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チャプター8:ポイズン・グラマー
レフト・アンド・ライト・アンド・ミーティング
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再誕歴7701年セプテンバーP日。
ベルモンド伯爵領、 スァルビア湖。
スァルビア湖は澄み切った綺麗な湖で避暑地として有名である。
貴族が安心して遊泳が出来る湖には第2~3番候補位には挙げられる場所である。
勿論ベルモンド伯爵領内の貴族はこの湖に来る。
そして大金を落とし、 観光業で成り立っている湖である。
現在、 このスァルビア湖と周辺はスァルビア男爵が統治している。
そしてスァルビア湖ほとりの高級宿の大広間に集結するベルモンド伯爵と彼の麾下の代官達。
ベルモンド伯爵領の街等をベルモンド伯爵に命じられて統治する貴族や騎士達である。
その数は15である、 公爵に率いられる門閥貴族と違って
門閥貴族麾下の増減は激しい、 そもそもの話、 代官を統治する街等が増減するのだ。
増減する理由としてそもそも統治する街等が増減する事。
街なら兎も角、 村落等の場合は盗賊や魔物の群れによる襲撃。
暴風や自然災害による壊滅、 暴風設備の破損。
代官の能力不足や背任による経営破綻等。
この様な事例は壊滅パターンと呼ばれベルモンド伯爵領では珍しい事例である。
次に増減する理由としては過疎化による維持コスト削減の為の村落放棄。
合併による村落や市街の合一化、 若しくは別門閥貴族麾下への移籍である。
門閥貴族麾下の貴族が同じ門閥で別の貴族の麾下になる事は珍しくない
この場合は門閥貴族同士で交渉や話し合いを行って移籍とする。
移籍する貴族の領地は如何するか、 移籍料は如何するか等である。
但し違う門閥の貴族の場合は地続きでは無いので必然的に領地は所属してた門閥貴族に
返還する等面倒になる為、 滅多に起こる事案では無い
しかし物事には必ずしも例外は有るのだ・・・。
大広間の長机に整列し待機するベルモンド麾下代官及び代官の補佐達。
ベルモンド伯爵が大広間に入室し議長席に着席する。
「・・・・・それではベルモンド伯爵領内代官定期会議を行います」
「「「よろしくお願いします!!」」」
ベルモンドの宣言の後に
代官、 代官補佐達も一斉に頭を下げて着席する。
「まず初めにベルモンド閣下、 宜しいでしょうか?」
ベルモンド伯爵麾下の中でも特に信頼が厚く
代々ベルモンド伯爵家に仕えていたエルジェ子爵が発言した。
彼は老齢だが先代ベルモンド伯爵から仕えていた事で
ベルモンド伯爵領での№2の地位を得ていた。
「段取りと言う物が有るが、 貴方が喋りたいと言う事は一大事ですかな?」
「閣下が集まる前に少し皆で雑談したのですが
この度、 ベルモンド閣下麾下に入りたいので話を付けてくれと言う打診が
代官を含めた貴族、 騎士達から合計して52通来ています」
「多ッ!?」
「多いですよね、 私も驚きました、 寝耳に水です※1」
※1:寝ている時に水の音が聞こえる事。
”ザ・ジャパン・スリーガイズ”の一人、 豊臣秀吉が
『城で寝てたら水の音が聞こえて吃驚した』と言う言葉が語源とされている。
水の音で大げさな、 と思うだろうがこの『水の音』とは洪水の音である。
誰でも吃驚する。
手紙の束を受取るベルモンド。
宛名を確認する。
「かなり色々な所から来ているな、 別の門閥からも来ているじゃないか・・・」
「手紙の内容は確認していますが
中には所属している門閥に相談も無しに連絡している者も・・・」
「何だそれは? そんな礼儀知らずなんて相手にするな
所属門閥に連絡して突き返せば良い、 フィルター※2にかけろ」
※2:貴族には身の安全を保障する為に面会拒否権がある。
突然やって来て『会わせろ』と言って来る輩には面会拒否権を発動し面会を拒否する事が出来る。
面会拒否権を無視して会おうとする場合、 逮捕拘禁する事が出来る。
それ故にアポイントメントを取らないと無駄足になる為
基本的に貴族に会いに行く際はアポイントメントを取る事が普通である。
しかし貴族が貴族にアポイントメントを取る場合、 拒否には理由が必要である。
この場合適当な理由でも良いのだが、 後々問題になる可能性がある為
今回の様に『礼儀知らずだから会わない』と言う理由で会わないと言う事が出来る
これを礼儀フィルターと呼ぶ、 また『家格が下だから会わない』家格フィルター。
『領地が狭いから会わない』領地フィルター等もある。
「はっ、 その様に致します、 他に足切り※3 するべき事柄は有りますか?」
※3:希望者に対して事前に一定の基準を設定し参加者数を絞り込む行為。
フィルターを言い換えた物と考えて貰って良い。
「では騎士階級以下は足切り、 騎士の数は足りているからな
領地や財産は置いておこう、 それからヴェルギウス公爵の門閥からも断りを
ヴェルギウス公爵から移籍とか後々文句を言われる事は必至だ」
「では・・・」
52通有った手紙が一気に10通以下になる。
「いや、 少ないな!?」
「ヴェルギウス公爵門閥貴族麾下からかの手紙が20通は有りましたので・・・」
「ヴェルギウス公爵は血筋を重視するからな・・・」
「残りは25通はゴディバ公爵門閥とネーデル公爵門閥からですね」
「それは不可思議だな、 ゴディバ公爵は兎も角ネーデル公爵からもとは」
ここで読者諸賢にベネルクス王国の五公爵について解説しよう。
彼はベネルクス王国の王に次ぐ地位にあり国家に忠誠を(真偽はどうあれ)誓っており
国の為に様々な活動をしている、 しかしながら彼等はそれぞれ考え方が違う為
彼等の配下の門閥貴族とその門閥貴族の麾下はその考えに合った人材が上に上がれるシステムである。
無論例外は有るだろうが、 成り上がりたいなら自分に合った門閥貴族の麾下に入りたい者である。
簡単に説明するとベネルクス王国五公爵
ハウバリン、 ゴディバ、 ルクセンブルグ、 ネーデル、 ヴェルギウスの信条を述べるのならば
血統を最重要視し、 門閥貴族を【旗国50家】で固め
その配下も古い血統で固めているがガチガチの保守主義者のヴェルギウス。
家格を最重要視しており血統よりも家格が重視し
門閥貴族を侯爵家3家, 準侯爵家1家と言う4家と超精鋭化されている
ヴェルギウスと同じく保守主義者のゴディバ。
裏では黒い噂も有るが血統や家格よりも功績のみを重視し
功績を挙げれば誰でも貴族に引き立て門閥貴族の数が
他侯爵の倍位居る実利主義者のネーデル。
ヴェルギウスやゴディバの様に保守的でも無いが
ネーデルの様に実績のみを評価する訳でも無い、 悪人でも善人でもない
中途半端だがそれ故に柔軟なハウバリン。
ベネルクス国王直轄領ブリュッセルに隣接しベネルクス王国貴族の頂点であり
極めて中立的で偏らない、 否、 中立に偏っていると言われるバランス主義のルクセンブルク。
因みにルクセンブルクは宰相位も与えられており実質的にベネルクス王国の№2である。
「ヴェルギウス公爵とゴディバ公爵では下から這い上がるのは厳しいだろう
しかしネーデル公爵の所からも?」
「えぇ、 恐らく競争が嫌になったのか
それとも我が領ならば成り上がれると思ったのでしょう」
「それは如何言う事だ?」
「伯爵閣下、 発言をお許しください」
ヴィング男爵が発言を求める。
「良いだろう、 何だ?」
「この有様こそが答えです」
「この有様・・・・・」
ベルモンドは考えた。
「最初から思っていた事だが・・・今回の会議は集まりが悪い様だな
どういう事だ?」
「説明しましょう」
ベルモンド伯爵領、 スァルビア湖。
スァルビア湖は澄み切った綺麗な湖で避暑地として有名である。
貴族が安心して遊泳が出来る湖には第2~3番候補位には挙げられる場所である。
勿論ベルモンド伯爵領内の貴族はこの湖に来る。
そして大金を落とし、 観光業で成り立っている湖である。
現在、 このスァルビア湖と周辺はスァルビア男爵が統治している。
そしてスァルビア湖ほとりの高級宿の大広間に集結するベルモンド伯爵と彼の麾下の代官達。
ベルモンド伯爵領の街等をベルモンド伯爵に命じられて統治する貴族や騎士達である。
その数は15である、 公爵に率いられる門閥貴族と違って
門閥貴族麾下の増減は激しい、 そもそもの話、 代官を統治する街等が増減するのだ。
増減する理由としてそもそも統治する街等が増減する事。
街なら兎も角、 村落等の場合は盗賊や魔物の群れによる襲撃。
暴風や自然災害による壊滅、 暴風設備の破損。
代官の能力不足や背任による経営破綻等。
この様な事例は壊滅パターンと呼ばれベルモンド伯爵領では珍しい事例である。
次に増減する理由としては過疎化による維持コスト削減の為の村落放棄。
合併による村落や市街の合一化、 若しくは別門閥貴族麾下への移籍である。
門閥貴族麾下の貴族が同じ門閥で別の貴族の麾下になる事は珍しくない
この場合は門閥貴族同士で交渉や話し合いを行って移籍とする。
移籍する貴族の領地は如何するか、 移籍料は如何するか等である。
但し違う門閥の貴族の場合は地続きでは無いので必然的に領地は所属してた門閥貴族に
返還する等面倒になる為、 滅多に起こる事案では無い
しかし物事には必ずしも例外は有るのだ・・・。
大広間の長机に整列し待機するベルモンド麾下代官及び代官の補佐達。
ベルモンド伯爵が大広間に入室し議長席に着席する。
「・・・・・それではベルモンド伯爵領内代官定期会議を行います」
「「「よろしくお願いします!!」」」
ベルモンドの宣言の後に
代官、 代官補佐達も一斉に頭を下げて着席する。
「まず初めにベルモンド閣下、 宜しいでしょうか?」
ベルモンド伯爵麾下の中でも特に信頼が厚く
代々ベルモンド伯爵家に仕えていたエルジェ子爵が発言した。
彼は老齢だが先代ベルモンド伯爵から仕えていた事で
ベルモンド伯爵領での№2の地位を得ていた。
「段取りと言う物が有るが、 貴方が喋りたいと言う事は一大事ですかな?」
「閣下が集まる前に少し皆で雑談したのですが
この度、 ベルモンド閣下麾下に入りたいので話を付けてくれと言う打診が
代官を含めた貴族、 騎士達から合計して52通来ています」
「多ッ!?」
「多いですよね、 私も驚きました、 寝耳に水です※1」
※1:寝ている時に水の音が聞こえる事。
”ザ・ジャパン・スリーガイズ”の一人、 豊臣秀吉が
『城で寝てたら水の音が聞こえて吃驚した』と言う言葉が語源とされている。
水の音で大げさな、 と思うだろうがこの『水の音』とは洪水の音である。
誰でも吃驚する。
手紙の束を受取るベルモンド。
宛名を確認する。
「かなり色々な所から来ているな、 別の門閥からも来ているじゃないか・・・」
「手紙の内容は確認していますが
中には所属している門閥に相談も無しに連絡している者も・・・」
「何だそれは? そんな礼儀知らずなんて相手にするな
所属門閥に連絡して突き返せば良い、 フィルター※2にかけろ」
※2:貴族には身の安全を保障する為に面会拒否権がある。
突然やって来て『会わせろ』と言って来る輩には面会拒否権を発動し面会を拒否する事が出来る。
面会拒否権を無視して会おうとする場合、 逮捕拘禁する事が出来る。
それ故にアポイントメントを取らないと無駄足になる為
基本的に貴族に会いに行く際はアポイントメントを取る事が普通である。
しかし貴族が貴族にアポイントメントを取る場合、 拒否には理由が必要である。
この場合適当な理由でも良いのだが、 後々問題になる可能性がある為
今回の様に『礼儀知らずだから会わない』と言う理由で会わないと言う事が出来る
これを礼儀フィルターと呼ぶ、 また『家格が下だから会わない』家格フィルター。
『領地が狭いから会わない』領地フィルター等もある。
「はっ、 その様に致します、 他に足切り※3 するべき事柄は有りますか?」
※3:希望者に対して事前に一定の基準を設定し参加者数を絞り込む行為。
フィルターを言い換えた物と考えて貰って良い。
「では騎士階級以下は足切り、 騎士の数は足りているからな
領地や財産は置いておこう、 それからヴェルギウス公爵の門閥からも断りを
ヴェルギウス公爵から移籍とか後々文句を言われる事は必至だ」
「では・・・」
52通有った手紙が一気に10通以下になる。
「いや、 少ないな!?」
「ヴェルギウス公爵門閥貴族麾下からかの手紙が20通は有りましたので・・・」
「ヴェルギウス公爵は血筋を重視するからな・・・」
「残りは25通はゴディバ公爵門閥とネーデル公爵門閥からですね」
「それは不可思議だな、 ゴディバ公爵は兎も角ネーデル公爵からもとは」
ここで読者諸賢にベネルクス王国の五公爵について解説しよう。
彼はベネルクス王国の王に次ぐ地位にあり国家に忠誠を(真偽はどうあれ)誓っており
国の為に様々な活動をしている、 しかしながら彼等はそれぞれ考え方が違う為
彼等の配下の門閥貴族とその門閥貴族の麾下はその考えに合った人材が上に上がれるシステムである。
無論例外は有るだろうが、 成り上がりたいなら自分に合った門閥貴族の麾下に入りたい者である。
簡単に説明するとベネルクス王国五公爵
ハウバリン、 ゴディバ、 ルクセンブルグ、 ネーデル、 ヴェルギウスの信条を述べるのならば
血統を最重要視し、 門閥貴族を【旗国50家】で固め
その配下も古い血統で固めているがガチガチの保守主義者のヴェルギウス。
家格を最重要視しており血統よりも家格が重視し
門閥貴族を侯爵家3家, 準侯爵家1家と言う4家と超精鋭化されている
ヴェルギウスと同じく保守主義者のゴディバ。
裏では黒い噂も有るが血統や家格よりも功績のみを重視し
功績を挙げれば誰でも貴族に引き立て門閥貴族の数が
他侯爵の倍位居る実利主義者のネーデル。
ヴェルギウスやゴディバの様に保守的でも無いが
ネーデルの様に実績のみを評価する訳でも無い、 悪人でも善人でもない
中途半端だがそれ故に柔軟なハウバリン。
ベネルクス国王直轄領ブリュッセルに隣接しベネルクス王国貴族の頂点であり
極めて中立的で偏らない、 否、 中立に偏っていると言われるバランス主義のルクセンブルク。
因みにルクセンブルクは宰相位も与えられており実質的にベネルクス王国の№2である。
「ヴェルギウス公爵とゴディバ公爵では下から這い上がるのは厳しいだろう
しかしネーデル公爵の所からも?」
「えぇ、 恐らく競争が嫌になったのか
それとも我が領ならば成り上がれると思ったのでしょう」
「それは如何言う事だ?」
「伯爵閣下、 発言をお許しください」
ヴィング男爵が発言を求める。
「良いだろう、 何だ?」
「この有様こそが答えです」
「この有様・・・・・」
ベルモンドは考えた。
「最初から思っていた事だが・・・今回の会議は集まりが悪い様だな
どういう事だ?」
「説明しましょう」
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