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チャプター16:インフェルノ・クイーン
ベネルクス・アライバル
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再誕歴7704年メイ13日。
北太平洋上、 客船メイフラワー22世号。
一等船室にてサンが静かに日記を認めていた。
フローラ、 アンテイア、 クローリスの3人も同室していた。
「・・・・・最近御嬢様変わったよね」
ひそひそとアンテイアが話し始めた。
「爵位貰ったからね、 大人の女になったって事だよ」
「そうかなぁ・・・それにしては雰囲気が変わり過ぎている様な・・・」
ひそひそと話しているメイド達。
「しかし毎日書を認めているのは不思議だ
御嬢様は筆まめだけどもずっと部屋に閉じこもっているのは変だよ」
クローリスが呟く。
「全部聞こえてるよ」
サンの言葉に驚く一同。
「今回は全部終わる迄、 仕事でやるわ、 観光は全部終わってから」
「はぁ・・・」
気の抜けた返事をするフローラ。
「まさかアンタ達、 観光気分で来たわけじゃないよね?」
「いえ、 まさか」
「そうですよ」
「そそそそそそそそそそそそそそそそそそそんな事無いですよ!!」
露骨に慌てるクローリス。
「・・・・・まぁ気分は分かるけどね
世界一の観光地だもの、 まぁ全部終わってからよ」
「しかし船内には色々と施設が有りますし・・・
カジノとかサロンとか・・・遊んでも良いのでは?
現にエンペスキー大臣はカジノで遊んでましたよ、 出禁になりましたけど」
「だろうね、 あの人の事だから絶対損しないやり方でしか賭けないだろうし」
「損しないやり方って有るんですか?」
「只管賭け金を倍にすれば何時かは勝てるでしょう
私ですらこの位の事は分かるんだからエンペスキー大臣ならもっといい方法を思いついてるわ」
「おっかない・・・所でフェザーには会わないんですか?」
フローラが尋ねる。
「言ったでしょ、 観光は全部終わってから
全部終わったら思い切りハワイで観光させて貰うわ」
「・・・・・でもフェザーが失敗したら?」
「その時は陛下の下で一生下働きね」
クローリスの問いに事も無げに言うサン。
「・・・の割には意外と余裕そうですね」
「フェザーが負ける訳無いと思うし、 それにね・・・
陛下の事を想うとね・・・」
遠い目をするサン。
「・・・・・!! まさか百合!?」
フローラとアンテイアから額を叩かれるクローリス。
一方別室のフェザー。
男女別になっているとは言え彼も侯爵位を持っているので一等船室である。
「・・・・・」
とは言え基本的に動かない、 呼ばれもしないので暇を持て余している。
「・・・・・」
子供の頃を思い出す。
『おとなになったらひろいいえにすみたい』
そんな無邪気な事を言った記憶がある、 孤児院は仲が良い連中が多くて楽しかったが
狭かった、 一部屋4人位に詰め込まれた記憶がある。
今思えばその狭さが楽しかったのだが・・・
「成長した、 と言う事かな、 僕もサン様も」
年明けのサンはまさに別人だった。
ベネルクス95世と一体何をしていたのか、 一体何を見て来たのか。
気になる所だが詮索は野暮と言う物だろう。
「・・・・・そろそろか」
メイフラワー22世号は超高性能な最新鋭の客船である。
その為、 揺れは殆ど無いがそれでも揺れを感じる。
そしてその揺れが収まって来た、 と言う事は風が収まって来た
恐らく暴風島の内側に入ったのだろう。
ハワイは火山が活発な地域であり、 火山が大量に有る。
その火山の山々がハワイをぐるっと囲っており
暴風島になっているらしい。
古い伝承には東の果てから侵略者との戦いに傷つき流れて来た富士山の大部分が
ハワイの火山達に助けられて以後在留しているという伝承がある。
「・・・・・」
サリバン相手に何処まで出来るのか
不安と共に興奮も有る。
自分の力を試したい、 その気持ちもある。
無論全力を出す、 しかし勝てるのか・・・
フェザーの心境を描写するには筆者の腕が足りない。
再誕歴7704年メイ14日。
メイフラワー22世号から今回の決闘の関係者と客が降り立った。
「いよいよね、 フェザー」
「えぇ」
久々に対面したサンとフェザー、 しかし口数は少ない
まるで熟年の夫婦の様だ。
その後ろをついて行くメイド3人。
「・・・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・」
まるで戦場に向かう様な顔のエンペスキーとコールスロー。
「何だかおっかねー顔の奴が多いなぁ」
「何でも国家間決闘だってよ」
「へぇ・・・そりゃあ面白そうじゃん」
野次馬の観光客が騒ぐ。
ハワイのホテルの一室から彼等を見る一組の男女。
「彼等は? ジョージ」
「ベネルクス王国のS級決闘者フェザーと大臣だな、 メレディス」
二人は水着姿で完全に観光気分だが派手な髪色と髪型の女である
メレディスの左手はギプスで包まれている。
「決闘開始は20日だったよね? ジョージ」
「そうだな、 メレディス」
「でも船の入港は今日までよね? ジョージ」
「そうだな、 メレディス」
「私の頭が確かならばメキシコとアメリカとハワイの代表が来ていないわよね? ジョージ」
「そうだな、 メレディス、 しかし補足するのならばハワイの代表は来る筈がない
既に居るのだから」
「!!!?」
戦慄するメレディス。
「・・・ハメられたって事ね? ジョージ」
「相手はハメたつもりが無いと思うが、 まんまとハマったなメレディス」
「こっちもハメるつもりだから安心よ」
「その意気だメレディス」
北太平洋上、 客船メイフラワー22世号。
一等船室にてサンが静かに日記を認めていた。
フローラ、 アンテイア、 クローリスの3人も同室していた。
「・・・・・最近御嬢様変わったよね」
ひそひそとアンテイアが話し始めた。
「爵位貰ったからね、 大人の女になったって事だよ」
「そうかなぁ・・・それにしては雰囲気が変わり過ぎている様な・・・」
ひそひそと話しているメイド達。
「しかし毎日書を認めているのは不思議だ
御嬢様は筆まめだけどもずっと部屋に閉じこもっているのは変だよ」
クローリスが呟く。
「全部聞こえてるよ」
サンの言葉に驚く一同。
「今回は全部終わる迄、 仕事でやるわ、 観光は全部終わってから」
「はぁ・・・」
気の抜けた返事をするフローラ。
「まさかアンタ達、 観光気分で来たわけじゃないよね?」
「いえ、 まさか」
「そうですよ」
「そそそそそそそそそそそそそそそそそそそんな事無いですよ!!」
露骨に慌てるクローリス。
「・・・・・まぁ気分は分かるけどね
世界一の観光地だもの、 まぁ全部終わってからよ」
「しかし船内には色々と施設が有りますし・・・
カジノとかサロンとか・・・遊んでも良いのでは?
現にエンペスキー大臣はカジノで遊んでましたよ、 出禁になりましたけど」
「だろうね、 あの人の事だから絶対損しないやり方でしか賭けないだろうし」
「損しないやり方って有るんですか?」
「只管賭け金を倍にすれば何時かは勝てるでしょう
私ですらこの位の事は分かるんだからエンペスキー大臣ならもっといい方法を思いついてるわ」
「おっかない・・・所でフェザーには会わないんですか?」
フローラが尋ねる。
「言ったでしょ、 観光は全部終わってから
全部終わったら思い切りハワイで観光させて貰うわ」
「・・・・・でもフェザーが失敗したら?」
「その時は陛下の下で一生下働きね」
クローリスの問いに事も無げに言うサン。
「・・・の割には意外と余裕そうですね」
「フェザーが負ける訳無いと思うし、 それにね・・・
陛下の事を想うとね・・・」
遠い目をするサン。
「・・・・・!! まさか百合!?」
フローラとアンテイアから額を叩かれるクローリス。
一方別室のフェザー。
男女別になっているとは言え彼も侯爵位を持っているので一等船室である。
「・・・・・」
とは言え基本的に動かない、 呼ばれもしないので暇を持て余している。
「・・・・・」
子供の頃を思い出す。
『おとなになったらひろいいえにすみたい』
そんな無邪気な事を言った記憶がある、 孤児院は仲が良い連中が多くて楽しかったが
狭かった、 一部屋4人位に詰め込まれた記憶がある。
今思えばその狭さが楽しかったのだが・・・
「成長した、 と言う事かな、 僕もサン様も」
年明けのサンはまさに別人だった。
ベネルクス95世と一体何をしていたのか、 一体何を見て来たのか。
気になる所だが詮索は野暮と言う物だろう。
「・・・・・そろそろか」
メイフラワー22世号は超高性能な最新鋭の客船である。
その為、 揺れは殆ど無いがそれでも揺れを感じる。
そしてその揺れが収まって来た、 と言う事は風が収まって来た
恐らく暴風島の内側に入ったのだろう。
ハワイは火山が活発な地域であり、 火山が大量に有る。
その火山の山々がハワイをぐるっと囲っており
暴風島になっているらしい。
古い伝承には東の果てから侵略者との戦いに傷つき流れて来た富士山の大部分が
ハワイの火山達に助けられて以後在留しているという伝承がある。
「・・・・・」
サリバン相手に何処まで出来るのか
不安と共に興奮も有る。
自分の力を試したい、 その気持ちもある。
無論全力を出す、 しかし勝てるのか・・・
フェザーの心境を描写するには筆者の腕が足りない。
再誕歴7704年メイ14日。
メイフラワー22世号から今回の決闘の関係者と客が降り立った。
「いよいよね、 フェザー」
「えぇ」
久々に対面したサンとフェザー、 しかし口数は少ない
まるで熟年の夫婦の様だ。
その後ろをついて行くメイド3人。
「・・・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・」
まるで戦場に向かう様な顔のエンペスキーとコールスロー。
「何だかおっかねー顔の奴が多いなぁ」
「何でも国家間決闘だってよ」
「へぇ・・・そりゃあ面白そうじゃん」
野次馬の観光客が騒ぐ。
ハワイのホテルの一室から彼等を見る一組の男女。
「彼等は? ジョージ」
「ベネルクス王国のS級決闘者フェザーと大臣だな、 メレディス」
二人は水着姿で完全に観光気分だが派手な髪色と髪型の女である
メレディスの左手はギプスで包まれている。
「決闘開始は20日だったよね? ジョージ」
「そうだな、 メレディス」
「でも船の入港は今日までよね? ジョージ」
「そうだな、 メレディス」
「私の頭が確かならばメキシコとアメリカとハワイの代表が来ていないわよね? ジョージ」
「そうだな、 メレディス、 しかし補足するのならばハワイの代表は来る筈がない
既に居るのだから」
「!!!?」
戦慄するメレディス。
「・・・ハメられたって事ね? ジョージ」
「相手はハメたつもりが無いと思うが、 まんまとハマったなメレディス」
「こっちもハメるつもりだから安心よ」
「その意気だメレディス」
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