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チャプター9:キラー・クイーン
ミニスターズ・イン・ザ・サロン
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「ああああああああああ、 もう腹立つわぁああああああああああああ」
ブリュッセル王宮内の大臣専用のサロンで管を撒くワームウッド。
サロンにはニコラス、 サイプレス、 フラマン、 コーシー以外の大臣達が集まっている。
「何で陛下はあの女を重用するのか意味が分からん!!
何の役に立つんだあの女!!」
「気持ちは分からないでもないっ、 がっ、 お前が言うなっ」
「何だと? どういう事だコールスロー卿、 あの女の肩を持つのか?
あの税金を使いまくる女を」
「君だって税金を使っているじゃないかっ」
「悪いか?」
「悪いかってっ、 税金の無駄遣いを諫めているのに
自分の税金使用は良いのかっ」
「それは問題無いですよ、 寧ろ税金を使わないのが問題です」
エンペスキーがサロンの備え付けのつまみやらを自分のカバンに入れながら答える。
「ヨーロッパ連合内で軍事費を下げると言うのは
ヨーロッパ連合軍に頼り切ると言う事
つまりはヨーロッパ連合にただ乗りしているのではないか、 と言う問題になります
ヨーロッパ連合の端っこのカーマン国を御存じでしょう?」
「確かヨーロッパ連合軍を常駐させる事で軍事費を節約している国かっ
確かに良い噂は聞かないがっ、 しかしっそれならっサイプレスの人権云々も
金を出さないと白い目で見られるのでは無いのかっ?」
「だとしても出し過ぎなんですよ、 確かに軍事費からすれば少額ですが
税収の割合で計算するとヨーロッパ連合内でもそこそこ高いですよ」
「ふむっ・・・」
「そもそも女性支援とかって何なのよ? 女性の社会進出とか意味が分からない」
セカイウチがぽりぽりとポテチを食べながら問う。
「今の時代ならば女性の社会進出は認めても良いのでは?
正直サイプレスは嫌いですがそこは認めるべきだと」
「エンペスキー卿、 今まで人類が生まれて何年経ったと思っている?」
「・・・・・さぁ? 考えたことも有りません」
「80万年だ、 これは歴史的文献や遺跡等の資料から分かっている
本当はもっと歴史深いかもしれないが置いておこう
我々人類の歴史にはそんな莫大な時間が有ったのだ
その歴史の中で男が女を守り養うと言うシステムが生まれて今日まで維持されて来た
今日の我々がそのシステムを覆して良いのだろうか?」
「しかしながら優秀な女性は居ますよ、 彼女達を無視するのは余りにも惜しい」
「エンペスキーさん、 それはちょっとやめて欲しい」
メアリーがビールを煽りながら言った。
「女性の社会進出とか色々な弁舌をサイカレスさんは言っていたけども
正直な話、 やめて欲しい」
「どうしてですか? 貴女も女性では?」
「女性の社会進出の前に社会が出来ていないのよ
平民の子供がちゃんと成人になれる確率は御存じ?」
「七割程度と聞いています」
「それは都市部の話、 領主の出来でもっと落ちる
更に言うと疫病の発生で各段に下がる、 ベネルクス王国全体の平均を計算すると
大体5割強の確率で成人になる前に子供達は死ぬ
信じられる? 子供達を育てられる環境にすら用意できない社会なのよ?
そんな切羽詰まった社会なのに女性や貧しい人を支援するのはあまりにも厳しい
私達はまだまだ発展途上の社会なんだからもっと社会全体の事を考えて欲しい」
「社会よりも目の前の事に注力するべきだと言うのは理解出来る
翻って2000人の団体を如何するか考えるべきだ!!」
ワームウッドが叫ぶ。
「ワームウッド卿、 貴方が何でそんなに慌てているのか分かりかねます」
「コロッサス老!! 何でそんなに落ち着いている!!」
「簡単な話ですよ、 こうして気心の知れた我々ですら言い合いをするのです
それが2000人、 そして意見が違う四団体
2000人の兵隊を動かすのもある種の経験と才能が居るのに
彼等がそんな事出来ると思います?」
「更に言うと2000人分の食料やら移動やら宿泊やらで大金がかかりますね・・・
移動の馬車も良い物を揃えないと疲労困憊になります
と言うか良い馬車でも暴風に慣れないと疲労困憊ですし
そこまで大問題にはならないのでは?」
エンペスキーが捕捉する。
「・・・・・流石に準備はしているだろう」
「ワームウッド卿、 以前に女性の権利団体が
『女性だけ騎士団を作れ!!』と言っていたのを覚えていますか?」
「確かそんな事も有ったな、 とりあえず募集して来た連中を仮採用したが
全く持って能力が無くてダメだった、 それ見た事かと思ったよ」
「彼等彼女等にとって権利とは誰かに準備して貰う物なんです
準備なんてしませんよ」
「あの世でコンドルセ侯爵※1 も泣いているだろうよ」
※1:フランスの侯爵で社会学の創設者の一人と目される人物の一人。
「ニューヘイヴンのあるブルジョワからヴァージニアの一市民への手紙」および
「女性の市民権の承認について」において女性に参政権を与えるべきであると主張した。
当時のフランスはフランス革命期で最も有力な政治家ロベスピエールが牛耳り
更にロベスピエールはフェミニズムが大嫌いだった為、 真っ向から喧嘩を売っている形になった。
最終的にコンドルセ侯爵はロベスピエールに逮捕されて獄中で自殺させられてしまう。
コンドルセ侯爵は他にも様々な論文を執筆しておりその功績は計り知れない。
ブリュッセル王宮内の大臣専用のサロンで管を撒くワームウッド。
サロンにはニコラス、 サイプレス、 フラマン、 コーシー以外の大臣達が集まっている。
「何で陛下はあの女を重用するのか意味が分からん!!
何の役に立つんだあの女!!」
「気持ちは分からないでもないっ、 がっ、 お前が言うなっ」
「何だと? どういう事だコールスロー卿、 あの女の肩を持つのか?
あの税金を使いまくる女を」
「君だって税金を使っているじゃないかっ」
「悪いか?」
「悪いかってっ、 税金の無駄遣いを諫めているのに
自分の税金使用は良いのかっ」
「それは問題無いですよ、 寧ろ税金を使わないのが問題です」
エンペスキーがサロンの備え付けのつまみやらを自分のカバンに入れながら答える。
「ヨーロッパ連合内で軍事費を下げると言うのは
ヨーロッパ連合軍に頼り切ると言う事
つまりはヨーロッパ連合にただ乗りしているのではないか、 と言う問題になります
ヨーロッパ連合の端っこのカーマン国を御存じでしょう?」
「確かヨーロッパ連合軍を常駐させる事で軍事費を節約している国かっ
確かに良い噂は聞かないがっ、 しかしっそれならっサイプレスの人権云々も
金を出さないと白い目で見られるのでは無いのかっ?」
「だとしても出し過ぎなんですよ、 確かに軍事費からすれば少額ですが
税収の割合で計算するとヨーロッパ連合内でもそこそこ高いですよ」
「ふむっ・・・」
「そもそも女性支援とかって何なのよ? 女性の社会進出とか意味が分からない」
セカイウチがぽりぽりとポテチを食べながら問う。
「今の時代ならば女性の社会進出は認めても良いのでは?
正直サイプレスは嫌いですがそこは認めるべきだと」
「エンペスキー卿、 今まで人類が生まれて何年経ったと思っている?」
「・・・・・さぁ? 考えたことも有りません」
「80万年だ、 これは歴史的文献や遺跡等の資料から分かっている
本当はもっと歴史深いかもしれないが置いておこう
我々人類の歴史にはそんな莫大な時間が有ったのだ
その歴史の中で男が女を守り養うと言うシステムが生まれて今日まで維持されて来た
今日の我々がそのシステムを覆して良いのだろうか?」
「しかしながら優秀な女性は居ますよ、 彼女達を無視するのは余りにも惜しい」
「エンペスキーさん、 それはちょっとやめて欲しい」
メアリーがビールを煽りながら言った。
「女性の社会進出とか色々な弁舌をサイカレスさんは言っていたけども
正直な話、 やめて欲しい」
「どうしてですか? 貴女も女性では?」
「女性の社会進出の前に社会が出来ていないのよ
平民の子供がちゃんと成人になれる確率は御存じ?」
「七割程度と聞いています」
「それは都市部の話、 領主の出来でもっと落ちる
更に言うと疫病の発生で各段に下がる、 ベネルクス王国全体の平均を計算すると
大体5割強の確率で成人になる前に子供達は死ぬ
信じられる? 子供達を育てられる環境にすら用意できない社会なのよ?
そんな切羽詰まった社会なのに女性や貧しい人を支援するのはあまりにも厳しい
私達はまだまだ発展途上の社会なんだからもっと社会全体の事を考えて欲しい」
「社会よりも目の前の事に注力するべきだと言うのは理解出来る
翻って2000人の団体を如何するか考えるべきだ!!」
ワームウッドが叫ぶ。
「ワームウッド卿、 貴方が何でそんなに慌てているのか分かりかねます」
「コロッサス老!! 何でそんなに落ち着いている!!」
「簡単な話ですよ、 こうして気心の知れた我々ですら言い合いをするのです
それが2000人、 そして意見が違う四団体
2000人の兵隊を動かすのもある種の経験と才能が居るのに
彼等がそんな事出来ると思います?」
「更に言うと2000人分の食料やら移動やら宿泊やらで大金がかかりますね・・・
移動の馬車も良い物を揃えないと疲労困憊になります
と言うか良い馬車でも暴風に慣れないと疲労困憊ですし
そこまで大問題にはならないのでは?」
エンペスキーが捕捉する。
「・・・・・流石に準備はしているだろう」
「ワームウッド卿、 以前に女性の権利団体が
『女性だけ騎士団を作れ!!』と言っていたのを覚えていますか?」
「確かそんな事も有ったな、 とりあえず募集して来た連中を仮採用したが
全く持って能力が無くてダメだった、 それ見た事かと思ったよ」
「彼等彼女等にとって権利とは誰かに準備して貰う物なんです
準備なんてしませんよ」
「あの世でコンドルセ侯爵※1 も泣いているだろうよ」
※1:フランスの侯爵で社会学の創設者の一人と目される人物の一人。
「ニューヘイヴンのあるブルジョワからヴァージニアの一市民への手紙」および
「女性の市民権の承認について」において女性に参政権を与えるべきであると主張した。
当時のフランスはフランス革命期で最も有力な政治家ロベスピエールが牛耳り
更にロベスピエールはフェミニズムが大嫌いだった為、 真っ向から喧嘩を売っている形になった。
最終的にコンドルセ侯爵はロベスピエールに逮捕されて獄中で自殺させられてしまう。
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