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チャプター7:ファイブ・ZAMXaww・ストーリー

マーブル・ボーダー・バックヤード

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再誕歴7701年メイ11日。

カジノ・アタリメ第五号館にあるカジノ【マーブル・ボーダー】。
広さは1700㎡※1で青と白の間接照明で照らされた寒色系で揃えている。


※1:バスケットボールコート4つ分よりも少し広い位。


主にトランプカードやサイコロゲームを主軸としたゲームを行う為
地味だがルールが覚えやすく分かり易いカジノである。
ディーラーもこのカジノをイメージした色彩の仮面をしており
独特なイメージを醸し出す事に成功している。


「このカジノには結構な額を投資しているんですよ
お分かりですかスクイド男爵?」

マーブル・ボーダーのバックヤードにてスクイド達に話をする小太りの男。
この男はマーブル子爵、 バーリィ侯爵の配下であり
マーブル・ボーダーの出資者である。

「気持ちは分かりますがね
こちらとしてもイカサマの内容が分からないと対処出来ないのですよ」

スクイド男爵が宥める。
マーブル・ボーダーにやって来た3人だったが来ていたマーブル子爵に絡まれる事になった。

「別件逮捕※2 でも何でもして情報を引き出す事は出来ないんですか?」


※2:本件取調べ目的のために逮捕の要件を満たす本件より軽い事件で被疑者を逮捕する事。
あまり褒められた手段では無い。


「そうやってヤバい橋を渡らせる事がそもそもの目的のケースも有りますし
そう言うグレーな手段は厳しいですね」
「そうは言ってもこっちも大事な金が失われている訳ですよ
フェザー君、 でしたっけ? 彼が調べて全てを明らかにするまでに
金を失い続けるのはねぇ・・・いっその事、 資金を全て引き上げてこのカジノを閉める事も」
「それは勘弁して下せぇ!!」

慌てて土下座をする中年男性。
彼はボーダー、 マーブル・ボーダーの経営者である。

「ようやっと経営が軌道に乗って来たんですよ!!
多少の減少は有りますが、 問題解決すればもっと売り上げが伸びる筈です!!」
「解決出来るかなぁ? 君は現在荒らしている連中を如何にも出来ていないじゃないか」
「う、 な、 ならばミニマムベッド※3 を上げれば連中とて!!」


※3:掛け金の下限の事、 即ち最低でもこの額は賭けなければならないと言う縛りである。


「それだと客足が遠のくよ、 ここは簡単で分かり易いイメージの
何方かと言えば初心者向けのカジノだし、 ミニマムベッドは変えたくない」
「そもそもミニマムベッド変更には審査やら何やらで手間がかかる」

マーブルの要望にスクイドが捕捉する。

「しかしながらイカサマの方法が分からないのにこのままこのカジノを閉められても困ります」
「でしたらスクイド男爵、 当方の負け分を補填して下さるのですか?」
「それは嫌ですね、 しかしながら当方に策が有ります」
「策とは?」
「フェザー君」
「?」

唐突に話を振られて困惑するフェザー。

「彼に負け分を稼いで貰いましょうか」
「は?」
「どういう事ですか? 私のフェザーに一体何をさせるつもりです?」

サンがフェザーの前に立つ。

「カジノ・アタリメ本館の闘技場で賭けトーナメントが有る
そこに出場して貰えないだろうか、 優勝すれば賞金10万ユーロ」
「安い、 それでは補填にならないでしょう」

マーブルが不満気に言う。

「賭けトーナメントですのでフェザー君に賭ければ宜しい」
「スクイド男爵、 君は私をヴァカにしているのか?
賭け試合の倍率は賭け金額の合計に反比例する
私が賭け金を上げれば上げる程、 倍率が少なくなって
リターンが減るでは無いか、 それでは補填にならないだろう」
「マーブル子爵、 それは庶民の賭け方ですよ」

くつくつと笑うスクイド。

「貴族には貴族の賭け方と言う物が有るんですよ」
「ほう、 では噂のVIPルームとやらに行けるのか?」
「お望みならば」
「・・・・・ちょっと待って下さい」

サンが声をあげる。

「確かにフェザーは強い、 でも賭け試合と言う事は見世物でしょう?」
「そうなりますな」
「じゃあ、 フェザーが出場するのは問題じゃないですか?」
「何故?」
「S級決闘者が出て来たら誰一人勝てないじゃないですか
盛り下がるのは目に見えてますよ」
「それならば問題は無い
このスクイド男爵領の隣に新しく【ブラック・シンゲツ・コーポレーション】が引っ越してきて
こっちに遊びに来る奴が大勢居るんですよ」
「チーズも来るんですか?」
「チーズは来ないな」

スクイドの答えにほっとするフェザー。

「奴とは戦いたくないのか?」
「いえ、 チーズは大嫌いなので関わり合いになりたくないだけです」
「そうか、 それはさておき【ブラック・シンゲツ・コーポレーション】の連中
上位の決闘者もやって来るから戦いがいは有ると思うし盛り上がるんじゃないかと思うが
如何だろうか? 社内決闘者序列一桁の者も出場するぞ?」
「あー・・・それならば盛り下がる事はないと思いますよ、 如何します御嬢様?」
「じゃあ参加してみなさい」
「そうさせて頂きます」
「うむ、 ならば早速手配しようか」

フェザーは済し崩し的に賭けトーナメントに出る事になったのだった。
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