっていく。
チラチラと通りすがりが喜助を見ていく。
喜助の姿に、修三は唇を噛み締め、消えてしまいたいとさえ思った。
いつも自分は後から気づく。誰もが気づくわけではないのに、気づくときにいつも後悔がつきまとう。
一体自分は何をしたいのだろうか。知らないだけで誰かの傷を抉ることばかりしかできないのは、なぜなのだろう。
弁明にはなるが、それはけっして自分の本意ではないはずなのに。
喜助が肩を落として、平次郎のそばに戻ってくきた
「店に戻ろう。……ああ、そうだ。喜助。帰りに甘木屋の団子を買ってきてくれ」
平次郎は懐から財布を出し、喜助に金を渡した。
口ぶりから、平次郎は喜助の事情を知っていたのだろう。
「ありがとうございます」
「少し遠いからな。帰りはゆっくりでいい」
喜助が深々と頭を下げ、先に行った。
消え入りそうな声で、修三は平次郎に訪ねた。
「全部、ご存知だったんですか」
「どの遊女か確証があったわけじゃないがね。喜助の姉が吉原にいるというのは、あの子が奉公に来たときから知っていたよ」
たいしたことではないという風に、平次郎は歩き始め、修三も慌ててついていった。
「喜助は俺には何も」
言ってくれていれば、傷に触れることもなかったろうに。
そう思うと、信用がない自分を恨めしくもあり、あれだけ人懐っこい喜助が自分には距離があることが面白くもなかった。
「知らないから、女郎のようだと蔑んだか」
「……そんなつもりは」
わかっている。否定はしたものの、これはただの詭弁だった。
知らないから傷つけていい道理にはならない。
平次郎は責めなかった。
「修三。誰もがお前のようには生きられぬ。喜助がまた、誰もが喜助になれぬのと同じだ」
「……俺は番頭にはなれぬということですか」
「お前はどう思う?」
平次郎の問いに、修三は立ち止まった。
商人として身を立てたかった。与えられた場所で精一杯、やってきたはずだった。ただどうしても足りないというものがもし天賦のものであったなら、その努力は無駄なのだろうか。
「真面目に仕事を覚え、勤め上げ、間違えぬよう、完璧であるよう、常に努力をしてきました。それを何もできない喜助より劣ると? 店の者も大番頭も旦那様も、喜助に甘い。喜助のように好かれることは、私にはできません! 好かれることが条件だと言うなら、俺のような人間はどうすればいいのですか!」
人を見て、人に必要とされる。
どんなに努力しても、修三にはそれがなかった。
どんなに努力してもだ。
平次郎は修三の言い分を黙って聞いていた。涙こそこぼれないが、声はもう慟哭のそれと変わらない。
努力をすることで才の穴埋めをしてきた修三にとって、天性を活かす生き方は、まるで決まりごとのない、羽の生えた鳥として生きるくらいには絵空事だった。
「……双眸だよ」
「は?」
平次郎は自分の目を指差した。
「商売は両の眼がいる。お前は今、お前の片目でしかものを見ておらぬ。己の目でこの世を見ることはそう難しくはない。己が投影されるだけだからな。だが、それは本当にこの世の真実か?」
「両の眼……」
見えたはずの目を開いてはいない。平次郎は暗にそう言っていた。
真理を突いていた。が、それ以上平次郎は何かを語る気はなさそうだった。
「さて、暗くなる前に帰ろう。それともお前は遊んでいくか」
「御冗談を」
「だろうな」
相変わらずの修三の堅さに、どこまでも型を崩せぬ奴だと平次郎は笑った。
喜助は仕事を終えて気が緩んだのか、一歩先をあちこち目を走らせながら歩いている。小声であれば、気づきもしないだろう。
「どうして喜助に説明をさせたのですか。あれでは俺の立場がありません」
「あの説明に、問題はあったか?」
「いえ……」
そう言われると問題はないと言わざるを得ない。使い方、商品の質、品の確認。何一つ問題はない。あの喜助の説明がである。
「なら構わんだろう」
平次郎はそう言って、喜助を見守るように歩いていく。
修三は平次郎が情に深いとは知っていたが、だからといって大事な判断をわざと見誤ることもないと思っていた。
だからこそ心がざわつくのだ。喜助を選んで説明させたということは、意味があって平次郎が選んだことなのだ。
「旦那様は、初めから俺ではなく喜助を小番頭にする気だったんですか」
自然と声が強くなり、喜助が振り向いた。
平次郎は少し困ったような顔をした。
「修三……」
平次郎が何か言う前に、喜助が割って入った。
「修三さん、あれはそういうことじゃ……」
「お前は黙っていろ。こんな決まった結果のために、俺はお前と勝負させられているのか?」
修三は喜助を睨んだ。自分に来て欲しいと頼んだのも、手助けが欲しいのではなく、自分が認められていると見せつけたかったのではないか?
だが、喜助はどこまでもそんなそぶりは見せなかった。
「勝負って、俺は修三さんと争う気は」
喜助の言葉を遮るように、通りに歓声が上がった。
通りに人が溢れ始めている。
「始まったかな。我らも見物しよう。滅多に見られるものではない」
平次郎が修三と喜助を連れて人混みの方へ向かう。
話が頓挫したが、平次郎はもう花魁道中の方が気にかかるようだった。
「村田屋の桜仙だ」
「相変わらず仙女のようだねえ」
通りの両脇に集まった人間は口々に桜仙を褒め称えていた。
そこそこの大店の中、遊女の頂点とも言うべき雲の上の花魁は、商人のような一般人が目にすることはほとんどなく、こうして花魁道中で見るばかりだ。
ざわめきと歓声が次第に大きくなると、綺羅びやかな着物の花魁が、たおやかにゆっくりと三本歯の高下駄を優雅に回しながら歩いていた。
初めて見る花魁の姿に、修三は見惚れた。
錦糸で仕立てられた浅葱色の美しい着物からのぞく細い首筋。男衆が差し掛けた赤い傘の影に紅を引いた凛とした面差しが見えた。
――これが村田屋の桜仙か。
両隣の可愛らしい禿たちが従っている。すべての感情を飲み込み、ただ無表情な薄い笑みだけ浮かべる桜仙は、この世のものとは思えなかった。
修三は思わずぼぅっとしたまま惚けていたが、前を通り過ぎる桜仙が、ほんの一瞬、自分の方へと流し目を見せた。
悲しげな光をそのわずかな時に感じ取ったが、修三は魂が抜き取られるようで我に返った。
花魁が通りすがりの一介の商人に情を見せるなど、どこの三文芝居だというのか。そんなことは現実にあるわけがない。
修三は花魁の眼差しに触れたことをなんとか偶然と片づけ、冷静さを取り戻そうとしていた。
ふと、喜助を見る。
喜助の表情は驚きと悲しさが混ざった表情で、ジッと桜仙を見つめていた。
次第に飲み込まれたのか、桜仙の足に合わせてついて行き始める。
「おい、喜助」
追いかけようとする修三の腕を平次郎が掴んで止めた。
「なぜですか。花魁を追いかけるなど、花代も出せない手代ですよ。春日屋のいい恥です」
「構わんよ」
修三が平次郎を見ると、平次郎は静かに首を横に振った。
一体なんだというのだ。
喜助が恥を晒すのは、店の信用にも関わるのではないのか。
止めるべきだった。
花魁は追うにはあまりに高嶺の花だ。
喜助は桜仙から目をそらさず追いかけ続けた。
「桜仙! 桜仙!」
何度喜助が呼んでも、桜仙は二度と喜助や修三を見なかった。
しつこく追いかける喜助の姿に、次第に集まった人間のざわめきの質が変わり始めていた。
もう限界だろう。そう思い、修三は喜助を追い、肩に手を置いた。
「もう、いい加減にしろ」
喜助は立ち止まり、一度だけかすれた悲鳴のように声を上げた。
「――姉ちゃん!」
桜仙の足が止まった。一度だけ目を閉じた桜仙の赤い目の隈取がくっきりと見えた。
ほんの一呼吸にしかならない時間のはずが、酷く長く感じられた。
目を開いた桜仙が喜助を見る。
喜助が何か言おうと口を開こうとする。
だが桜仙はかすかな微笑みだけで、喜助の口を塞いだ。
そして何を語るわけでもなく、小さく会釈し、何も言わずに歩きゆく。
修三は喜助がただ立ち尽くして桜仙を見送る姿を何も出来ずに見ていた。
喜助がなぜ、吉原の客にあれだけの苦手な努力を重ねてきたのか、修三はやっと理解した。
そしてどれだけ酷い言葉を喜助に浴びせたのかも。
人の波に押し出されるように桜仙の姿が小さくなっていく。
チラチラと通りすがりが喜助を見ていく。
喜助の姿に、修三は唇を噛み締め、消えてしまいたいとさえ思った。
いつも自分は後から気づく。誰もが気づくわけではないのに、気づくときにいつも後悔がつきまとう。
一体自分は何をしたいのだろうか。知らないだけで誰かの傷を抉ることばかりしかできないのは、なぜなのだろう。
弁明にはなるが、それはけっして自分の本意ではないはずなのに。
喜助が肩を落として、平次郎のそばに戻ってくきた
「店に戻ろう。……ああ、そうだ。喜助。帰りに甘木屋の団子を買ってきてくれ」
平次郎は懐から財布を出し、喜助に金を渡した。
口ぶりから、平次郎は喜助の事情を知っていたのだろう。
「ありがとうございます」
「少し遠いからな。帰りはゆっくりでいい」
喜助が深々と頭を下げ、先に行った。
消え入りそうな声で、修三は平次郎に訪ねた。
「全部、ご存知だったんですか」
「どの遊女か確証があったわけじゃないがね。喜助の姉が吉原にいるというのは、あの子が奉公に来たときから知っていたよ」
たいしたことではないという風に、平次郎は歩き始め、修三も慌ててついていった。
「喜助は俺には何も」
言ってくれていれば、傷に触れることもなかったろうに。
そう思うと、信用がない自分を恨めしくもあり、あれだけ人懐っこい喜助が自分には距離があることが面白くもなかった。
「知らないから、女郎のようだと蔑んだか」
「……そんなつもりは」
わかっている。否定はしたものの、これはただの詭弁だった。
知らないから傷つけていい道理にはならない。
平次郎は責めなかった。
「修三。誰もがお前のようには生きられぬ。喜助がまた、誰もが喜助になれぬのと同じだ」
「……俺は番頭にはなれぬということですか」
「お前はどう思う?」
平次郎の問いに、修三は立ち止まった。
商人として身を立てたかった。与えられた場所で精一杯、やってきたはずだった。ただどうしても足りないというものがもし天賦のものであったなら、その努力は無駄なのだろうか。
「真面目に仕事を覚え、勤め上げ、間違えぬよう、完璧であるよう、常に努力をしてきました。それを何もできない喜助より劣ると? 店の者も大番頭も旦那様も、喜助に甘い。喜助のように好かれることは、私にはできません! 好かれることが条件だと言うなら、俺のような人間はどうすればいいのですか!」
人を見て、人に必要とされる。
どんなに努力しても、修三にはそれがなかった。
どんなに努力してもだ。
平次郎は修三の言い分を黙って聞いていた。涙こそこぼれないが、声はもう慟哭のそれと変わらない。
努力をすることで才の穴埋めをしてきた修三にとって、天性を活かす生き方は、まるで決まりごとのない、羽の生えた鳥として生きるくらいには絵空事だった。
「……双眸だよ」
「は?」
平次郎は自分の目を指差した。
「商売は両の眼がいる。お前は今、お前の片目でしかものを見ておらぬ。己の目でこの世を見ることはそう難しくはない。己が投影されるだけだからな。だが、それは本当にこの世の真実か?」
「両の眼……」
見えたはずの目を開いてはいない。平次郎は暗にそう言っていた。
真理を突いていた。が、それ以上平次郎は何かを語る気はなさそうだった。
「さて、暗くなる前に帰ろう。それともお前は遊んでいくか」
「御冗談を」
「だろうな」
相変わらずの修三の堅さに、どこまでも型を崩せぬ奴だと平次郎は笑った。
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