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チャプター13:ベトゥレイアル

ノーブル・イン・ザ・ルーム

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「派手だが・・・これはな・・・」

アメイジングハートの貴賓館の一室にて、 外の乱痴気騒ぎを見てげんなりするベルモンド。

「何もかもが過剰過ぎる、 派手なのは認めるがね
処刑の方法とか悪趣味の極みだ」

溜息を吐くスクイド、 この部屋にはハウバリン公爵と彼の門閥貴族達が勢ぞろいしている。
彼等はチーズから招待されてこの貴賓館に集まっていた。

「そうか? 処刑とか面白いだろ? このパンフレットに書かれている処刑方法は
ユニークで見ごたえがありそうだ、 蓑踊り※1、 血のワシ※2
ファラリスの雄牛※3、 ゾウで踏みつけるなんて物もある、 テンション上がるなぁ!!」


※1:蓑を着せて蓑に火をつけて火あぶりにする処刑方法。
日本発案の恐ろしい処刑方法であり
この処刑方法が元で起こった反乱も有ったらしい。

※2:うつ伏せに寝かせた罪人を刃物で肋骨を脊椎から切り離し
生きたまま肺を体外に引きずりだして翼のように広げる処刑方法。
創作の中の処刑では無いのか噂されていた。

※3:真鍮製の雄牛の像で中が空洞になっており人間が一人入るスペースがある他
雄牛の口にはトロンボーンのような機能を持った管があり内部の空洞と繋がっている。
背中の扉から受刑者を閉じ込めて下から火で加熱する処刑道具。
火事と違い煙が出ないため死ぬ最後まで意識を失わず
焼けた空気から逃れるため外と繋ぐ管から必死に呼吸をしようとして
牛が鳴くような音を鳴らすらしいのだが、 実際に使われた公式な記録は無いらしい。


配られた祭りのパンフレット片手にはしゃぐセイバーダー。

「首吊りが至高だろ、 あのバタバタと足が動いて
舌が青くなるのが良い」
「同感、 それに人を斬るのは匂いが臭いし跡片付けが面倒、 虫も湧くし」

セルデンとデトネーターがズレた感想を言っている。

「処刑なんて物は残酷な程良いと思うがねぇ・・・まぁ良いや
下の乱痴気騒ぎは置いておこう、 今回我々は何で呼ばれたのだろうか?」
「それは簡単だ、 経済力を見せつけたいんだろう」
「同感です」

エトナの言葉にハウバリンが答えてバーリィが追従する。

「経済力を見せて、 今後とも御贔屓に、 と言う事なのだろう、 良くある事だ」
「この祭りの準備にウチの領の作物を大量に買って行ったからな
胎に何かイチモツ抱えているのかもしれないが経済力は確かにある」
「証人としての信用は有るかもしれませんが人間としての信用は
別問題ですね」

ヒューガルデンが静かに言う。

「そりゃああんなポッと出の男の言う事を信用する奴はヴァカだろう
それ位の領分はここに居る全員が百も承知だろう、 ヴァカにしてるのか?」

セルデンが睨みつける。

「それは失礼、 しかしながら奴等は資金を大量に集めている様子
民間の刑務所を作って囚人を集めて刑務作業で荒稼ぎするつもりなのか
何なのかは知らないが」
「私は賛成だ、 囚人なんぞ要らんからな」

セルデンの言葉に驚くヒューガルデン。

「意外だな、 全員打ち首、 いや縛り首の方が好きだから縛り首?
兎も角皆殺しにするのかと思っていたぞ」
「我が領は殺す価値もない雑魚は殺さないが囚人として扱うって言うのが
苦手な気風だからなぁ、 囚人は何処か他所にやりたい
とは言っても大体罪を犯せば即座に殺される土地なんだがな」
「恐ろしい土地だなぁ・・・スクイドは如何だ? 其方も金は好きだろう?」
「あいつ等は好かん」

スクイドは断言する。

「何故?」
「あいつ等はウチのカジノにも出店テナントをだしているんだがやり方がえげつない
客を殺す破産させる様なディーラーしか置かない糞カジノを名前を変えたり
出店者の名前を変えて何度も出店している、 営業妨害だ」
「それはえげつないなぁ・・・」

ドアがノックされる。

「誰だ?」
「フェザーです、 お飲み物を持って参りました」
「入れ」

ドアが開きワゴンに飲み物を乗せたフェザーがやって来た。

「コーラ、 サイダー、 炭酸水、 ワイン、 ビール、 紅茶と緑茶を持って参りました」
「うむ、 注文通りだ」

各々が飲み物を口に着ける。

「最高品質の代物だな、 貴族を招くだけは有る」
「だな、 緑茶迄有るのは流石に驚いたな、 そんな物飲むのはベルモンド伯爵位・・・」

セルデンはベルモンドを見て仰天した、 涙を流しているのだ。

「これは・・・・・何という・・・何という・・・」
「だ、 大丈夫か?」
「かなりの高段者が淹れた緑茶だ・・・恐らくは茶道ワンハドレット・マスタークラス※4・・・!!」


※4:ベルモンド伯爵は茶道ファイブ・マスターなので単純計算で20倍の腕前を持つ茶人。


「これを淹れた者は!?」
「え、 えぇ、 外の出店で売っていたので」
「一時退席します!! フェザー、 案内しろ!!」
「は、 はい!!」

フェザーと共に退室するベルモンド。

「・・・・・普段から私は狂っていると言われる事は多々有るが本当に狂っているのはアイツだと
私は学生時代から常々言っているのだが実例を見て如何思うね?」

皆に問うセルデン。

「言っちゃ悪いが今回に関してはベルモンドが正しい」

バーリィが断言する。

「何故?」
「茶道ワンハドレット・マスターって言うのは茶道に置いてかなりの上段者だ
ここまで来ると外交的価値すら出て来るレベルの茶人、 ならば会いたいと思うのは当然だよ」
「・・・外交的価値がある茶人って何?」

セルデンは首を傾げた。
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