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第八章:新たなる希望

恐怖からの解放

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読者諸賢は花言葉と言うのを御存じだろうか?
象徴的な意味を持たせるため植物に与えられる言葉で
一般にバラの花言葉は愛情のように植物と単語の組み合わせで示される物である。
宝石言葉と言う物もある、 魚言葉と言う物もある。
当然寿司言葉も有る。

アポビオーシスに寿司言葉を着けるとするならば、 絶望である。
アポビオーシスが発する寿司の声は絶叫、 止めて欲しいと叫ぶ嘆き。
アポビオーシスを造り出す為に虐殺された数多の人々。
彼等全てがアポビオーシスの破壊を望んでいる。

「・・・・・」

バルドの迷いが消えた。
バルドはエッグヴィーナスを穴に向かって射出した。
「やった・・・!! だ、 大丈夫なのか?」

不安げに声を出す、 エミリー。
そしてその場に座るバルド。

「ば、 バルド?」
「ここは壊れるまで待とう」
「正気か?」
「至って正気だよ」
「間に合ったか!?」

上層部に現れたゾーバ達3人。

「今どうなっている!?」
「今、 スシブレードを打ち込んだ!!」
「・・・・・!!」




一方その頃、 アポビオーシスを駆動させる巨人達はアポビオーシス発射体勢を整えた。

「グラニート様、 発射体勢が整いました」
「・・・・・」
「グラニート様?」

部下の報告を聞きながらグラニートの心の中で自我を少し取り戻した。
あの大量虐殺をしなければならないのか?
己の運命を呪い心が凍り付いた。
誰かに自分をこの恐ろしい運命から救い出して欲しいと必死に願った。
だが悲しいかな、 彼の心は精神酢飯漬けされているのだ
グラニートの自我が齎したのは数秒の停滞だった。

「グラニート様?」
「・・・スタンバイ」
「はっ」

その数秒の間、 エッグヴィーナスがアポビオーシスの内部に到達し
アポビオーシスの核を貫いた。

「アポビオーシス発射」
「はっ、 発射あ!!」

巨大な箸の上に叩きつけられる巨大な湯呑。

アポビオーシスは微動だにしない。

「なんだ?」
「え?」

困惑する巨人達。
そしてアポビオーシスが音を立てて崩れる。

「う、 うわああああああああああああああああ!!!」
「アポビオーシスが!! アポビオーシスが!!」

アポビオーシスの崩落巻き込まれる周囲の巨人達。
グラニートもその崩落に巻き込まれる。
グラニートの望みは彼の死と引き換えに適う事になった。
グラニートは最後に微笑みながら逝ったのだった。

この日、 アポビオーシスと言う恐怖から世界が解放されたのだった。
バルド達アポビオーシスの上に乗っていた者達は無事に生還し
ダークネスシ帝国側の兵もアポビオーシスの破壊により混乱し散り散りになり
今回も大勝利を収める事が出来たのだった。
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