上 下
128 / 495
エクストラチャプター:スクール・コプラス

ドント・アンダーレストミート

しおりを挟む
リーズフ・ライドの人生は苦難の連続だった。
元々はネーデル公爵門閥貴族のライド伯爵の末息子だったが
ライド伯爵家が没落後、 落ちぶれながらも市井で生きていた。

彼は末息子だった為、 政治や学問についての勉強は施されなかったが
武術を学んだ、 レイピアの扱いに関しては一家言ある。
そのレイピアの腕前により代理決闘者として生計を立てた。

しかしながら無所属の代理決闘者で生計を立てるのは至難だった。
少し考えれば分かるが経費の計上や確定申告やら決闘以外にも様々な仕事を熟さなければならない。
彼の疲労はピークに達していた。
そんな中、 ネーデル男爵と言う男が酒造を行っているという噂を聞いた。
尊敬するネーデル公爵を名乗った偽物としてネーデル男爵を襲撃するリーズフ。
半ば自暴自棄で死に場所を求めていたのかもしれない。

ネーデル男爵の護衛をしていたレルトトにあっさり止められた。
因みにネーデル男爵がネーデルの家名を名乗っているのは
爵位を与えられる際にネーデル公爵からネーデル男爵と名乗る様にと言われたからである。
ネーデル公爵は気に入った平民や騎士上がりに爵位を与える際に
ネーデルの家名を使う事を許している。
因みにベネルクス王国にネーデルの家名の爵位は23存在する。

勘違いで襲撃を行ったネーデル男爵は許し、 とある修道院の下働きとして職を斡旋した。
その修道院こそ、 現在のマザー・ヴィードが居た修道院である。
リーズフはネーデル男爵の恩に報いる為にヴィードを守ろうと誓った。
事実修道院に賊が襲い掛かった時は何度も彼が撃退し
一部では【修道院の騎士】としても名が知られている。
ヴィードと共に学園に来た際には自分より強いレルトトに警備責任者を任せ
自分は寮長として生徒達を見張っていた。

そしてレルトトと共に学園内で問題を起こした平民を始末する役目も担っていた。



セント・ルーブル学園、 決闘場。

「リーズフ、 負けないで下さい」
「マザー、 安心して下さい、 貴方の聖域は私が守ります!!」

決闘場に立つ、 リーズフとヴィード。
相対するのはグレゴリオ。
そしてヴィードが決闘場から降りる、 決闘場の周りには学園の者達と
ジョンとフランク。

「・・・・・何人だ?」
「フィリピン人」
「そうか・・・土人※1 を出すとは挑発ですかジョン殿?」


※1:未開地域の原始的な生活をしている住民を侮蔑した言葉。


「お前は耳が可笑しいのか? フィリピン人と言っただろう?」

困惑するジョン。

「いや土人ってどういう意味じゃあないんですが・・・まぁ良いでしょう
正直死んでも勝つ気でしたが楽勝そうですね」
「サッサと始めよう」
「そうですね、 立会人さん」
「うむ、 では双方名乗りを」
「セルデン侯爵が長子ジョン直属グレゴリオ」
「マザー・ヴィード直属リーズフ・ライド!!」
「では始め!!」

互いに武器を構える二人。
リーズフはレイピア。
グレゴリオは二本の木の棒。

「木の棒って・・・真面目にやる気あるのか?」
「うん」
「・・・・・」

煽りで言った『挑発』が本気で『挑発』なのか? と思い始めたリーズフ。

「良いだろう、 その挑発乗ってやろう・・・!!」

リーズフは踏み込みレイピアを突き出す。
彼の必殺の一撃である、 その速度の速さは我流ながらもB級決闘者に匹敵する。

「ほい」

ぱし、 とその一撃を木の棒で弾くグレゴリオ。
一瞬何が起きたか分からないリーズフ。
そして続けざまにグレゴリオの一撃を腕に喰らう。
重い、 木の棒の一撃では無い。

「っ!!」

咄嗟に距離を取るリーズフ。

「・・・・・!?」

攻撃を受けた腕に力が入らない、 骨が折れている。

「あ、 ありえん!? 何だそれは!?」
「カリ※2」


※2:フィリピン武術の一種。
主に素手マノ・マノ、 ナイフダガ、 エスパーダ
双剣エスパーダ・イ・ダガ、 バストン、 長物ドス・マノス
6つ武術から成っており武器や素手での技術が共通している為
同じような動きで様々な武器を扱えるので状況にあった武器選択が出来る。
更に相手からの武器による攻撃への対応も考慮されており
相手の武器を奪ったり払い落とす武器無効化ディスアームが発達している。


「くっ、 その棒はセルデン侯爵領の秘密兵器か!? おのれ!!」

離れて構えるリーズフ。

「うん? ナニイッテルノ?」

心底不思議そうにするグレゴリオ。

「ウィルパワーで殺傷力アゲタに決まってるデショ」
「ウィルパワー? 何だそれは!!」
「ウィルパワーも知らないとは・・・ドジン以下だな」

グレゴリオが踏み込み木の棒でリーズフを連打する。

「がっ!? げっ!?」

リーズフは倒れる事も許されず次々と連撃を受け続ける。
丹念に淡々とグレゴリオは攻撃を続ける。

「ぐがががががががが・・・・・」

内蔵が潰され、 全身の骨が砕け、 頭蓋を割った時
その時になってグレゴリオは攻撃を止めた。

「勝者グレゴリオ!!」

立会人が宣誓しグレゴリオは決闘場から降りた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~

雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

処理中です...