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各国の動向(視点色々)

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ビア帝国皇帝城ダンスホール
皇帝の自室にて書き物をするフライの背後に側近のアミが現れる。

「陛下、 フロート殿下がお亡くなりになりました」
「だろうな、 で?」
「一応の御報告に・・・ラビー殿の救援は如何しましょうか?」
「変顔共と事を構えたくはない、 赤の森に入る者を牽制するだけで良い」
「は、 了解しました、 所で陛下
何故ラビー殿をそこまで高く評価しているのですか?」
「この世に神が居るのならば間違い無く彼女は神の娘か
神の敵対者だ、 それ程迄のポテンシャルを秘めている」
「そこまでですか?」
「その通りだ、 詳しく説明はせんぞ」
「そうですか・・・所で陛下
皇族の方々から二つ、 お耳に入れておきたい事が有ります」
「何だ?」
「一つ目はラビー・ストロング令嬢を連れて来れば
次期帝位を賜るとフロート殿下に仰った件ですが
逆説的にラビー・ストロング令嬢を娶れば誰でも次期帝位に付けると言う事かと
複数の皇族から問い合わせが来ています」
「なるほど、 そういう考えも有るのか・・・」

フライは少し考えた後に。

「良いだろう、 認めよう、 但し赤の森は危険地域
兵の使用は許可しない、 二つ目は?」
「二つ目は同姓での婚姻の認可の希望ですね」
「なるほど・・・女同士の結婚が認められれば女でもラビーを娶って女帝になれる
という寸法か、 面白い案だな、 元老院に出して見るか」
「は、 それではこれで」
「うむ」

アミは消え去った。

「さて他の国は如何出るか・・・」







「あり得ませぬ!!」

カマボコ公国の竹輪城にて公国の代表である
大公かいせんに詰め寄る第一公女すきみ。

「あのラビー・ストロングを追放!? しかも・・・何でしたっけ」
「赤い森です」

すきみの付き人のもみじが横から合いの手を入れる

「そう!! その赤い森!! 我が国の大瀑布の様な危険地帯だそうじゃないですか!!
そんな所に行けば死んでしまう!!」
「落ち着けすきみ、 ラビー嬢が掛けがえの無い人材であるのは私も承知している」

かいせんが悠々と立ち上がり窓の外を見る。

「ならば何故!! 止めないのですか!? 我が夫のカルーアも何故何もしない!!」
「安心しろ、 我々がラビー嬢を助けずとも
サンライズ王子を断罪せずとも代わりにやってくれる者は居る・・・」
「え?」

呆けるすきみ。








森羅共和国にてとある一団が人知れずに国を出た。
彼等は傭兵部隊【雷馬】、 5人しか居ない傭兵部隊だが
その5人共が森羅共和国でも指折りの実力者である。
彼等は一台の馬車に乗り込んだ。
共和国議員のエルフの巾木を連れて・・・

「巾木議員、 国境は超えましたよ」
「そうか・・・」

巾木に報告する雷馬のリーダー、 人狼の雷。

「ボスぅ・・・俺達5人も必要なのかねぇ・・・
二人居れば良くない?」

軽口を叩くハーフリングの園田。

「何言ってんだ、 俺達五人を雇うって事は給金もうへへへ」

ウザい口を利く鬼人の金鬼。

「金、 五月蠅い」

ハーフエルフの斥候、 密が諫める。

「へいへい・・・みっちゃんは厳しいねぇ・・・」
「副リーダー、 まだ大丈夫ですか?」
「平気だ」

馬車を引く副リーダー、 ケンタウロスの円。

「君達五人には厳しい仕事を頼んでしまった・・・」
「金は貰ってますから遠慮なさらずに」
「こいつじゃないけど、 俺達は傭兵ですよ?
俺達に任せて共和国で待っていても良いのでは?」
「・・・彼女が追放された事を知って、 居ても立っても居られないんだ
これは共和国の意向を無視した独断行動、 法的にも厳しい仕事だ」
「構いませんよ」

雷が事も無げに言う。

「俺達はラビー嬢に命救われた身、 この命
あの方の為ならば捧げても悔いは無い」
「ありがとう・・・」

巾木が涙を流して有難がる。






トング連邦では連邦議会場で連邦議員達【七連星】が会議をしていた。

「すると王国でラビー氏が超危険地域に追放されたのは確かなのか?」

七連星・一の星カルビが尋ねた。

「間違い無いとさ」
「あり得ぬ!! 件の戦争で彼女が居なければ戦う事すらままならなかったぞ!!」

七連星・二の星コブクロが叫ぶ。

「あぁ、 コブクロのオッサンの言う通りだ、 駄目だね、 あぁ全く持って駄目だ」

七連星・三の星ホルモンが嘆く。

「今すぐ王国に抗議じゃ!!」
「コブクロのオッサン、 それじゃあ駄目だ」
「何故だ!!」
「法国の糞坊主共はラビーを嫌っていた
ラビーを追放した事を賛美するだろう
政争は追放した馬鹿王子等に有利になる」
「ならば如何しろと言うのだ!!」
「俺達は座して法国を徹底的に邪魔してやるのさ」
「それが良いだろうな・・・」

七連星・七の星最高議長ブレンズが目を閉じる。

「同志ホルモン、 王国への抗議の内容は君に任せる
諸君らも待機して法国の坊主共に備えてくれ」
「「「「「「おう!!」」」」」」








ウェーサーカ法国の教会本部の中庭、 常世桜が舞吹雪く中で寝転ぶ者達。
彼女達はウェーサーカ法国の誇る十二聖女である!!

「御報告致します!!」
「・・・・・」

動かない十二聖女。

「・・・御姉様方に代わり私が御話を伺いますわ」

羽衣一枚のみを身に纏った十二聖女・末席アサグが体を起き上がらせる。
その体には青痣の様な聖痕が浮かんでいた。

「は、 王国のサンライズ王子の情婦アスパルに聖痕が現れたとの事です」
「・・・・・」

常世桜の一本に拳を叩きつけるアサグ。

「これは喜ばしい事ですわね、 あの忌々しいラビーを追放した
陣営に聖女が出て来るとは・・・これは神様の援護射撃ですかね?」

常世桜が倒れ込む、 倒れる方向に転がっていた聖女の一人が常世桜を焼き消す。

「何れにせよ、 聖女が生まれるのは喜ばしい事よ、 歓迎しましょう
ラビーの追放は正しかったと喧伝しましょう、 教皇猊下にも伝えなさい」
「は、 はい!! かしこ参りました」

伝令が慌てて立ち去った。

「大姉様・・・今日は喋りますねぇ・・・」
「・・・・・」








シクラメン合衆国では場末のバーで魔法で投影される大統領の演説を聞き流していた。

「・・・この大統領が言っているラビーって誰だ?」
「前の戦争で活躍した人らしいよ、 七・七であがりな」
「あー、 くっそー」

賭け事をしている酔っぱらいには演説も耳には入らないだろう。

「なーなー、 知って居るか? 帝国ではラビーを連れて来ると皇帝になれるってよ」
「うっそだぁ」
「でもあの皇帝ならやりそうじゃね?」
「うーん・・・」
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