更新休止【異世界ファンタジー追放ざまぁハーレム主人公チート】デュエリスト・イン・ザ・ブロークンワールド【注釈付き】

Mr.後困る

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チャプター16:インフェルノ・クイーン

マインドボクシング

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くじが引かれた。
スペルエストレージャVSカメハメハ。

「大王様は気絶してるなぁ、 これは俺の不戦勝では?」
「いや、 それは・・・もう少しインターバルを」
「『インターバルだぁ!? 甘ったれた事抜かすな!! 運も実力の内だろうが!!』
って抜かしていたのは誰だったっけ?」
「・・・・・」

スペルエストレージャ不戦勝。
次のくじはスペルエストレージャVSメレディス。
スペルエストレージャまたしても不戦勝。
これでスペルエストレージャの戦績は二勝二敗となった。

「ここでフェザーが戻って来て二人共不戦勝なら俺の3位は確定だな」
「なさけねぇ事言うな、 スペルエストレージャ」

サリバンが制する。

「ふん、 女と引っ込んじゃったしこりゃあしっぽりとかかなぁ?」
「下世話な話をしてるわね、 一応私達は貴族よ」

サンとフェザーが帰って来た。

「帰って来た・・・!?」

スペルエストレージャは目を疑った。

「サリバン、 俺は如何やらアンタに強く殴られた様だ
小僧の手が治っている様に見えるが、 如何だ?」
「俺の眼にも傷は治っている様に見える、 一体何をした?
ベネルクス王国秘伝の魔術か?」
「言うと思う?」

サンはくすりと笑った。

くじが引かれた。

サリバンとフェザーの戦いである。



二人共リングに上がったサリバンはグローブを付けている。

「・・・・・」

先程スペルエストレージャから受けた攻撃により全身の骨に罅に入っている。
サリバンで無ければまず間違い無く体中の骨が砕け、 死んでいただろう締め付け。
スペルエストレージャが自分の骨を折る位の猛烈な締め付けは
サリバンにとっても重篤なダメージを与えていた。

「・・・・・」

しかしサリバンは動かない。
フェザーも動かない。
フェザーはカウンター狙いだ。

「このまま待つつもりか?」
「えぇ、 貴方はかなりの深手を負っています、 待たさせて頂きますよ」
「ふん、 良いだろう、 好きなだけ待て」
「そのつもりです」

10分が経過。
見合ったまま互いに動かない
しかしフェザーに疲労の色が見える。

何故フェザーがここまで披露しているのか?
読者諸賢も想像して欲しいがフェザーは今不安定な足場の崖っぷちに立っているのと同じ状況である。
そんな場所に常人なら10秒も居たくないだろう。
更にその崖っぷちは此方を虎視眈々※1 と狙っている。


※1:敵や相手のすきをねらってじっくりと機会をうかがうこと。 
虎視は、虎が獲物をじっと観察する様。
眈眈は一説には心臓の音である。 
大きな虎の心臓の鼓動は響き渡り「たんたん」と音がすると言われている。


サリバンは千にも近いフェイントや攻撃の意識をフェザーに向けて来ている。
その度に反応しフェザーは疲労が蓄積されている。


「良くやる・・・」

スペルエストレージャは冷や汗を流している。
既に周囲で見ている者達の中には倒れる者も居る、 現にエンペスキーは倒れたコールスローを連れて
後ろに下がっている。

無理もない事である。
試合を見て失神するファンは大勢居る。
白熱した試合や凄惨な試合で倒れる者は大勢居るのだ。
プロのシャドーボクシング※2 でも観戦者が倒れる事は多い。


※2:一人で仮想の敵を想定し自ら立って手足を動かす。
仮想の敵からの攻撃を避けながらパンチを繰り出すなどの攻撃をする。
近年ではエアボクシングとも呼ばれ大会まで開かれている。
更に一般のボクシング大会でも演技部門としてシャドーボクシングを披露する場がある。


今回はシャドーボクシングならぬマインドボクシングと言おうか
シャドーボクシングとは逆に体を極力動かさないボクシング。
やっている事は逆だが何方にせよ究極的には同じ事である。
現実に起こってはいない・・・・・・・・・・・・とはいえ
千近い攻撃を一方的にぶつける試合は誰がどう見ても凄惨極まりない代物である。

「当たり前でしょ、 フェザーは私の」
「違う、 サリバンの方だ」

スペルエストレージャはサンの言葉を否定する。

実際はやっていない・・・・・・・・・とはいえ
これだけの攻撃をあの体でやるとは・・・元気だな、 意外と・・・・・」

否、 サリバンのダメージは深刻である。
まともに戦えば苦戦は必須であるからこうして手を出さないのだ。
スペルエストレージャは勘違いしている。
先程からの千のマインドボクシング、 サリバンにとってこれは呼吸に等しいのだ。
人を殴る事が日常の男にとってマインドボクシングは文字通り思考に等しい。
当然ながらフェザーも反撃に転じようとするが、 その度に強い意識を向けられる。

「・・・・・」

勝てるビジョンが見つからない、 しかしこうなったら仕方がない。
1発貰う覚悟で行くしかない、 フェザーは一歩、 前に踏み出した。

「踏み出すのならばもっと早く踏み出すべきだったな、 大分回復出来た」
「・・・そうですね」

フェザーはサリバンの攻撃を受けた、 しかし一発目はフェイント
二発目のフックでリング外に飛ばされてしまったのだった。

画してサリバンの全勝が決まった。
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