9 / 12
眠っている間に
後編
しおりを挟む【後編】
「たかとー!!!!」
何も知らない翔太は自分の想いが要に受け入れて貰えた上に付き合えた事が嬉しくて満面の笑みで寄ってくる。
この信じ切っている顔に罪悪感が少し湧くが要以上に翔太を幸せに出来るやつなんていないのだからまぁ許して欲しい。
「おーどした?」
俺は本当に周りに恵まれた。
男が好きだなんて言えば友達を失う上でいじめられたりするかもしれないと心配していたのに大事な友達は二人とも受け入れてくれた上に要は俺のことが好きだと言ってくれた。
両想いだ。
「要くるまで一緒にいようぜぇー!」
「仕方ねーな」
要は思っていた以上に心配する。
俺が馬鹿だから仕方ないけど高人以外の男と二人になるのは嫌がるし女なんて論外。
前に少し近い距離で女の子と話している所を見られただけで金曜日の夜から日曜日の夕方まで抱き潰されるはめになった。
だからこうして要の言う通り高人といる。
一人でいるよりマシだし要が心配することはしたくない。
「要とどーよ?」
「要さぁ、エッチが激しすぎんの!どうしよ!俺そのうち女の子になっちゃうよ」
「あ、ばかっ!」
高人の手が翔太の口を押さえたので息ができずびっくりして高人に目を向ける。
「エッチとか大きな声でいうなよ!!!」
高人は百戦錬磨のくせにこういうとこだけは純情っていうかなんというか。
「何してるんだ?」
待っていたその声に高人の手を払って後ろを向くと優しく笑う要がいた。
「これはっ!違うからな!そんな目で見るな!」
「何が違うんだ?」
高人が小さい声でしくった…と呟く。
要を見るといつも通りの顔でなんなら少し笑っているくらいなのに何故高人はそんなに焦っているんだろう。
「どうしたんだ?」
「何もねぇよ…」
呆れたように下を向く高人の顔を覗き込むと高人の顔をしっかり見る前に要に後ろから引っ張られて抱きしめられる。
「近い。高人……」
「俺のせいじゃねぇってば!!!!」
軽口を言い合う二人に笑いだした翔太を驚いた顔で二人が見ている。
その顔があまりに似ていてまた笑ってしまった。
「笑いごとじゃないんだけどね……」
高人がボソッと呟く。
幸せだなぁ。
大好きな幼馴染が彼氏になって大切な友達もそばに居てくれる。
要を好きになってしまったことで失うと思っていたのに何も無くならなかった上、増えて戻ってきた。
「帰ろう」
抱きしめられたまま要が歩き出したので引きずられる。
「高人ー、また明日なっ!!」
「ああ」
疲れた顔で笑いながら手を振ってくれる高人に全力で手を振りかえす。
「今日の夜ご飯何にする?」
「翔太の食べたいものでいい」
「えーそればっか!今日は要の食べたいものにしよ!何かないの?」
「翔太」
「え?」
「だから翔太」
「いや、俺は食べものじゃないし……」
「急いで帰ろう。早く食べたい」
「いや、だから、」
幸せだ
1
お気に入りに追加
332
あなたにおすすめの小説
運命の番から逃げたいです 【αとΩの攻防戦】
円みやび
BL
【αとΩの攻防戦】
オメガバースもの ある過去から人が信じられず、とにかく目立ちたくないがないために本来の姿を隠している祐也(Ω)と外面完璧なとにかく目立つ生徒会長須藤(α)が出会い運命の番だということがわかる。
はじめは暇つぶしがてら遊ぼうと思っていた須藤だったが、だんたん遊びにできなくなっていく。
表紙は柾さんに書いていただきました!
エブリスタで過去投稿していた物を少しだけ修正しつつ投稿しています。
初めての作品だった為、拙い部分が多いとおもいますがどうか暖かい目で見てください。
モッテモテの自信ありまくりの俺様が追いかけるというのが好きでできた作品です。
変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話
ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。
βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。
そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。
イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。
3部構成のうち、1部まで公開予定です。
イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。
最新はTwitterに掲載しています。
君は俺の光
もものみ
BL
【オメガバースの創作BL小説です】
ヤンデレです。
受けが不憫です。
虐待、いじめ等の描写を含むので苦手な方はお気をつけください。
もともと実家で虐待まがいの扱いを受けておりそれによって暗い性格になった優月(ゆづき)はさらに学校ではいじめにあっていた。
ある日、そんなΩの優月を優秀でお金もあってイケメンのαでモテていた陽仁(はると)が学生時代にいじめから救い出し、さらに告白をしてくる。そして陽仁と仲良くなってから優月はいじめられなくなり、最終的には付き合うことにまでなってしまう。
結局関係はずるずる続き二人は同棲まですることになるが、優月は陽仁が親切心から自分を助けてくれただけなので早く解放してあげなければならないと思い悩む。離れなければ、そう思いはするものの既に優月は陽仁のことを好きになっており、離れ難く思っている。離れなければ、だけれど離れたくない…そんな思いが続くある日、優月は美女と並んで歩く陽仁を見つけてしまう。さらにここで優月にとっては衝撃的なあることが発覚する。そして、ついに優月は決意する。陽仁のもとから、離れることを―――――
明るくて優しい光属性っぽいα×自分に自信のないいじめられっ子の闇属性っぽいΩの二人が、運命をかけて追いかけっこする、謎解き要素ありのお話です。
婚約者は俺にだけ冷たい
円みやび
BL
藍沢奏多は王子様と噂されるほどのイケメン。
そんなイケメンの婚約者である古川優一は日々の奏多の行動に傷つきながらも文句を言えずにいた。
それでも過去の思い出から奏多との別れを決意できない優一。
しかし、奏多とΩの絡みを見てしまい全てを終わらせることを決める。
ザマァ系を期待している方にはご期待に沿えないかもしれません。
前半は受け君がだいぶ不憫です。
他との絡みが少しだけあります。
あまりキツイ言葉でコメントするのはやめて欲しいです。
ただの素人の小説です。
ご容赦ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる