上 下
299 / 495
チャプター14:ノット・インデペンデンス

インデペンデンス・フィーバー

しおりを挟む
再誕歴7703年メイG日。

ベルモンド伯爵配下の5人の代官が処刑された後の5つの領は大混乱に陥っていた。
フロップス領の村落の一つの村長だったボンタナも混乱に陥っている中の一つであった。

「畜生め・・・!!」

自分の家で悪態を吐きながら、 これから如何するのかボンタナは思案を重ねていた。
フロップスは大法螺吹きで自信過剰の大ヴァカ者で無茶をする奴だが
代官が居ないとなると問題が有る。
現に犯罪が多発し、 他の村々では逃げ出す者も多く
成り立たなく村が多く、 ボンタナが村長をやっている村以外は壊滅状態で
ボンタナの村に吸収合併されている状態である。

「親父ぃ、 ここは俺達で代官を立てるのは如何だ?」

ボンタナの息子のチモが提案する。

「何を言っとるんだ、 平民が代官になれるか」
「でもここら辺の領主になりたがる奴は居ないだろう?
来たとしても禄でも無い奴が来るに決まっている」
「あー・・・」

確かに良い領主が来るとは思えない、 この領はあまり良い場所では無い。

「でも平民が領主になった所で如何なるんだ?
ワシらの生活が良くなるのか?」
「代官には色々な法令を出せる権限がある
その権限で一時的な税収の取り立ての中止、 若しくは延期を行えば良い」
「そんな事出来たのか!? じゃあ何でフロップス様はそうしなかったんだろう」
「税収で生活していたからじゃないのか?
代官の収入は色々有るがあの人は税収位しか収入が無かっただろうし」
「だとしても取り過ぎじゃったろうに・・・
だがしかしなぁ・・・ワシらが代官に立候補しても向こうは相手にしてくれるのか?」
「そこで親父、 これを見てくれ」

封筒を取り出すチモ。
内容はインターコネクト、 アグリーも代官を平民から出すと言う考えに至り
他領と合併して代官を出さないか、 と言う提案が書かれた封書である。

「話し合わなければなぁ・・・」

画してボンタナはインターコネクト、 アグリーの代表と話し合ったのだった。
だがしかし話が妙な方向に行き始めた。



再誕歴7703年メイ22日。

「独立?」

ボンタナはインターコネクト、 アグリーの代表と
話し合っている最中でそんな事を言われた。

「我々なら出来ます」

アグリー領の村の一つの村長、 グリィが自信を持って宣言する。

「我々って? アグリー領の方々の事か?」
「いやいや俺達は知らねぇぞ?」
「そもそもグリィと話した事もあんまりねぇよ」

混乱する一同。

「良いですか皆さん、 王制貴族制なんて古い方から解き放たれ
我々は新しい平等な政治体系を取るべきなのです!!」
「いや政治とかそんな事よりも明日の飯なのよ」
「そういう意識高い系とか他所でやってくれ」
「そうそう、 俺達の領主も似たような事言ってグズグズになってったじゃないか」

グリィの言葉を全否定する一同。

「いえ、 皆さん明日の飯と言いますがそんな物よりも
皆は自由と独立を欲しているのです」
「皆って? アグリー領の方々の事か?」
「いやいや俺達は知らねぇぞ?」
「そもそもグリィと話した事もあんまりねぇよ」
「窓の外を見て下さい」

窓の外を見る一同。
大勢の村人が大挙している。
それぞれ『独立万歳!!』『新国家万歳!!』と高らかに叫びながら・・・




現在、 ベルモンド伯爵邸。

「と、 独立派が大半を占めており、 独立しなければ暴動が起きそうな事態に・・・」
「・・・・・情けない・・・」

事情を説明するボンタナ、 頭を抱えるワームウッド。

「中途半端に知識を得るからこうなるんだ、 平民に勉強させるからこんな
ヴァカな事をしでかす・・・」
「面目次第も有りません・・・」
「国策だからお前のせいではない、 が、 なら如何すると言うんだ?」
「それは私から説明します」

サンジェルマンがずい、 と出て来た。

「まず初めに独立したい連中に私は雇われましたが
話を聞いて見て『こいつ等駄目だな』と私も感じています
私が指摘しても話を聞きやしない
武力制圧をすると独立したがっている若者を中心とした大人数に被害が及びます」
「流石に私達の子供や孫も居るので避けて頂きたい」

『国民議会』の面々が申し訳なさそうに言う。

「私も金を貰っていますが早々にこの独立国家は無くなった方が良いと思います
が、 彼等の子供達は救いたい、 そこでイデオロギー※1 的な敗北を突きつけてやりたい」


※1:観念イデア思想ロゴスを組み合わせた造語。
意味は多々有るが政治や宗教における観念を指しており政治的意味や宗教的意味が含まれている。


「どういう事だ?」
「まず初めに独立に対して反対の連中を領内から出します
次に独立派の連中の国家運営を行います、 この時何も問題が無い様に私達で監視します
何かしらの不備が起こった場合、 我々が告発します」
「・・・・・なるほど、 その時に此方が対処する、 と」

独立の熱狂を覚ます為には独立を失敗させればいい。
独立に伴う強烈なデメリットを彼等に御せる訳も無し。

ベルモンド達はこの話に同意したのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~

雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。

処理中です...