更新休止【異世界ファンタジー追放ざまぁハーレム主人公チート】デュエリスト・イン・ザ・ブロークンワールド【注釈付き】

Mr.後困る

文字の大きさ
上 下
39 / 495
チャプター4:ホエア・イズ・コープ

ノー・クリアニング・ノー・ウィナー

しおりを挟む
再誕歴7701年ジュニアリー10日。

マーナガルム男爵領トコトン。
この街はマーナガルム男爵領のみならず各領にも運送を行う
運送業者の街である、 乗合馬車のターミナルの様な事もしているので
マーナガルム男爵領に来る時はこの街を経由する事が多い。

「ここで乗り換えか・・・」

マモルが馬車から出て来た。
彼はカケルを追う為にこの街にやって来た。
カケルが一時滞在していたらしい。

「マモル様!」

EHUCの諜報員がやって来た。

「良く来てくれました!!」
「い、 いえ、 それよりも・・・」

涙を流す諜報員。

「まさか・・・カケルがやらかしたのですか!?」
「・・・・・イヤトゥーハ様が・・・」
「!!」

EHUCの出張所に向かうマモル。
出張所の中は荒らされておりそこには金の刺繍が入った遺体袋※1 が鎮座していた。


※1:EHUCでは遺体袋は二種類に分けられている。
通常の黒い袋と金の刺繍が入った袋である、 金の刺繍は勇者の遺体用である。


「馬鹿な・・・イヤトゥーハさんが・・・」
「来たか、 マモル坊」

ソファに座っていたのは勇者マーン。
太り過ぎてでぶ妖精※2 の様な体型になっている中年女性である。


※2:丸い胴体に(´ω`)の様な間の抜けた顔と棒の様な手足を持つ妖精を自称する何か。
斬られても分裂したりと大体の事では死なない頑丈さから
別の世界からやって来たという説も大真面目に称されている謎の存在。


「マーンさん・・・イヤトゥーハさんは・・・」
「一足遅かったよ、 残念だ」
「そんな・・・一体何が・・・」
「・・・説明してやりな」
「はい・・・」

諜報員が説明を始めた。




再誕歴7701年ジュニアリー6日。

その日もEHUC出張所では職員達は何時も通り働いていた。

「わいわい運輸さんの所を辞めて一般就労になるんですか」
「えぇ・・・」

所長のシュガーは社会復帰を目指す魔族ラザニルと話をしていた。
EHUCは反社会的魔族を討伐するのが仕事だが
魔族の就労支援等の社会参加も行っている。
今だに魔族に対する偏見の根は深いのだ。

「マーナガルム男爵領に越してきて勤めて12年でしたっけ?」
「えぇ、 マーナガルム男爵は黒い噂が有るので最初は不安でしたが
何とかやっていけてます」
「そうですね、 マーナガルム男爵は魔族に対する偏見どころか
魔族の身体能力を活かして積極的に雇用している風に見受けられます」
「えぇ、 この度一般就労が出来て生活も楽になります」
「えぇ、 これからも頑張って下さい
念の為、 半年に一度様子を見に行きます」
「今後ともよろしくお願いします」

バァン!! と出張所のドアが乱暴に蹴破られた。

「・・・・・」

剣を肩に担いだ金髪の勇者カケルが現れた。

「騎士団呼んで!!」
「はい!!」
「勇者だよ!!!!!」

職員の叫びに叫びで返す勇者カケル。

「・・・証明出来る物は有りますか?」

舌打ちをしながら身分証明書を見せるカケル。

「・・・確かに、 何故ドアを蹴破ったのですか?」
「あぁ!!!?」
「ドアには鍵がかかっていません」
「・・・・・・・・・・」

急に黙るカケル。

「あの、 如何しました?」
「いや、 とりあえずここで一番偉い奴を連れて来い」
「はいシュガーさーん」
「今行くわ、 じゃあラザニルさん、 今日はこの辺で
勇者殿が興奮している様だし、 裏口からお帰り下さい」
「は、 はい」

立ち上がるシュガーとラザニル。
そしてシュガーはカケルの元へ、 ラザニルは裏口へ向かった。

「どうも初めまして所長のシュガーです、 何の御用でしょうか」
「カケルだ」

手を差し出すカケル。

「・・・・・?」
「握手だよ握手!! これだから異世界人は!!」
「あぁ・・・」

握手をするカケルとシュガー。
そして手を放す。

「それで本日は何の御用でしょうか」
「動かせる兵隊はどれ位居る?」
「・・・・・ここは出張所ですので勇者殿の支援や
魔族の方の社会参加支援等しか行っていません、 兵力は無いです」
「魔族の社会参加!!!? かっー!!!! 馬鹿じゃねぇの!?
何でそんな事する!!!? まずはネルよりもまずはそいつ等だな!!!!!
ここで支援している魔族共のリストを出せ!!!! 皆殺しにしてくる!!!!」
「・・・・・貴方は何を言っているんですか?」

カケルの言葉に本気で困惑しているシュガー。

「魔族を殺すのが勇者だろうが!!!!!」
「気でも触れましたか? 一旦落ち着いて下さい」
「黙れ!!!!!」

シュガーを殴るカケル。

「何するんですか!!」

カケルを取り押さえようとする職員達。

「来るんじゃねぇ!!」

聖剣を抜いて振り回すカケル。

「うわ!! あぶねぇ!!」
「騎士団呼べ!!」
「逃げろ!! 逃げろ!!」

職員達は全員逃げて出張所の外に出た。

「何なんだあの人!?」
「ヤバい人だとは聞いていたがここまでとは!!」
「騎士団はまだか!?」
「・・・・・奴が来たのか」

職員達の背後からやって来た長身の男。
彼は勇者イヤトゥーハ。
歴戦の強者であり、 数々の武功を上げ信頼の厚い男である。

「イヤトゥーハ様!! 何故ここに!?」
「マーンとグルメ旅をしてたら携帯用通信モノリス※3 に
カケルが聖剣を持ち出して逃げたって報せが届いてな
最悪殺してでも取り返さないとならない」


※3:携帯出来る位小さいモノリス。
通信用モノリスの意識を飛ばして話す様な会話では無く
文字での通話のみ可能と言う代物。


「え、 えぇ・・・マーン様とご一緒だったのですか?
マーン様は何方に?」
「アイツはカケルが乗合馬車に乗っていないかの確認の為に
馬車駅に問い合わせに行っている
俺も一応通達しようと思ってここに来たのだが・・・中に外に人は?」
「え、 いえ、 誰も居ません」
「なら下がってろ」
「は・・・はい」

イヤトゥーハは隠し持っていた薙刀を取り出して出張所の扉の横に立つ。
そしてカケルが出ると同時に薙刀を突き出す。

「ぎっ!!!?」

カケルは右手を薙刀で突かれ落とされる。
カケルは咄嗟に出張所に戻る。

「クリアリング※4 はしろと何時も言っているだろう愚か者が!!」


※4:奇襲を防ぐために敵がいそうな場所を確認をすること。


イヤトゥーハは叫ぶ。

「武器を捨て投降しろ!! お前では俺には勝てん!!」
「ざっけんな馬鹿野郎!!!!! 何時も何時も偉そうに説教して来て何様のつもりだ!!!!!」
「お前こそ何様のつもりだ!! 何時も人様に迷惑かけやがって!!
同期のマモルは魔王を倒せる位になっているっていうのに
お前は人様のタンスを勝手に漁って俺達がどれだけ迷惑してると思っている!!
「勇者ってそういうもんだろうがあああああああああああああああああああ!!!!!」

叫ぶカケル。
しかし飛び出る気配がない。

「・・・・・ここ裏口は?」
「あります」
「っち」

中に入るイヤトゥーハだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 1~8巻好評発売中です!  ※2022年7月12日に本編は完結しました。  ◇ ◇ ◇  ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。  ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。  晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。  しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。  胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。  そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──  ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?  前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

処理中です...