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第十二章:ヴォルフガングの願い

裏をかかれる

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馬車に乗ってバルド達の元に向かう
ピースメイカーとダースシ・ヴォルフガングとダーク・イタマエ。
周囲には大勢の軍隊が随伴している。

「・・・馬車では無く馬のみで行った方が早いのでは?」
「僕は馬に乗れないからね、 貴族とは言っても元々平民
乗馬の趣味も経験も無い」

包帯を頭に巻いた状態で愚痴るヴォルフガング。

「まぁ、 君が素直に買収されていてくれたらもっと早く迎えたんだけどね」
「責任転嫁の仕方が無茶苦茶ですね」
「そんな無茶苦茶な事は言ってないつもりだ、 寧ろ君の方が信じられない
何か"闇"の親方に弱みでも握られているの?」
「そんな事は無いですが・・・正直私は信じられませんよ」
「何が?」
「レーア嬢の領地にあるあらゆる願いが叶う物ですよ
そんな物が有れば今頃、 こんな戦争は起こっていない筈です、 違いますか?」
「リスクが有るとかオーガス王は言っていたよ」
「リスクですか・・・今の貴方ならば権力と力で大抵の事は叶うでしょう
態々リスクを支払う必要がありますか?」
「叶えられない願いも世の中には有るんだよ
確定した因果とかね・・・君だって経験無い?
闇のスシブレーダーをやっているんだ覆したい過去の事象とかあるだろ?」
「無いですね」

キッパリ言い切るダーク・イタマエ。

「・・・話が合わないなぁ・・・君には過去のトラウマとか無いの?」
「有りますよ、 ですがそれを如何こうしたいとは思いません」
「何で?」
「終わってしまった事ですから」
「あっそ・・・じゃあ聞かないよ」

退屈そうに頬杖をするヴォルフガング。

「君にやられた頭が痛い・・・」
「私も貴方にボコボコにされた胸と腹が痛いです」
「痛いで済むのか・・・結構本気でやったつもりだけどな」
「私は手加減していました」

ヴォルフガングがぎりりと歯軋りをする。

「自分の方が上だと言いたいのか?」
「まぁ・・・はい」
「正直に言う事が全面的に良い事では無いぞ・・・嘘を吐くのは論外だが」
「一つだけ言わせてくれ」

ピースメイカーが口を挟む。

「何だ?」
「如何したの?」
「これから一緒に戦う訳だし、 一緒の馬車に乗ってるんだから
空気悪くなるような事を言うなよ、 これから向かう迄の間
空気感が地獄の状態で過ごすこっちの身にもなれよ」
「何で君が僕達と一緒の馬車に乗っているのかが疑問だね」
「ヤミ・マスターも一人同席しようってなって
それでジャンケンで俺が選ばれたんだ」
「君はチョキしか出せないからねぇ・・・」
「いや右腕は普通の人間だから普通にパー出せるんだよ
そしたら他の二人が示し合わせた様にチョキを・・・」
「それは気の毒に」
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