幼馴染みの彼と彼

綾月百花   

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 菜都美が眠ったので、わんこのボディーを組み立てて、調整をする。

 細かな微調整は、菜都美が起きていると、落ち着いてできないので、菜都美と遊んで疲れさせて、お昼寝させるのが一番効率的で、一番集中できる。

 今は認知症の見張りわんこを調整しているが、他のパソコンは菜都美のわんこの基礎部分を覚えさせている。

 本当は盲導犬の代わりになるわんこを作りたいのだけれど、地面の様子や危険な音を拾うのは難しい。

 朝霧さんが、『いつもわんこの事ばかり考えているの?』って聞いていたけれど、実際は社会に役立つわんこを作り出したいと思っている。

 盲導犬の代わりになるわんこを作れたら、目が見えない人で、盲導犬が足りずに家の中に隠っている人も、外に出られると考えている。

 危険を『声で』報せることができたら、安全だと思う。

 これはいつか完成させたい夢だ。

 犬アレルギーの人にも受け入れてもらえる。俺が作っている犬には毛は生えていない。

 その資金を稼ぐために、発明させたわんこを、人に認めさせなくてはならない。

 命を預けることができるわんこの発明は、今までで一番難しい。

 階段の一つ一つの高さは同じではないと思う。

 それをカメラで確認して、持ち主の歩幅や足のサイズを認識させて、瞬時に計算させるのは決して簡単ではない。

 そこまで高性能なAIを作れるだろうか?

 俺は作り出したい。

 俺の夢を話したら、皆は無理だと言うだろうか?それとも頑張れと応援してくれるだろうか?

 不安はあるけれど、俺は篤志なら応援してくれるような気がする。

 新しく作ったパソコンは、そこまで計算できるほどの性能を持っている。

 今度集まった時があったら、俺の夢を話してみようか?

 皆に報せる前に、篤志に相談してみよう。

 実際に危険な場所の測定に行かなくてはならないときは、菜都美は危ないので連れて行けない。

 菜都美を預けられるのは、篤志と安井さんしかいない。

 一番安心できるのは、篤志だ。

 360度カメラはどれくらいするのだろうか?

 今、作ったわんこが売れたら、クラウドファンディングで寄付を集めてもいいと思うが、どちらにしても俺を信頼して、応援したいと思わせなければ、無理な話だ。

 その為に、一体ずつ丁寧にわんこを作っていく。

 社会に受け入れてもらえるように、頑張ってこいと声援を与えて、菜都美がいてはできない組み立て作業をして、微調整をさせていく。

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