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朝目覚めて窓の外を見ると、外は見事に銀世界に変わっていた。
「これは電車は止まっているな」
篤志は朝霧さんに電話して、今日の勤務について聞いていた。
「今日は休みでいいって、まだ降るそうだよ」
篤志は音を下げて、テレビを付けて見ている。
テレビでは、どの局も大雪について話をしていた。
天気図が出てきて、お天気お姉さんが大雪の話をしている。
これから台風並みの爆弾低気圧が日本をすっぽり包んで、東京の辺りは白を通り越して赤く塗られている。
風もあり吹雪いていた。
細かな雪が舞っている。
「んぱんぱんぱんぱ」
「おはよう、菜都美」
「おー」
「おはよう」
「おはおお」
言葉を覚えようとしている姿勢が菜都美の長所だ。
「先ずトイレに行こうな」
「はーい」
寝ているのも生活しているのも、ダイニングと繋がったリビングなので、篤志が布団を片付けてくれている。
菜都美の大好きなわんわんは、布団の中から出されて、床に置かれていた。
「偉いな、トイレ間に合ったな」
「なちゅみ、えらい?」
「すごく偉いぞ」と菜都美の頭を撫でる。
菜都美は嬉しそうな顔をしている。
俺と手を繋いで、歩いている。
「わうわう」
「わんわん落ちているな」
菜都美は自分で歩いていこうとして、尻餅をついて、背後に倒れた。ギリギリセーフで、菜都美の頭は守った。
「菜都美、まだ走るのは早いぞ」
菜都美は自分で起き上がって、ハイハイでワンワンを取りに行った。
「ワウワウ」
「ワンワンね」
俺はぬいぐるみの右手を掴んで、スイッチを入れた。
「菜都美、いい子いい子」とワンワンが言うから、俺は菜都美の頭を撫でた。
「菜都美、おいで」
「はーい」
俺は菜都美を抱っこして、窓の外を見せた。
「菜都美。白いのは雪だよ。外はとても寒いんだよ」
俺は少し窓を開けて、ベランダの雪を取って、菜都美の手に触れさせた。
「冷たいだろう?」
「たい」
「これが雪だ」
「うき」
「寒いから、着替えような」
「はーい」
俺は菜都美の手と俺の手を洗ってから、菜都美の服を取り出して着替えをさせる。
篤志は休日の服装を着て、ご飯を作っていた。
菜都美のパジャマを洗濯機に入れて、今度は俺の服を着替えに行く。
ジーンズとTシャツの上にチェックのシャツを着て、その上からトレーナーを着る。
このスタイルはもう何年も変わらない。
パジャマを洗濯機に入れて、洗面所で顔を洗う。
菜都美の顔もぺちゃぺちゃ洗うと「たい」と言う
「冷たいな」
『冷たい』とワンワンも言う。
菜都美を座らせて、俺は歯を磨いて、髪を梳かす。
ちょっと長くなってきたから、篤志に切ってもらおう。
ゴムで後ろで髪を纏めて結ぶと、座っている菜都美の髪も梳いてやる。
菜都美も髪が伸びてきて、益々可愛くなってきた。
「菜都美、可愛いね」
「なちゅみ、かあいい」
俺はポケットに入っていたスマホで、菜都美を写す。
「んぱ」
「パパはいいの」
菜都美を抱っこして、ダイニングに行くと、菜都美の椅子にベビーフードが並んでいた。
「あっちゃん」
篤志は振り向いた。
「今、菜都美の声だよな」
「あっちゃん、ましゅ」
「どうぞ。いつの間に言えるようになったんだ?」
「実家に帰った後に練習したんだよな」
菜都美はベビーフードの後期、もうほとんど普通のご飯を食べられる。
スティックパンを持って、一人で食べている。
「パパはまだ言えないから、あっちゃんの勝ちだね」
「真のことだから、自分の教えずに、俺の名前を教えていたんだろう?」
「んぱも可愛いじゃないか」
「んぱ、まんま」
「一緒に食べような」
俺は菜都美の隣に座ると、ベビーフードの野菜の煮物を菜都美の口に運ぶ。
「あーんして」
「あーん」
モグモグしている。
歯も生えてきたので、虫歯にならないように歯磨きもしなくてはならない。
篤志も椅子に座ったので、一緒に「いただきます」をして、念願の三人のご飯だ。
菜都美はまだ8ヶ月だが色々できる。
天才なのか?ワンワンの影響なのかは分からないが、俺も近くでずっと見守ってきたので嬉しい。
離乳食も順調で、そろそろ俺達と同じ物を食べても良さそうだ。
だが、便利なベビーフードに走りやすい。
俺達、幸せな家族に見えるよね。
俺はすごく幸せだ。
あっちゃんも、今日は嬉しそうだ。
食事の後に、コートを着込んで菜都美と三人でマンションの外に出てみた。
「たい」
「寒いか?」
「んぱ、あっこ」
「抱っこね」
俺は菜都美を抱っこして、都会では珍しい雪を見せた。
篤志が菜都美に雪だるまを作ってきた。
「あっちゃん、ありがとう。菜都美、雪だるまだよ」
雪に触れると「たい」と言って、菜都美は手を引っ込めた。
風邪を引かせると大変なので、雪だるまを土産にマンションの中に戻る。
篤志は雪だるまをベランダに置いた。
菜都美が、部屋の中から雪だるまを見ている。
「んぱ、たいよ」
「雪は温かな部屋の中にいると溶けて水になるんだよ」
俺は雪だるまの側の雪を取って丸めると、床に置いた。
菜都美がその雪を見ている。
だんだん溶けて、水だけになると、「しゅごい」と感動している。
わんこは「すごい」と言葉を教えている。
水をティッシュで拭って、ゴミ箱に捨てる。
やはり、菜都美は賢い子だと思う。
この個性を伸ばしてやりたい。
「これは電車は止まっているな」
篤志は朝霧さんに電話して、今日の勤務について聞いていた。
「今日は休みでいいって、まだ降るそうだよ」
篤志は音を下げて、テレビを付けて見ている。
テレビでは、どの局も大雪について話をしていた。
天気図が出てきて、お天気お姉さんが大雪の話をしている。
これから台風並みの爆弾低気圧が日本をすっぽり包んで、東京の辺りは白を通り越して赤く塗られている。
風もあり吹雪いていた。
細かな雪が舞っている。
「んぱんぱんぱんぱ」
「おはよう、菜都美」
「おー」
「おはよう」
「おはおお」
言葉を覚えようとしている姿勢が菜都美の長所だ。
「先ずトイレに行こうな」
「はーい」
寝ているのも生活しているのも、ダイニングと繋がったリビングなので、篤志が布団を片付けてくれている。
菜都美の大好きなわんわんは、布団の中から出されて、床に置かれていた。
「偉いな、トイレ間に合ったな」
「なちゅみ、えらい?」
「すごく偉いぞ」と菜都美の頭を撫でる。
菜都美は嬉しそうな顔をしている。
俺と手を繋いで、歩いている。
「わうわう」
「わんわん落ちているな」
菜都美は自分で歩いていこうとして、尻餅をついて、背後に倒れた。ギリギリセーフで、菜都美の頭は守った。
「菜都美、まだ走るのは早いぞ」
菜都美は自分で起き上がって、ハイハイでワンワンを取りに行った。
「ワウワウ」
「ワンワンね」
俺はぬいぐるみの右手を掴んで、スイッチを入れた。
「菜都美、いい子いい子」とワンワンが言うから、俺は菜都美の頭を撫でた。
「菜都美、おいで」
「はーい」
俺は菜都美を抱っこして、窓の外を見せた。
「菜都美。白いのは雪だよ。外はとても寒いんだよ」
俺は少し窓を開けて、ベランダの雪を取って、菜都美の手に触れさせた。
「冷たいだろう?」
「たい」
「これが雪だ」
「うき」
「寒いから、着替えような」
「はーい」
俺は菜都美の手と俺の手を洗ってから、菜都美の服を取り出して着替えをさせる。
篤志は休日の服装を着て、ご飯を作っていた。
菜都美のパジャマを洗濯機に入れて、今度は俺の服を着替えに行く。
ジーンズとTシャツの上にチェックのシャツを着て、その上からトレーナーを着る。
このスタイルはもう何年も変わらない。
パジャマを洗濯機に入れて、洗面所で顔を洗う。
菜都美の顔もぺちゃぺちゃ洗うと「たい」と言う
「冷たいな」
『冷たい』とワンワンも言う。
菜都美を座らせて、俺は歯を磨いて、髪を梳かす。
ちょっと長くなってきたから、篤志に切ってもらおう。
ゴムで後ろで髪を纏めて結ぶと、座っている菜都美の髪も梳いてやる。
菜都美も髪が伸びてきて、益々可愛くなってきた。
「菜都美、可愛いね」
「なちゅみ、かあいい」
俺はポケットに入っていたスマホで、菜都美を写す。
「んぱ」
「パパはいいの」
菜都美を抱っこして、ダイニングに行くと、菜都美の椅子にベビーフードが並んでいた。
「あっちゃん」
篤志は振り向いた。
「今、菜都美の声だよな」
「あっちゃん、ましゅ」
「どうぞ。いつの間に言えるようになったんだ?」
「実家に帰った後に練習したんだよな」
菜都美はベビーフードの後期、もうほとんど普通のご飯を食べられる。
スティックパンを持って、一人で食べている。
「パパはまだ言えないから、あっちゃんの勝ちだね」
「真のことだから、自分の教えずに、俺の名前を教えていたんだろう?」
「んぱも可愛いじゃないか」
「んぱ、まんま」
「一緒に食べような」
俺は菜都美の隣に座ると、ベビーフードの野菜の煮物を菜都美の口に運ぶ。
「あーんして」
「あーん」
モグモグしている。
歯も生えてきたので、虫歯にならないように歯磨きもしなくてはならない。
篤志も椅子に座ったので、一緒に「いただきます」をして、念願の三人のご飯だ。
菜都美はまだ8ヶ月だが色々できる。
天才なのか?ワンワンの影響なのかは分からないが、俺も近くでずっと見守ってきたので嬉しい。
離乳食も順調で、そろそろ俺達と同じ物を食べても良さそうだ。
だが、便利なベビーフードに走りやすい。
俺達、幸せな家族に見えるよね。
俺はすごく幸せだ。
あっちゃんも、今日は嬉しそうだ。
食事の後に、コートを着込んで菜都美と三人でマンションの外に出てみた。
「たい」
「寒いか?」
「んぱ、あっこ」
「抱っこね」
俺は菜都美を抱っこして、都会では珍しい雪を見せた。
篤志が菜都美に雪だるまを作ってきた。
「あっちゃん、ありがとう。菜都美、雪だるまだよ」
雪に触れると「たい」と言って、菜都美は手を引っ込めた。
風邪を引かせると大変なので、雪だるまを土産にマンションの中に戻る。
篤志は雪だるまをベランダに置いた。
菜都美が、部屋の中から雪だるまを見ている。
「んぱ、たいよ」
「雪は温かな部屋の中にいると溶けて水になるんだよ」
俺は雪だるまの側の雪を取って丸めると、床に置いた。
菜都美がその雪を見ている。
だんだん溶けて、水だけになると、「しゅごい」と感動している。
わんこは「すごい」と言葉を教えている。
水をティッシュで拭って、ゴミ箱に捨てる。
やはり、菜都美は賢い子だと思う。
この個性を伸ばしてやりたい。
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