更新休止【異世界ファンタジー追放ざまぁハーレム主人公チート】デュエリスト・イン・ザ・ブロークンワールド【注釈付き】

Mr.後困る

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エクストラチャプター:プリンス・レオポルド・テリブル・24アワー

9:00

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「ナンナは余裕綽綽よゆうしゃくしゃく※1、 ポールは疲れを見せている、 厳しそうね」


※1:ゆったりと落ち着きはらったさま。


立会人№266が崩れていない建物の上でアップルタルトを食べながら観戦してる。

「266仕事は?」

立会人№715が現れた。

「あー、 アレは決闘立会人の仕事の範疇じゃないでしょ
もうテロよ、 テロ、 食べる?」
「何それ?」
「ブリュッセルで並ばないと行けないアップルタルト屋の店が
崩れてたから貰って来たアップルタルト」
「仕事しなさいよ」
「アンタだって仕事は如何したのよ、 セルデン所の餓鬼は?」
「多分死んだ、 埋まっちゃったし」

アップルタルトを貰って食べる立会人№715。

「どうするの?」
「如何するってさっきも言ったけども立会人の仕事じゃないでしょって」
「被害が大きくなったらどうするのよ」
「あー、 問題無いよ内側インナーエリアは封鎖していたみたいだし
最悪外側アウターエリア全壊が良い所でしょ」
「それも問題有りそうだけどね」
「問題有るの?」
「ブリュッセルの美味しい食べ物屋って大体外側アウターじゃん」
「別に飯位何処でも食えるでしょ、 ターミナルにはS級のレオも居るし
そこまで酷くならないよ」
「それもそうか」

立会人二人は眺めていた。

「ポールがナンナを倒してくれれば最高なんだが・・・」
「無理ね、 岩の波を砕けるのは凄いけども連続でやるのはキツイ
手数が足りないのよ圧倒的に」
「そっか・・・・・」



文字通り上から言われているポール自身も手数の足りなさは自覚している。
ポールはここで死ぬかもしれない、 ハウバリン公爵への忠義立て
そして王国への重篤な反逆・・・・・・・・・を犯した者への怒り。
様々な感情が渦巻く中で思い描いたのは幼少の頃の想い出だった。

当時、 投資対象として茶器の収集を行っていたポールの父のベルモンド準伯爵は
茶器を集めるのならば茶の湯も修めた方が良いだろうと茶人を日本から招き寄せた。
とは言え左程大した事の無い男だったと思う。
日本でやっていけない者が外国に出て来ていると見ざるを得なかった。
今から振り返ると彼は拙い作法と技術だったが
茶の湯の基本は幼かった自分でも学べたので教えるのは上手だったと思う。

『良いですかポール君、 まず心ですよ、 茶の湯の基本は心なのです
技術技量作法の類は大事ですが、 心無くしてそれは意味を成しません
心を込めた拙い作法は心無い優雅な所作に勝ります、 まずは心を持つ事が大事なのです
他者を尊敬し、 自らに恥じない行動をする、 これこそが心なのです』

その茶人はやがて去って行った、 投資対象の茶器が思ったより値上がりしなかったので
ベルモンド準伯爵は茶器から手を引き、 ついでに茶の湯からも手を引いたのだろう。
その茶人の名は何だったか、 幼い自分はずっと先生と呼び続けていた。
自分が茶道を修め始めたのも彼のお陰であり、 自分の根幹となる人物だった。



「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

そんな事を考えながら、 ポールは拳を振り上げて岩の津波を砕きながら前に進んだ。
感覚なんて無い、 拳の握り方は分かっているので再現している。
これが正解かは分からない、 だがしかし全力を尽くさずにいられない。
名も知らぬ兵が妻子を案じながらも自らを犠牲に自分を救った。
これに対して何も感じ得ない程、 ポールは鈍感では無いし冷酷ではない。
彼に恥じぬ行いをしなければならない。
ポールは全力で前に進んだ。

「ったくもう!!」

対照的にナンナはうんざりし始めた、 先程からの周囲の兵達の処理に加えて
何故かもう限界の筈のポールがしつこく迫る。

「めんどくさいわね!!」

大技を繰り出したいがこのペースだと大技を繰り出す貯めの最中に迫られる。

(やる・・か・・・? いや・・・!!)

ちらりと立会人二人を見る。

(立会人黒女が居る中で出す訳にはいかない!! ここは削り殺す!!)

次々と扇を振うナンナ。

「くたばれええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」
「イェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!」

ナンナの叫びを掻き消す猿叫が響く。
折れたバスタードブレードを振い血塗れのジュンが現れた。

「」「」

目くばせ一瞬、 彼等の気持ちは通じ合った、 剣を振り下ろし拳を突き出す。
このリズムで岩の津波を突破できそうになった。

「舐めるなぁアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

ナンナは扇を畳んで二人に襲い掛かった。
ジュンのバスタードブレードを扇で受け止め弾き
ポールの拳を真正面から扇で受け止め吹き飛ばした。

「スペックがよぉ!! 違うんだよぉ!! お前等人間如きとはなぁアアアアアアアアアアア!!」

ナンナは怒りながら嘲っていた。
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