【更新休止】婚約破棄された令嬢の激辛料理経営禄

Mr.後困る

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レストラン・スコヴィルの客

国境にて(王子side)

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カラメル王国とビア帝国の国境施設で検疫で足止めを喰らうアスパルと王子達。

「はぁ・・・はぁ・・・」

顔中を針で刺される痛みは引いたがそれでも傷跡から血が滴る。
失血死する程じゃないがそれでも気分が悪い。

「うぅ・・・」
「糞!! まだなのか!!」

宛がわれた部屋の中でうろうろするサンライズ。

「落ち着いて下さいよ殿下」
「これが落ち着けるかウル!! 第一何だ検疫って!!」
「・・・我々の血を採取して病気を持っているか如何か調べるんですよ」

検疫の意味すら知らなかったのかと呆れるウル。

「少し・・・不安ですな」
「少し所では無いぞスノー!! 物凄い不安だ!! 早くアスパルを治してやりたい!!」
「いえ、 そうではなく・・・」
「?」
「私が風邪をひいているかもしれません、 丸坊主になってしまったので・・・」
「そんな事を言っている場合か!! アスパルは顔中穴だらけになったんだぞ!!」
「うぅ・・・殿下すみません」
「良いんだ、 アスパルお前は大人しくしていろ」
「うぅ・・・」

コツコツ・・・と王子達が待っている部屋に足音が近づく、 そしてノックが響く。

「誰だ?」
「国境検疫官の者です、 検疫の結果が出ました」
「入れ」

ガチャリ、 と部屋のドアが開き、 検疫官が入る。

「失礼します、 検疫の結果が出ました」
「問題無いだろう?」
「えぇ、 問題有りませんね」
「それならば通るぞ」
「いえ、 入国の際に旅券をご確認します」
「分かった」
「え、 私持って来てない・・・」
「アスパルの分は準備しておいた」

旅券を出すサンライズとウル、 そしてスノー。

「あの・・・旅券とは何ですか?」
「は?」

ウィノの言葉に驚愕する一同。

「旅券も知らんのかお前は!!」
「そうですよ殿下ですら知って居たんですよ!!」
「・・・おいウル、 殿下ですらって何だ?」
「旅券と言うのは国籍およびその他身分に関する事項を証明する物です!!
これが無いと国外に出られませんよ!!」
「え!? ちょ、 ちょっと待て!! 俺そんなの知らないぞ!!」
「知らないじゃないですよ!! これじゃあ貴方出国出来ませんよ!!」
「嘘だろぉ!?」
「・・・じゃあ良い、 ウィノは置いて行く、 我々だけで先に進むぞ」
「そうですね」
「そうしようか」
「ちょ、 ちょっと待ってくれよ!! アスパル!! 殿下達を説得してくれ!!」

ウィノがアスパルに懇願する。

「ご、 ごめんなさい、 先を急ぐので・・・」
「そんなああああああああああ!!」

ウィノが頭を抱える。

「お前は家に帰って旅券を取って来い」
「家にありますかね? 俺旅券なんて物作った覚えないですが・・・」
「じゃあさっさと旅券を作って後を追ってこい」
「はい・・・」

とぼとぼとウィノは一人家路に付いた。
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