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冥府にGO!!
響く轟音(スカイside)
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寂れた廃マンション、 周囲には木が生えており周囲を守っている。
亜人達が必死になって木を切って中に入ろうとする。
そこにやって来る人力車。
ナイフ頭の亜人が運び、 車に乗っているのはスカイだった。
スカイは杖を突きながら人力車を降りる。
「何よ、 これ」
スカイはぽつりと不機嫌そうに呟く。
「申し訳ありませんスカイ様!!
今必死になってこの木を退かそうとしていますが聊か難儀してまして・・・」
現場に居る亜人が冷や汗をかきながらスカイに報告する。
「・・・・・いや、 良い、 下がってなさい」
「は?」
「何?」
「い、 いえ失礼します!!」
亜人が下がる。
「おいおい・・・あの人が怒らないって如何言う事だ?」
亜人の一人が呟く。
実際スカイは物凄い怒りっぽい、 些細なミスでも激怒する。
にも拘わらずこの膠着を怒らないのは如何なる事象か。
「この木・・・スピットの娘の物ね」
報告書から大体の事は知って居る。
フライ・スピット第十三憲兵団長。
つまり現在のビア帝国皇帝フライ・ボウル・ビアの娘ならばこの程度の事はしてくるだろう。
あの男の娘ならばこの程度はやって来る筈。
「退け」
木を切り倒そうと作業している亜人達に命令するスカイ。
「え、 でも」
「退け」
杖を傍らに居るナイフ頭に渡し。
両手に魔力を込める。
右手に聖の魔力を、 左手に魔の魔力をみなぎらせる。
「うわ、 全員逃げろ!! 対消滅だ!!」
亜人達はまさに蜘蛛の子を散らした様に逃げる。
対消滅とは古い魔力運用法の一つである。
火と水、 闇と光、 聖と魔といった相反する属性の魔力をぶつけエネルギーを生み出す
魔法とも言えない代物、 汎用魔法の数が少なかった時代で生まれた過去の遺物である。
否、 過去の遺物とすら言えないかもしれない、 対消滅を使う人間はそもそも少ない
まず相反する属性魔力が無ければならない。
複数属性を持つ者が多く登場する今作には馴染みが無いかもしれないが
普通の魔法使いが持つ魔法属性は一つである。
故に相反する属性魔力を用意する為に二人の魔法使いが必要。
そして二つの魔力のエネルギーが同等でなければならない。
調整が難しいのは自明の理である。
前提条件が多く、 使用が難しく、 通常の汎用魔法の方が良いとまで言える技術だが
単独で聖と魔の属性を持つスカイはこの対消滅に固執しており
歴史上最強の対消滅使いと化していた
もっとも対消滅を極めようと思ったのは彼女だけかもしれない。
そんな彼女が全力で使うのならば建物一棟破壊する事は容易である。
「あのスカイ様?」
ナイフ頭が恐る恐る尋ねる。
「何?」
「魔力を溜め過ぎでは? 皇女は生け捕りにする筈・・・」
「アンタ馬鹿?」
「え」
「ここまでやれる奴がこのボロマンション崩した位で死なないでしょ」
そして轟音が響いた。
亜人達が必死になって木を切って中に入ろうとする。
そこにやって来る人力車。
ナイフ頭の亜人が運び、 車に乗っているのはスカイだった。
スカイは杖を突きながら人力車を降りる。
「何よ、 これ」
スカイはぽつりと不機嫌そうに呟く。
「申し訳ありませんスカイ様!!
今必死になってこの木を退かそうとしていますが聊か難儀してまして・・・」
現場に居る亜人が冷や汗をかきながらスカイに報告する。
「・・・・・いや、 良い、 下がってなさい」
「は?」
「何?」
「い、 いえ失礼します!!」
亜人が下がる。
「おいおい・・・あの人が怒らないって如何言う事だ?」
亜人の一人が呟く。
実際スカイは物凄い怒りっぽい、 些細なミスでも激怒する。
にも拘わらずこの膠着を怒らないのは如何なる事象か。
「この木・・・スピットの娘の物ね」
報告書から大体の事は知って居る。
フライ・スピット第十三憲兵団長。
つまり現在のビア帝国皇帝フライ・ボウル・ビアの娘ならばこの程度の事はしてくるだろう。
あの男の娘ならばこの程度はやって来る筈。
「退け」
木を切り倒そうと作業している亜人達に命令するスカイ。
「え、 でも」
「退け」
杖を傍らに居るナイフ頭に渡し。
両手に魔力を込める。
右手に聖の魔力を、 左手に魔の魔力をみなぎらせる。
「うわ、 全員逃げろ!! 対消滅だ!!」
亜人達はまさに蜘蛛の子を散らした様に逃げる。
対消滅とは古い魔力運用法の一つである。
火と水、 闇と光、 聖と魔といった相反する属性の魔力をぶつけエネルギーを生み出す
魔法とも言えない代物、 汎用魔法の数が少なかった時代で生まれた過去の遺物である。
否、 過去の遺物とすら言えないかもしれない、 対消滅を使う人間はそもそも少ない
まず相反する属性魔力が無ければならない。
複数属性を持つ者が多く登場する今作には馴染みが無いかもしれないが
普通の魔法使いが持つ魔法属性は一つである。
故に相反する属性魔力を用意する為に二人の魔法使いが必要。
そして二つの魔力のエネルギーが同等でなければならない。
調整が難しいのは自明の理である。
前提条件が多く、 使用が難しく、 通常の汎用魔法の方が良いとまで言える技術だが
単独で聖と魔の属性を持つスカイはこの対消滅に固執しており
歴史上最強の対消滅使いと化していた
もっとも対消滅を極めようと思ったのは彼女だけかもしれない。
そんな彼女が全力で使うのならば建物一棟破壊する事は容易である。
「あのスカイ様?」
ナイフ頭が恐る恐る尋ねる。
「何?」
「魔力を溜め過ぎでは? 皇女は生け捕りにする筈・・・」
「アンタ馬鹿?」
「え」
「ここまでやれる奴がこのボロマンション崩した位で死なないでしょ」
そして轟音が響いた。
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