“遡及少年”と真実の物語

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第二章 “再編”の二周目

【死した彼女、消失する記憶】

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【死した彼女、消失する記憶】

 ショッピングモールを出ると、辺りは夕焼けの綺麗なオレンジ色に包まれていた。もう春だからか、いつもより少し日が長いように感じる。
「いや~、今日は色んなことがあったね!」
 明香里は笑顔で言っているが、多分、明香里の言う“色んなこと”とは、ショッピングモールでの出来事なのだろう。…本来は笑顔で話すことではないんじゃないか…?
「んまぁ、色んなことがあったというか、一つ一つの出来事が濃すぎるんだよなぁ」
 実際、僕の中での今日の出来事は指で数えられるほどしかない。明香里との…デ、デートだろ、待ち合わせ場所で明香里に脅かされたことだろ、明香里と一緒にバッシュ選んだことだろ、…明香里にとっていい話ではないが、明香里の財布が盗られたことだ。
 これが僕が思う今日起きたことだ。どれも僕にとって忘れられない思い出になりそうだ。前三つはともかく、最後のはいい思い出にはなりそうにないな…。
「まぁでも、いいじゃん!楽しかったんだし!」
「ああ、そうだな。多分、生涯で一番楽しかったであろう時間だったんじゃないかなぁ」
 おっと、ポロっと本音が出てしまった。何れ直さないとなぁ、この本音が出ちゃうの。担任とかにポロっと出たら学校生活終わるもんな。
「…ありがとう」
 急に明香里に感謝の言葉を言われ、少し困惑する。
「僕、何かしたっけ?」
「うん。今日一日、私に付き合ってくれた。それに関するお礼だよ」
 そんなこと、お礼するほどでもないだろう。僕は暇か聞かれ、暇だったから明香里についていったみたいなもんだからなぁ。
「まぁ、どういたしまして。僕も楽しかったよ。でも、バッシュで二時間半はかかり過ぎかな」
「あははっ、ごめんねぇ。私、結構物を選ぶとき時間かかっちゃうんだよねぇ」
 まぁ、悪いことではないだろう。適当に選んで不良品に当たるより全然いいと思う。
「おっ、そろそろ着くよ」
 ショッピングモールから歩いて数分で、自宅近くの公園に着いた。ここの公園は、不自然なくらい自然な木々がたくさんあるため、目の保養にもなるいい場所だ。
 僕らはその公園のベンチに座った。
「…なぁ、どうしてここに来たんだ?」
 腰を下ろして、まず僕はその質問をした。何もないこの公園に来たということは、何かあるのだろうと考えたからだ。
「私ね、奏に伝えたいことがあるんだ」
「伝えたいこと…?」
 僕に心当たりは無かった。まぁ、きっと「数学の小テストの点数が悪かった~」とかではないかと思っていた。
「何かな?その伝えたいことって」
「それがね…」
「うん」
 そして、少しの沈黙が訪れる。僕はその時間、近くにあった桜の木を見つめていた。…やはり、この雰囲気は嫌いだ。とてつもなく気まずい。
「…ごめん、まだ心の準備が…。ちょっと、待ってもらっていいかな?」
 心の準備が必要なほど大切なことなのかな?
「ああ、大丈夫だぞ」
 明香里はベンチから立ち上がり、歩く。明香里は橙色に染まった夕焼けを見上げながら、大きく深呼吸をしていた。
 明香里はこちらを振り向き、にっこりと微笑んだ。耳を澄まさなければ聞こえないほどの声量で、明香里は小さく呟く。
「それじゃ、言おうかな」
 そして、明香里がそこから数メートル歩き出した瞬間。
「どけ!」
 僕らの右方向から野太い大きな声が響いた。
 二人同時に振り向くと、そこにはボストンバッグを肩に掛けて、拳銃の銃口をこちらに向けて走ってくる男がいた。
 こいつは、首や腕に刺青が入っていて、長身で坊主頭だ。それは、ショッピングモールで明香里の財布を盗んだ男と同じ特徴だった。男は殺気立っていて、いつでも発砲しかねない状態だ。
「ッ!明香里!そこから離れろ!」
 僕はそう呼びかけたが、明香里には聞こえてないようだった。明香里は目を見開いた状態で、そこから動かない。
「くっ…明香里!」
 僕は精一杯手を伸ばした。
 …しかし、間に合わなかった。手を伸ばした瞬間、前方から耳を塞ぎたくなるような、大きな破裂音が辺りに響き渡った。
 明香里は膝から崩れ落ち、地面に引き寄せられるかのように倒れた。
「明香里!」
 僕は明香里に駆け寄った。撃たれたであろう腹部を触った瞬間、生温かく、赤黒い明香里の“血”が僕の手に浸ってきた。
 そして、その鮮血な“赤”は、見る見るうちに地面に広がっていった。
「…あ…かり…?」
 僕は彼女の身体を仰向けにした。…明香里は、腹部からの出血が酷かった。銃弾が、彼女の腹部を貫通していた。
「明香里!しっかりしろ!」
 僕は血のついた手で携帯電話を取り出し、救急に連絡した。
「…分かりました。すぐお願いします。待ってろ、今救急車来るからな」
 僕は持っていたハンカチで、明香里の腹部を圧迫した。…しかし、僕の白いハンカチはすぐに真っ赤に染まり、また血が溢れ出てきた。
「…くそっ」
 僕がそう呟いた刹那、明香里の目が少し開いた。
「ッ!明香里!大丈夫か!?僕が分かるか!?」
 ゆっくりコクリと頷き、首肯する明香里。
「よかった…もう救急車来るからな。頑張ってくれ」
 そう言ったが、明香里は何も言わず、こちらをじっと見ていた。
「……か…なで…」
 弱々しい声で僕の名前を呼ぶ明香里。
 その声は今にも消えてしまいそうだった。喋らせるわけにはいかない。これ以上は明香里の体力が…。
 どうする。こんな場合はどうする。何をするのが最善の一手なんだ…。くそっ。こういう時に限って何も思い浮かばない。ただただ救急車の到着を待っているだけなら、明香里が持たない。どうすれば…。
「どうした?」
「…私の…言いたいこと……伝えるね…」
「…何言ってんだ。そんなの後でいい。今は喋らず、体力を温存しておけ」
 今度は首を横に振る明香里。
「…私の命くらい……私が一番よく分かってる……私は…もうすぐ死ぬ…」
「ッ!?いや、諦めるな。自分に『生きろ』って強く言い聞かせるんだ!」
 またも、首を横に振る明香里。
「…私は……もう死ぬべき運命なんだと思う…」
「そんなこと無い!もしそれが運命なんだとしたら、僕がその運命を変えてやる!」
 僕は明香里の手を握り、言った。
「…僕は、明香里のことが好きなんだよ…。僕とずっと一緒に居てほしいんだよ…。だから、お前に生きてほしい。」
 まただ…またこの感情だ。この感情はもう、経験したくない。明香里が…死んでしまう。そのことで頭がいっぱいだった。僕はどうにかして、この状況を切り抜ける最善の一手を考える。
 僕が最善の一手を考えていると、明香里は微笑みながら僕に言った。
「…嬉しいよ…奏……でも…私はYESなんて…言えない…私は…私は……」

 ___“死神”なんだよ_____

「えっ…」
 僕はその答えに絶句した。明香里が、“死神”…?どうして明香里が“死神”なんだ…?そうして明香里はゆっくりと目を閉じた。
「え…あか…り……?」
 明香里は、目を閉じたまま動かない。
 僕の握った手は、儚くも地面に舞い散った。
「そんな…ちょっと…待てよ……」
 僕はまだお前に何もしてやれてない。僕は、明香里にとって何だったんだろう…。
 それに…。
「なんで…お前が“死神”…なんだ…」
 ダメだ…。目の前にある情報が多すぎて、僕の脳が処理しきれない…。僕の脳は今にも破裂しそうだった。激しい頭痛が僕を襲っている。
 僕はゆっくりと目を閉じた。そこには、無数の砂利と、見覚えのある黒猫がいた。
「…ク……ロ…」
 その瞬間、僕の意識は途絶えた。

 混沌とする暗闇の中。僕は、夢を見ていた。
 そこで、クロが僕に語りかけていた。ただ、一言だけ。

 ___お前は、自分がしたことを理解しているのか?_____

 と…。この夢を見て、なぜかクロに警戒心を抱いてしまった。
「なぁ、返事をしろよ」
 再び、僕の鼓膜が声に反応した。僕は声のした方に振り返る。そこには、クロが真っ直ぐな目でこちらを見ていた。
「…もう一度聞くぞ。お前は、自分がしたことを理解しているのか?」
 そう問われ、僕はただただ立ち竦む。…心当たりが、あるのだ。
「…時計を……動かしたこと…か?」
「ああ、そうだ。なぜ、お前は時計を動かした?」
 間髪入れずに突っ込んで来るクロ。その口調で、クロがとても大きな怒りを覚えていると気付くまで、少し時間がかかった。
「…最初は…事故だった」
「事故だった?それだけで済むと思うのか?…いいか?時間を超えることは、どんな理由にしろ、重罪だ。それに、俺はお前に、『その時計は絶対触るな』と言ったはずなんだが?」
「……………」
 僕は黙り込む。少なからず、僕はこの世界で幸せを感じていた。クロの忠告を無視し、時計を動かしてしまった身勝手な自分に気付いたからだ。
「…なぁ、奏。確かに、お前が明香里を失った絶望感、喪失感は誰にも分からない。だが、だからと言って、時間の壁を超えていいという訳ではない。…お前には辛いかもしれないが、今回の事故に関係する記憶、例えば懐中時計のこととか、この時間軸で初めて会った人とか、俺のこととか。…悲しいと思うが明香里のことも。全ての記憶を消させてもらう」
「ッ!?」
 どういうことだ…?明香里を…消す?
「ちょっと待て、消すのは今回の事故の記憶だけでいいんじゃないか?」
 実際、事故だけの記憶さえ消せれば、クロには何の支障もないはずだ。
「いや、そういうわけにもいかないんだ。前回の事故で、明香里は死んだと処理されたんだ。だが、それを弄ったせいで、もう、誰の記憶にも残らないように、“明香里と言う存在”をこの世から消さなきゃならないんだ」
「何のために!?」
 “明香里と言う存在”をこの世から消すという行為に意味があるのか分からない。
「…それは、お前だけの記憶を消すのには大きな危険を伴うからだ」
「…大きな、危険…?」
 クロの言う危険とは、どんな危険なんだ…。
「それはな」
 僕が黙っているとクロは解説を入れてくれる。
「お前だけの記憶を消すとなると、お前の脳だけがぶっ壊れる可能性があるからだ」
 …え?僕の脳が…僕だけが、壊れる?
「どういうことだ?」
「この世界で、お前だけの記憶をピンポイントに消すのは厳しいんだ。無理に消すと、そいつの他の記憶、またほかの脳の機関を破壊してしまいかねない。だから、明香里と関わった全ての人間の記憶を消さざるを得ない。まぁ、消すって言っても明香里との記憶だけだけどな。すれ違った人でも、会話をした人でも。どんな関わり方でも、関わっていたら、その人が持つ、明香里との全ての記憶を消す。…そういうことだ」
 …そんな……。僕は…嫌だ。
「………だ…」
「何か言ったか?」
「…そんなの、嫌だ」
 その言葉は、僕の本心だった。僕の口からは止めなくその言葉が漏れてくる。
「僕は、嫌だ…。だって…この世界には明香里がいる…。まだ…生きているんだ…」
 気付けば、僕の両目の目尻からは、涙が零れていた。そして、涙と一緒に、僕の本心と嗚咽が漏れてくる。その三つは、止めどというものを無視して溢れ続ける。
「…僕からしたら……明香里がいない世界なんて機能していない!」
 自分の感情を、クロにぶつける。…それは、現実の世界から逃げている自分を、クロに押し付けている行為だった。自分でも愚かな行動だと、分かっている。しかし、僕の口は言う事を聞かずにどんどんと言葉をまくし立てる。
「僕は…僕は明香里のいない世界なんて、嫌だ!」
「…なぁ、奏」
 さっきとは違う、宥めるような声で僕に語りかけるクロ。やめてくれ…そんな声で話しかけられると…僕は…。
 これは夢だ…。夢であってほしい…。
「いや、夢じゃない」
 悪い夢だ…。
「夢なんかじゃない」
 覚めろ、覚めろ…。
「俺も…悲しいんだ。なんせ、十年一緒にいた仲だからな…」
「…ってことはやっぱり……?」
「ああ。明香里ちゃんも“死神”だ。それに、明香里ちゃんはもう、死期に入っていた」
「…“死期”?」
 聞きなれない言葉に、僕は疑問符を浮かべる。
「ああ。俺ら死神には、“死期”っていうものがある。文字通り、死神の寿命の末期だ。それで、その“死期”がもうすぐ俺にもやってくる。避けられない運命なんだ」
「それが明香里にも…」
「明香里ちゃんは俺より先に死神になったんだもんな…。いつ死期が来ても、おかしくはなかったんだ」
 …それでも、僕は納得できない。なんで、そんなことで明香里が死ななくちゃいけなかったのか。なんで、そんな縛られたように生きていかなくてはいけないのか。僕は…納得できない。
「ああ。俺も一緒だ。生まれた瞬間からノルマが課され、達成する気が無ければ痛めつけられる…。そんなことをされて、そのまま死ぬなんて…。そんなの、納得できるはずもない。…だけどな?世の中には乗り越えて行かなくちゃいけないこともあるんだ」
「ッ!そんなことで明香里のことを諦めろって言うのか!?」
 少しの沈黙の後、クロは弱々しく答えた。
「…ああ、そうだ。俺も。お前も。明香里の死を一生忘れず、前を向いて生きて行く必要があるんだ」
「……………」
 僕はその答えを、はっきりと言わなかった。理由は簡単。…認めたくなかったからだ。駄々をこねていることくらい自分でも分かっている。世界が、僕の思い通りに動かないことぐらい、知っている。
 …でも、僕は諦めきれないのだ。人生で、初めての恋人を…手放したくなかったんだ。僕にとって、それだけ明香里は大きな存在だった。
 …僕の想いは止まらない。高校入学からずっと一緒にいたんだ。
 確かに、二年ちょっとじゃ短い時間だと思う人もいるかもしれないが、僕からしたらとても長く、幸せな時間だったと断言できる。…それを失うなんて……。
「…じゃあ、そろそろいいか?」
「いいって…何がだよ」
「明香里とさよならをする準備だよ。今から、事故に関係するお前の記憶を全て消させてもらう。そして、元の時間軸に戻ってもらう。…いいな?」
 僕はまた返事を返さなかった。…いい訳が無い。どうして…何よりも大切な僕らの記憶をそんな簡単に消すことができるのだろう…。僕の中で、何よりも…明香里は、僕自身の命より大切なのに…。
「どうしてそんな簡単に…明香里を…奪えるんだ」
 僕は嗚咽が混じりながらも、その言葉を発した。
「…じゃあ、始めるぞ」
 しかし、無慈悲にもそう言うクロ。クロは僕の前で目を閉じ、前足で僕の頭に触れた。
 その瞬間、僕の頭の中から、明香里との大切な記憶が抜けていく。大切な想い出から、些細な記憶まで。
 僕は、抵抗した。しかし、どう足掻いても。どう抗っても。クロの手は解けず、記憶は完全に抜けていった。
 最終的には、明香里の顔すら思い出せなくなっていた。そして、目の前には眩しく輝く光源がそこにあった。

 何が光ってるのかは分からない。ただ、何かが光っている。その光を直視した僕は、咄嗟に目を閉じる。そして、身体に妙な浮遊感を感じながら僕は、そのまま意識を失った。


 僕は…僕の思ってたより、自己中心的で自分勝手で自分しか考えていなかったようだ。
 しかし、世界はもっと、自分勝手だ…。
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