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チャプター11:フリー・ライド・ヘル・ライン

ヘヴンズ・ワースト・ミーティング

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再誕歴7702年ジュライ3日。

通信モノリスの通信ルームで
ヨーロッパ連合参加国の各国代表間で激論が行われていた。
彼等は通信モノリスで意識を星の海にある通信ルームにまで飛ばし
意識で対話をしているのだった。
議題はスターダスト評議国についてである。

「近辺国で領土割譲、 人道的見地※1 により
生き残りはドイツさんやフランスさんの様なメジャー所で保護すれば良いんじゃないんですかね?」


※1:人としての正しい行い、 考え方の事。


「いやいや、 故郷に近い周辺国で保護した方が良い
そっちの方が人道的※2だ」


※2:人としての正しい行い、 考え方の事。
決して面倒を人に押し付ける為の免罪符ではない。


「いや、 しかしですよ? 我々はスターダスト評議国の様に屁理屈並べて
ヨーロッパ連合の加盟料※3をケチる様な大胆な性格では無く
小心者なので彼の国の国民からは下に見られるでしょう
下に見ていた者に保護されるのは彼等のプライドを傷つけるでしょうし
ここはヨーロッパ連合の中でも特に優秀な方々の国に行って貰う方が良いかと」


※3:ヨーロッパ連合の加盟国が支払う連合の運営費の事。
国内総生産の内、 決められた割合を支払うのだが
スターダスト評議国は利益を全て投資に回して支払いを誤魔化し続けて来た。


「優秀な我々と自分達を比較して人生に悲観されてしまってテロでも起こしかねませんよ」
「それは幾ら何でも侮辱では?」
「いやいや、 スターダストは我々ヨーロッパ連合にただ乗りしている様な物
最早経済テロと言っても過言ではない、 正直重荷に過ぎない連中だ
どうせここにはスターダストの連中は居ないんだからぶっちゃけましょうよ
あいつ等、 邪魔じゃないですか?」
「確かに運営費は払っていないが・・・だからと言ってそこまで邪見にする事も無いだろうに」
「アンタの所はスターダストから遠いからそう言う事言える
連中は近隣の国を露骨に見下しせせら笑ってる」
「ヨーロッパ連合加盟国の中でも軍事費が一番低い連中だ
有事の際に我々を頼るつもりなのは見え見えだ、 今回の事は自業自得
隕石落下は連合国の災害支援法※4の適用外だ」


※4:ヨーロッパ連合の加盟国が災害の被害に遭った際に
他の連合国からの支援を受けられる法律。
但し災害の中に隕石落下による損害は含まれない。


「よろしいですか?」

ベネルクス95世が挙手する。

「確かに隕石落下は連合発足当時には想定しなかった故に制定されなかった
しかしながら今回の件で隕石落下と言う事態が起こりうるという事が判明した
ならば法改訂を行い、 隕石落下を災害支援法に組み込み
スターダストを助けるのは如何でしょうか? ここで恩義を売っておけば
流石に運営費を支払う様になると思いますが」
「なりませんね、 ベネルクス王国さんは連中の面の皮の厚さを御存じない」

スターダスト評議国の隣国のオゾン公国のオズ大公は断言した。

「スターダストがお嫌いですか?」
「えぇ、 連中は軍事費が殆ど無いので軍隊が無く
連中の国に盗賊団が有っても連中は対処しないのです
流石に自国が襲撃に遭えば対処しますが
盗賊団もその事を理解しているのでアジトをスターダストに置いて周辺国に襲撃し
スターダストを隠れ蓑にしている有様、 その盗賊団の討伐の為に軍を派遣しようとしても
拒否をして入国できずじまい、 全く持ってふざけているとしか思えません
人が困っていても自分が面倒だから一切行動しない
ルールに則っていればどんな悪事をしても良いと思っている様な連中ですよ
我々が助けても連中は加盟料を支払うとは思えませんね」
「同感ですが、 しかしながら『隕石落下を連合が対処しない』前例
いや、 先の貴方の言葉に習うのならば『規定に無い災害に対処しない』前例を
作ってしまうのは問題だと思います」
「ベネルクス95世陛下ぁ・・・そうじゃないんですよぉ・・・」

ヨーロッパ連合議長、 リヒャルト・クーデンホーフ=カレルギーが溜息を吐きながら言う。

「我々も人間ですしぃ? そりゃあ死にそうな人たちを助ける為に
行動しますとも、 ですがねぇ・・・正直に言いますとぉ
我々にただ乗りしている人達を助けたいとは思いませんよぉ
彼等は日ごろの行いが悪過ぎますよぉ
それにここで助けたのならば・・・そうですね
『ヨーロッパ連合は明確に喧嘩を売っている様な国も助ける』と言う前例を作ります
これはお人好しに見られて、 有体に言えば舐められる、 と言う事ですねぇ
舐められるのは非常に不味い、 我々を低く見られてしまっては
連合全体の不利益になります、 これは流石に容認できませんねぇ」
「なら大罪を犯すつもりですか? 大量虐殺者になると?」
「私が殺している訳じゃないので関係無いですよ
ですがぁ、 まぁこのままただただ拒否するのも問題有るので
陛下がスターダストが救いたいのならばそれ相応のメリットの提示が必要ですねぇ」
「・・・・・」

黙り込むベネルクス95世。
その後、 再び隕石衝突後の領土の再分配と生き残った国民を如何するかを彼等は話し合ったのだった。
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