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初めての御客様!!って何その頭!!
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でぶ妖精と共に小料理屋の経営を始めたルビー。
一軒家に立て看板を作って『レストラン・スコヴィル』と名前を付けた。
赤い森には唐辛子が大量に有る、 その唐辛子を使って料理を作ろうと思ったのだ
辛党なので特に問題は無い、 客の好みは知らないが自分は嫌な思いをしていないので問題は無い
料理のレパートリーも野生動物を狩って
肉を手に入れられたので肉に偏りがちだがそれなりに多い。
「とは言っても暇ねぇ・・・」
一週間が経ったが大して客が来ない、 こんな所で客が来るはずも無いし
半分所が殆ど全て道楽でやっている店なので問題は無いが。
「ここら辺って人は居るの?」
「偶に人っぽいを見かけるにょー」
「人っぽい?」
「人みたいだけど人じゃない・・・そんな人」
「ふーん・・・」
獣人の様な亜人でも居るのだろうか?
設定上は居るらしいがあまり出番が無いので忘れていた。
「にょー、 今日は何を作るにょ―?」
「今日はね唐辛子と鶏肉の炒め物を作るわ」
「にょー♪」
雇い入れたでぶ妖精に賄いで料理を作るのも道楽である。
でぶ妖精は「辛い―でもおいしー」と言ってパクパク料理を食べてくれる。
料理を食べて美味しいと言って貰えるのは素直に嬉しい事である。
今まで貴族として生きていた時は貴族としての立ち振る舞いをしても
こんなに嬉しいと思われる事は無かった。
「ふふふ」
「にょ? どうしたにょ?」
「何でもない」
「へんなにょー」
でぶ妖精達に賄い御飯をあげながら自分も食事を始める。
食べるのは勿論唐辛子と鶏肉の炒め物。
彼女の場合は唐辛子と鶏肉の分量が半々位である。
「頂きます」
「まてぇい!!」
食堂のドアが開かれる。
「窓の外から見守っていたがそんな量の毒の実を食べたら死ぬ!! 止めるんだ!!」
ドアの外から入って来たのは奇妙な頭の男? だった。
「・・・・・あ、 貴方は?」
「私は・・・そうだな、 世捨て人だ、 この森で隠遁生活をしている」
「いやそうじゃなくて頭・・・」
「頭? 頭がどうかしたのかね?」
「頭が人形・・・」
「人形じゃない!! くるみ割り人形だ!!」
頭がくるみ割り人形の頭部になっている男だった。
「え、 えぇ・・・」
困惑するルビー。
「御嬢さん、 世の中はままならないがそんな事をして死ぬのは止すんだ!!
でぶ妖精達も止めろ!!」
「にょー、 この人は辛い物が好きなにょー」
「辛い物が好きだと!? そんな馬鹿な!! 辛い物なんて食べられないだろう!!」
「・・・・・」
今の発言にルビーの、 否、 三島幸子の料理人魂に火が点いた!!
「いいでしょう、 世捨て人さん、 貴方に美味しい辛い料理を差し上げましょう!!」
「な、 何だとぉ!?」
食堂に入るルビー。
香味野菜の類はこの赤い森には大量に有るが調味料はかなり少ない。
この店に有って保管してある物だけである。
特別な時にしか使えない物だが激辛を否定したこの男?
には飛び切り美味しい物を食べさせると心に決めたのだ!!
「鶏もも肉は既に準備してある!!」
そう言って鶏もも肉の入ったボウルを出すラビー。
でぶ妖精から隠れてこっそり食べようとしていた物である。
「そしてその鶏もも肉に衣を付けて熱した油に投入!!」
「余熱は!?」
「既に済ませて有る!!」
王妃教育を修めたラビーにとってこの程度の事は児戯に等しい!!
「そしてカラッと揚げたて!! ピリ辛唐揚げの完成!!」
盛り付けてくるみ割り人形男の前に出す。
「さぁ食べなさい!!」
「え・・・でも・・・」
「大丈夫!! 美味しいから!!」
血走った眼でくるみ割り人形男に圧をかけるラビー。
「いただきます・・・」
恐る恐るフォークに唐揚げを突き刺して食べる。
くるみ割りの口であぐあぐと咀嚼して飲み込む。
「こ、 これは・・・!! なんだ・・・この味覚は・・・!!」
「辛いという感覚自体初めてかしら? これが辛いと言う味覚!!」
「か、 辛い? ・・・何だろうフォークが止まらないぞー!!」
パクパクと全て唐揚げを平らげたくるみ割り人形男。
「旨かった・・・あの赤い実ってこんな味だったのか・・・」
「美味しいって事が分かって貰えた?」
「あぁ・・・素直に認めよう、 すまなかった・・・」
「分かって貰えれば良いのよ・・・えーっと?」
「あぁ、 私の事は世捨て人さんと呼んでくれ」
「世捨て人さん?」
怪訝そうな顔をするラビー。
「君は人間だから馴染みは無いかもしれないが我々亜人にとって名前はとても大事な物だ
教えるなんて事はそうそうないぞ?」
「え、 亜人ってこんな感じなの!? 半分獣とかそう言うのを期待したんだけど・・・」
「半分獣ねぇ・・・それは獣人だろう、 亜人とは別じゃないか?」
「そうなのかな・・・」
考え込むラビー。
「兎も角旨かったよ、 お代は・・・そうだな、 何か困った事が有れば相談してくれ」
「え、 それじゃあ貴方達亜人の事について教えて」
「良いだろう、 だがちょっと口の中が・・・辛い? から水をくれ」
「分かったわ」
一軒家に立て看板を作って『レストラン・スコヴィル』と名前を付けた。
赤い森には唐辛子が大量に有る、 その唐辛子を使って料理を作ろうと思ったのだ
辛党なので特に問題は無い、 客の好みは知らないが自分は嫌な思いをしていないので問題は無い
料理のレパートリーも野生動物を狩って
肉を手に入れられたので肉に偏りがちだがそれなりに多い。
「とは言っても暇ねぇ・・・」
一週間が経ったが大して客が来ない、 こんな所で客が来るはずも無いし
半分所が殆ど全て道楽でやっている店なので問題は無いが。
「ここら辺って人は居るの?」
「偶に人っぽいを見かけるにょー」
「人っぽい?」
「人みたいだけど人じゃない・・・そんな人」
「ふーん・・・」
獣人の様な亜人でも居るのだろうか?
設定上は居るらしいがあまり出番が無いので忘れていた。
「にょー、 今日は何を作るにょ―?」
「今日はね唐辛子と鶏肉の炒め物を作るわ」
「にょー♪」
雇い入れたでぶ妖精に賄いで料理を作るのも道楽である。
でぶ妖精は「辛い―でもおいしー」と言ってパクパク料理を食べてくれる。
料理を食べて美味しいと言って貰えるのは素直に嬉しい事である。
今まで貴族として生きていた時は貴族としての立ち振る舞いをしても
こんなに嬉しいと思われる事は無かった。
「ふふふ」
「にょ? どうしたにょ?」
「何でもない」
「へんなにょー」
でぶ妖精達に賄い御飯をあげながら自分も食事を始める。
食べるのは勿論唐辛子と鶏肉の炒め物。
彼女の場合は唐辛子と鶏肉の分量が半々位である。
「頂きます」
「まてぇい!!」
食堂のドアが開かれる。
「窓の外から見守っていたがそんな量の毒の実を食べたら死ぬ!! 止めるんだ!!」
ドアの外から入って来たのは奇妙な頭の男? だった。
「・・・・・あ、 貴方は?」
「私は・・・そうだな、 世捨て人だ、 この森で隠遁生活をしている」
「いやそうじゃなくて頭・・・」
「頭? 頭がどうかしたのかね?」
「頭が人形・・・」
「人形じゃない!! くるみ割り人形だ!!」
頭がくるみ割り人形の頭部になっている男だった。
「え、 えぇ・・・」
困惑するルビー。
「御嬢さん、 世の中はままならないがそんな事をして死ぬのは止すんだ!!
でぶ妖精達も止めろ!!」
「にょー、 この人は辛い物が好きなにょー」
「辛い物が好きだと!? そんな馬鹿な!! 辛い物なんて食べられないだろう!!」
「・・・・・」
今の発言にルビーの、 否、 三島幸子の料理人魂に火が点いた!!
「いいでしょう、 世捨て人さん、 貴方に美味しい辛い料理を差し上げましょう!!」
「な、 何だとぉ!?」
食堂に入るルビー。
香味野菜の類はこの赤い森には大量に有るが調味料はかなり少ない。
この店に有って保管してある物だけである。
特別な時にしか使えない物だが激辛を否定したこの男?
には飛び切り美味しい物を食べさせると心に決めたのだ!!
「鶏もも肉は既に準備してある!!」
そう言って鶏もも肉の入ったボウルを出すラビー。
でぶ妖精から隠れてこっそり食べようとしていた物である。
「そしてその鶏もも肉に衣を付けて熱した油に投入!!」
「余熱は!?」
「既に済ませて有る!!」
王妃教育を修めたラビーにとってこの程度の事は児戯に等しい!!
「そしてカラッと揚げたて!! ピリ辛唐揚げの完成!!」
盛り付けてくるみ割り人形男の前に出す。
「さぁ食べなさい!!」
「え・・・でも・・・」
「大丈夫!! 美味しいから!!」
血走った眼でくるみ割り人形男に圧をかけるラビー。
「いただきます・・・」
恐る恐るフォークに唐揚げを突き刺して食べる。
くるみ割りの口であぐあぐと咀嚼して飲み込む。
「こ、 これは・・・!! なんだ・・・この味覚は・・・!!」
「辛いという感覚自体初めてかしら? これが辛いと言う味覚!!」
「か、 辛い? ・・・何だろうフォークが止まらないぞー!!」
パクパクと全て唐揚げを平らげたくるみ割り人形男。
「旨かった・・・あの赤い実ってこんな味だったのか・・・」
「美味しいって事が分かって貰えた?」
「あぁ・・・素直に認めよう、 すまなかった・・・」
「分かって貰えれば良いのよ・・・えーっと?」
「あぁ、 私の事は世捨て人さんと呼んでくれ」
「世捨て人さん?」
怪訝そうな顔をするラビー。
「君は人間だから馴染みは無いかもしれないが我々亜人にとって名前はとても大事な物だ
教えるなんて事はそうそうないぞ?」
「え、 亜人ってこんな感じなの!? 半分獣とかそう言うのを期待したんだけど・・・」
「半分獣ねぇ・・・それは獣人だろう、 亜人とは別じゃないか?」
「そうなのかな・・・」
考え込むラビー。
「兎も角旨かったよ、 お代は・・・そうだな、 何か困った事が有れば相談してくれ」
「え、 それじゃあ貴方達亜人の事について教えて」
「良いだろう、 だがちょっと口の中が・・・辛い? から水をくれ」
「分かったわ」
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