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第十章:大海戦

夜の始まり

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「良いか? 犠牲無しには大行は成し得ないんだ、 覚悟を示せ」

そう言って書類の束を渡すジューン。

「これは?」
「一週間のオーモリの居場所のリストと俺達仲間の配置
そしてお前達の配置だ、 概ねこの指令書通りに動いてくれ」
「そして死ねと?」
「そうだオーモリを倒す為だ、 協力してくれるな」
「・・・・・一つ聞きたい」
「何だ?」
「何でお前はダークネスシ帝国を裏切ったんだ?」
「・・・・・それはお前には関係無い、 お前は俺の指示通りに動けば良い
さっさと行け、 後ろのドアから外に出られる」
「・・・・・」

バルドは黙って地下墓地から立ち去った。

「バルド、 如何するつもりだ?」

ハウは尋ねた。

「この指令所には一週間のオーモリの居場所が書かれている
我々はジューンを無視して独自にオーモリを討ちに行きましょう」
「良いのか? そんな雑な作戦で」
「自ら殺される事が前提のジューンの作戦よりはマシでしょう
そもそもそんな馬鹿げた作戦をこちらが了承するとジューンも思っていないでしょ
アイツには恨みも有りますし、 奴もそういうプランを立てて居る筈」
「ふむ・・・確かにな」

鮮やかな裏切りを見せたジューンがそこまで考えていないとは考えづらい。

「ジューンもこちらに信用されようとしていないし
明らかに裏切ってくれと言わんばかりでしょう」
「それもそうだな・・・ん?」

墓場から村を見下ろす一行。
既に夜の帳が降りて村中に灯が灯り見回りがされている。
しかし妙に空気が張り詰めている。

「・・・・・何だ?」
「皆が街を動き回っている様だ、 何が起こった?」

ドゴォンと爆発音がした。

「な、 何が起こった!?」

ジューンが驚いて墓の外に出て来た。

「これもお前の作戦か?」
「そんな訳無いだろう!!」
「・・・・・」

バルドは前に進んだ。

「ま、 待てバルド!! 何処に行く!?」
「今の内にオーモリの所に行って戦力を削ぐ」
「な、 なにぃ!? 作戦は如何するつもりだ!?」
「知るか」
「馬鹿な!! オーモリを倒す為の犠牲が惜しくなったのか!?」
「そもそも我々はお前を信用していない」
「信用しなければ始まらないだろう!?」
「いや、 信用出来ない奴とは組めないだろう」

頷くスシブレーダー一行。

「ば、 馬鹿な、 何を考えている」

驚愕するジューン。

「それでは僕達は行くぞ」
「ま、 待て!!」

バルド達は先に行ってしまった。

「くっそ!!」
「ぼ、 ボス・・・如何しますか?」

ジューンの手下がジューンに尋ねる。

「・・・・・ここで動くのは悪手だ
バルド達を倒してアピールするのも悪くないが、 命は大切だ」
「分かりまし・・・」

ぷしゅーと狼煙が上がる。

「あれは・・・!?」
「仲間からの救援を求める狼煙ですね」
「糞ッ!! 行くぞ!!」
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