401 / 495
チャプター15:ドクターズ・オウクワード
シルバー・コイン・ミーティング
しおりを挟む
バルカンはヨーロッパの中でも特異な国である。
多くの民族が合わさり合い、 常に火種を抱えている国。
バルカンを統治した王や皇帝、 貴族、 議員は数知れず。
バルカン王国、 バルカン帝国、 バルカン公国、 バルカン共和国と
国号を次々とボジョレーヌーヴォーのキャッチコピー※1 の様に変える。
※1:フランスのボジョレー地区でその年に収穫したぶどうを醸造した新酒ワイン。
毎年毎年新しいキャッチコピーが出る。
ワインと同じくキャッチコピーの出来不出来も評価される。
次第に国号はバルカンに固定される様になった。
そのバルカンの決闘者は勿論強い、 と言う事は無かった。
決闘をする前に暗殺上等、 内紛上等と言う血の気が多い国なのだ。
決闘者は飾りに過ぎない。
「と思っていたがな」
ルーマニア、 VHO本部。
玄関にて無呼吸が息を切らしながら
バルカンの決闘者達を葬った。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「だ、 大丈夫ですか? まだヴァリャーグとの戦いの傷が言えていないでしょう?」
ブラムが心配する。
「アンタの手下じゃ、 逆にやられていた
それにもう8割方回復したよ
名乗りもしない蛮族の癖にここまで強いとは・・・うん?」
決闘者の死体をごろり、 と転がすと見覚えの無い傷が有った。
つい先ほど斬られたような傷だった。
「これは?」
「え? いえ、 私は分かりません・・・」
「・・・・・本腰を入れて傷を癒す事にする」
そう言って無呼吸は引っ込んだ。
VHO本部を外から見張る【シルバー・コイン】の決闘者達
社内序列1位の決闘者のジョウゲン
2位の叭・老、 3位のダターイ、 4位のチャンダブリー、 5位のエルメンドラ。
「バルカンのれんちゅ、 出て来ませんね、 どしますボス?
エルメンドラ突っ込ませます?」
「何で私を!?」
ダターイが自身の金髪の髪を弄りながら
チクル樹液の塊※1を噛みながらジョウゲンに尋ねる。
※1:ガムの代用品、 まだまだこの世界ではガムは高価なのだ。
「おめぇがこんなかで一番下っ端だからに決まってんだろ」
「ざけんじゃなわよ」
「落ち着けお前達、 まだやるには早い」
「早い? 何を待つ? 儂の寿命が尽きたらどうするんだ?」
叭・老がギラリともさもさの髭と眉毛から眼光を光らせる。
「老爺、 まだ情報が不足している」
「情報? 何の情報が足りない?」
「我々を襲って来たタルパ共だよ、 あんな練度の高いタルパ聞いた事が無い
老爺は聞いた事あるか?」
「・・・・・聞いた事は無いな、 人間と見紛う程の精密さ
あんな物を作れるとは思わない、 数も凄まじかった」
「あのタルパがルーマニアの奴が作っていたとしたら?」
「・・・脅威だね、 しかし疑問がある
何故我々は今無事なのか?」
「それが問題なんですよ、 ここで最悪なのはルーマニアの奴が
タルパとは無関係だった場合、 俺達がケリを着けてもタルパの襲撃で終わる」
「それはご免被るね・・・ヴァリャーグを殺せる奴、 いや連中?
兎も角そんな奴等と戦ってはタダでは済まない、 その後に襲われたら目も当てられない」
「そりゃ、 考え過ぎじゃねーの? ハンガリーを抜ける少し前から
タルパは来てねーぜ?」
ダターイがちゃちゃを入れる。
「周囲に隠れている、 としたら?」
「あぁー、 なるほど、 そういうパターンか、 完全に理解したわ※2」
※2:理解できていない。
「じゃあやっぱりエルメンドラ突っ込ませます? 何らかのアクションが起きるでしょう」
「捨て駒にする気!?」
「待て待て、 エルメンドラはエルメンドラで役に立つ、 ここで切るには勿体無い」
「しかし切り時を逃すのは得策では無いぞジョウゲン」
「いや老爺、 切る必要もない」
ジョウゲンが指差す。
その先には【ルクセンブルク・インフェルノ・フェニックス】の馬車が来ていた。
「危険は奴等に任せましょう」
「手柄を先に取られたらどうする?」
「その場合は横取りしましょう」
「っひゃー、 ボスきっちくー」
タダーイが囃し立てる。
「えぇ・・・良いの? それ?」
「立会人が機能してないからなぁ、 好きにやらせて貰おう、 異論は?」
「無いな」
「ねぇっスよ」
「・・・・・まぁ、 私は手を出しませんよ」
「チャンダブリー、 お前は?」
七三分けのチャンダブリーは腕組みをしたまま頷く。
「決まりだな、 待とうか」
次の瞬間、 VHO本部は火に包まれた。
「何ィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!?」
流石にこれは予想外だった、 流石にジョウゲンも絶叫する。
「ちょ、 ちょ、 ちょ!?」
ダターイも言葉を紡げない。
「エメラルドは熱に弱い!! エメラルド・タブレットが台無しになる!!
皆でツッコむぞ!! エルメンドラ!!」
「あ、 あぁ!!」
エルメンドラは大砲のタルパを構築して打ち出した!!
VHO本部に激突し大穴を開いた。
「そうじゃねぇだろうが!! いや、 あって、 無い!!」
「えぇいまどろっこしい!! 行くぞ!!」
ジョウゲンは走り出し、 皆もついて言ったのだった。
多くの民族が合わさり合い、 常に火種を抱えている国。
バルカンを統治した王や皇帝、 貴族、 議員は数知れず。
バルカン王国、 バルカン帝国、 バルカン公国、 バルカン共和国と
国号を次々とボジョレーヌーヴォーのキャッチコピー※1 の様に変える。
※1:フランスのボジョレー地区でその年に収穫したぶどうを醸造した新酒ワイン。
毎年毎年新しいキャッチコピーが出る。
ワインと同じくキャッチコピーの出来不出来も評価される。
次第に国号はバルカンに固定される様になった。
そのバルカンの決闘者は勿論強い、 と言う事は無かった。
決闘をする前に暗殺上等、 内紛上等と言う血の気が多い国なのだ。
決闘者は飾りに過ぎない。
「と思っていたがな」
ルーマニア、 VHO本部。
玄関にて無呼吸が息を切らしながら
バルカンの決闘者達を葬った。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「だ、 大丈夫ですか? まだヴァリャーグとの戦いの傷が言えていないでしょう?」
ブラムが心配する。
「アンタの手下じゃ、 逆にやられていた
それにもう8割方回復したよ
名乗りもしない蛮族の癖にここまで強いとは・・・うん?」
決闘者の死体をごろり、 と転がすと見覚えの無い傷が有った。
つい先ほど斬られたような傷だった。
「これは?」
「え? いえ、 私は分かりません・・・」
「・・・・・本腰を入れて傷を癒す事にする」
そう言って無呼吸は引っ込んだ。
VHO本部を外から見張る【シルバー・コイン】の決闘者達
社内序列1位の決闘者のジョウゲン
2位の叭・老、 3位のダターイ、 4位のチャンダブリー、 5位のエルメンドラ。
「バルカンのれんちゅ、 出て来ませんね、 どしますボス?
エルメンドラ突っ込ませます?」
「何で私を!?」
ダターイが自身の金髪の髪を弄りながら
チクル樹液の塊※1を噛みながらジョウゲンに尋ねる。
※1:ガムの代用品、 まだまだこの世界ではガムは高価なのだ。
「おめぇがこんなかで一番下っ端だからに決まってんだろ」
「ざけんじゃなわよ」
「落ち着けお前達、 まだやるには早い」
「早い? 何を待つ? 儂の寿命が尽きたらどうするんだ?」
叭・老がギラリともさもさの髭と眉毛から眼光を光らせる。
「老爺、 まだ情報が不足している」
「情報? 何の情報が足りない?」
「我々を襲って来たタルパ共だよ、 あんな練度の高いタルパ聞いた事が無い
老爺は聞いた事あるか?」
「・・・・・聞いた事は無いな、 人間と見紛う程の精密さ
あんな物を作れるとは思わない、 数も凄まじかった」
「あのタルパがルーマニアの奴が作っていたとしたら?」
「・・・脅威だね、 しかし疑問がある
何故我々は今無事なのか?」
「それが問題なんですよ、 ここで最悪なのはルーマニアの奴が
タルパとは無関係だった場合、 俺達がケリを着けてもタルパの襲撃で終わる」
「それはご免被るね・・・ヴァリャーグを殺せる奴、 いや連中?
兎も角そんな奴等と戦ってはタダでは済まない、 その後に襲われたら目も当てられない」
「そりゃ、 考え過ぎじゃねーの? ハンガリーを抜ける少し前から
タルパは来てねーぜ?」
ダターイがちゃちゃを入れる。
「周囲に隠れている、 としたら?」
「あぁー、 なるほど、 そういうパターンか、 完全に理解したわ※2」
※2:理解できていない。
「じゃあやっぱりエルメンドラ突っ込ませます? 何らかのアクションが起きるでしょう」
「捨て駒にする気!?」
「待て待て、 エルメンドラはエルメンドラで役に立つ、 ここで切るには勿体無い」
「しかし切り時を逃すのは得策では無いぞジョウゲン」
「いや老爺、 切る必要もない」
ジョウゲンが指差す。
その先には【ルクセンブルク・インフェルノ・フェニックス】の馬車が来ていた。
「危険は奴等に任せましょう」
「手柄を先に取られたらどうする?」
「その場合は横取りしましょう」
「っひゃー、 ボスきっちくー」
タダーイが囃し立てる。
「えぇ・・・良いの? それ?」
「立会人が機能してないからなぁ、 好きにやらせて貰おう、 異論は?」
「無いな」
「ねぇっスよ」
「・・・・・まぁ、 私は手を出しませんよ」
「チャンダブリー、 お前は?」
七三分けのチャンダブリーは腕組みをしたまま頷く。
「決まりだな、 待とうか」
次の瞬間、 VHO本部は火に包まれた。
「何ィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!?」
流石にこれは予想外だった、 流石にジョウゲンも絶叫する。
「ちょ、 ちょ、 ちょ!?」
ダターイも言葉を紡げない。
「エメラルドは熱に弱い!! エメラルド・タブレットが台無しになる!!
皆でツッコむぞ!! エルメンドラ!!」
「あ、 あぁ!!」
エルメンドラは大砲のタルパを構築して打ち出した!!
VHO本部に激突し大穴を開いた。
「そうじゃねぇだろうが!! いや、 あって、 無い!!」
「えぇいまどろっこしい!! 行くぞ!!」
ジョウゲンは走り出し、 皆もついて言ったのだった。
0
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~
みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】
事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。
神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。
作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。
「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。
※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる